ホンダ 新型N-BOXカスタム燃費レポート|ターボモデルとNAモデルの燃費を徹底比較!(1/2)
- 筆者: 永田恵一
- カメラマン:永田恵一
新型N-BOXカスタム ターボモデル実燃費レポート
起用グレード
今回の燃費テストでは前回のNAエンジン搭載車に続き、2017年8月にフルモデルチェンジされた大人気軽スーパーハイトワゴンのホンダ N-BOXのターボエンジン搭載車をテストした。
グレードはスポーティな内外装を持つカスタムから、カスタムG・Lターボ ホンダセンシングのFF車(車両本体価格189万5400円、JC08モード燃費25.0km/L)を起用した。
テスト概要
テストは2017年9月20日(水)午前7時頃開始し、午後2時頃帰京するというスケジュールで実施。テスト中の天候は曇り、最高気温26度という残暑が残る気候で、交通状況はかなりスムースであった。
なお筆者が行う燃費テストでは走行モードはエコモードなどを使わず、一番標準的なモードで行うのを原則としている。しかし、ホンダの軽自動車はエンジンを始動した時のデフォルトがECONオンとなっており、ECONをオフにしてしまうとアイドリングストップまでオフとなってしまうため、NAエンジン搭載車と同様にECONオンで行った。
新型N-BOX(NBOX)ターボ実燃費レポート|結果まとめ
新型N-BOXの場合はNAエンジン搭載車とターボエンジン搭載車の燃費の差は意外にもほとんどなかった。装備の違いも含めるとおおよそ15万円の差額を出せ、使用パターンなども含め価値を見出すなら積極的に動力性能に余裕のあるターボエンジン搭載車を勧めたい(と言いながら、新型N-BOXのターボエンジン搭載車は169万5600円からと、軽自動車と考えると絶対的には安い車でないのも事実ではある)。
新型N-BOXターボエンジン搭載車もはNAエンジン搭載車と同様に完成度は軽自動車の中でズバ抜けて高い。それどころかターボエンジン搭載車なら「長距離ドライブも含めコンパクトカーの代替としても十分使える」と感じたほどだった。
ここから高速道路編、市街地編、郊外路編、それぞれの章で燃費や走りの質について詳細な評価を行っているので、新型N-BOXやライバルとなる軽スーパーハイトワゴンの購入を考えている人にはぜひ参考にしてほしい。
ホンダ 新型N-BOX、NAとターボの燃費比較 | ||
---|---|---|
N-BOXカスタム・ターボ | N-BOX | |
JC08モード燃費 | 25.0km/L | 27.0km/L |
市街地・街乗り実燃費 | 17.9km/L | 17.0km/L |
郊外路実燃費 | 19.5km/L | 20.7km/L |
高速道路実燃費 | 21.5km/L | 22.1km/L |
平均実燃費 | 19.2km/L | 19.6km/L |
新型N-BOX(NBOX)ターボ実燃費レポート|市街地編
ホンダ新型N-BOXカスタム(ターボエンジン搭載車)の高速道路での実燃費:17.9km/L
市街地での燃費は、なんとNAエンジン搭載車の17.0km/Lを上回る17.9km/Lを記録した。市街地でターボエンジン搭載車がNAエンジン搭載車の燃費を上回った理由は、エアコンによる負担や交通状況といったコンディションによるものがほとんどだと思われるが、いずれにせよ新型N-BOXの場合はNAエンジン搭載車とターボエンジン搭載車の実燃費の差は非常に小さいといえるだろう。
ホンダ 新型N-BOXの市街地・街乗りの実燃費 | |||
---|---|---|---|
パワートレイン | 市街地実燃費 | カタログ燃費 | |
N-BOX | ガソリン | 17.0km/L | 27.0km/L |
N-BOXカスタム ターボ | ガソリン/ターボ | 17.9km/L | 25.0km/L |
ターボエンジン搭載で動力性能に余裕のある走りができる
新型N-BOXカスタムのターボエンジン搭載車を市街地で乗った印象は、ありきたりだが「NAエンジン搭載車の良さをそのままにやはり動力性能に余裕がある」といったところだ。
まずドライバビリティ(運転のしやすさ)に関しては、CVTや電子スロットル(アクセル)といった各部分のマッチングエンジンの素晴らしさに加えロングストローク化により増した低速トルクがターボ化により一層太くなっている。(発進の際にアクセルを踏んでから力出るまでの時間差(ターボラグ)を感じることもあるが、それもほんの一瞬だ)、市街地であれば深夜早朝の速い流れにも、NAエンジン搭載車に対し2000から2500回転で乗れ、実に運転しやすく、やはり楽である。
NAエンジン搭載車と同様に停止前からエンジンを止めるアイドリングストップの印象も、エンジン再始動の素早さや、再始動の際のセルモーターの音の小ささや高級感などほぼ同じだが、停止寸前にブレーキの踏み方を調整した際に起きる不必要なアイドリングストップはターボエンジン搭載車の方が少ないように感じた。
アイドリングストップの頻度はテスト日の気候や交通量であればほぼ停止する度、時間も停止中再始動することはほとんどなかった。
テスト前にデフォルトのECONモードオンをオフして走ってみたところ、オンに対しターボの過給圧の立ち上がりも早いのかアクセルレスポンスがシャープになる、エアコンが強めになるといった違いが確認できた。それでもECONモードをオフにすると冒頭に書いたようにNAエンジン搭載車と同様になぜかアイドリングストップまでオフになってしまうので、ECONモードオンでも問題を感じることのを考えると、基本的にはオフにする必要はないだろう。
新型N-BOX(NBOX)ターボ実燃費レポート|郊外路編
ホンダ新型N-BOXカスタム(ターボエンジン搭載車)の郊外路での実燃費:19.5km/L
郊外路での燃費はここでもNAエンジンを搭載する標準モデルの20.7km/Lとほとんど差のない19.5km/Lを記録した。
ホンダ 新型N-BOXの郊外路の実燃費 | |||
---|---|---|---|
パワートレイン | 郊外路実燃費 | カタログ燃費 | |
N-BOX | ガソリン | 20.7km/L | 27.0km/L |
N-BOXカスタム ターボ | ガソリン/ターボ | 19.5km/L | 25.0km/L |
乗り心地は両車引き分け?
郊外路ではベーシックなNAエンジンを搭載する標準N-BOXに対する、最上級グレードとなるターボエンジン搭載を搭載するN-BOXカスタムのアドバンテージを確認できた。
まずターボエンジンを搭載するN-BOXカスタムの乗り心地は、NAエンジンを搭載する標準モデルに対し硬めというか適度に引き締まっている。乗り心地自体はNAエンジンを搭載する標準モデルの方がしなやかであるが、ターボエンジンを搭載するカスタムも不快な硬さを感じることはなく、点数をつければ同等、好みの範囲の違いだ。
ハンドリングも基本的な性格は、ライントレース性の素晴らしさや、全高の高い車ながら不安感のないジワジワと起きるロールなど、NAエンジンを搭載する標準モデルと同じであるが、やはりターボエンジンを搭載するカスタムの方がタイヤも含め足回りが引き締まっている分ロールが少ないのに加え、動力性能に余裕があるため走りやすい。
乗り心地とハンドリングのバランスは両車引き分けと筆者は評価する。
新型N-BOX(NBOX)ターボ実燃費レポート|高速道路編
ホンダ新型N-BOXカスタム(ターボエンジン搭載車)の高速道路での実燃費:21.5km/L
高速道路での燃費は21.5km/Lと、NAエンジン搭載車の22.1km/Lとほとんど変わらない数値を記録した。この結果はターボエンジンの余裕によるアクセル開度の少なさが功を奏したものだと思うが、それだけに新型N-BOXで「高速道路もそれなりに使う」という使い方をするなら、ターボエンジンを搭載する軽自動車は希少価値がある。処分する時の査定も期待でき、長い目で見れば意外に小さい差額になる可能性も高い。新型N-BOXシリーズを買うなら、ターボエンジン搭載車を積極的に勧めたい。
ホンダ 新型N-BOXの高速道路の実燃費 | |||
---|---|---|---|
パワートレイン | 高速道路実燃費 | カタログ燃費 | |
N-BOX | ガソリン | 22.1km/L | 27.0km/L |
N-BOXカスタム ターボ | ガソリン/ターボ | 21.5km/L | 25.0km/L |
ロードノイズが小さく、静粛性はワンランク上だった
新型N-BOXのターボエンジン搭載車の動力性能は、軽乗用車のターボエンジン搭載車に乗る度に書くことであるが、「排気量を1000cc程度に増やしたような余裕があり、全域で楽」と感じた。
高速道路などの自動車専用道路の本線合流や追い越し加速といったアクセルを全開にした際の絶対的な動力性能は、ターボエンジンを搭載する軽スーパーハイトワゴンの平均レベルだ。しかしターボエンジンの余裕は高速道路だと巡航中の静かさに加え、上り坂や緩加速といった場面で、ターボエンジンが持つ3000回転台の中回転域のトルクの太さを生かしてジワジワとスムースに加速でき、非常に有難い。また、軽自動車のターボエンジン搭載車は最高出力が64馬力で規制されているため高回転域での伸びは薄い車が多いが、新型N-BOXのターボエンジン搭載車は高回転域の伸びもなかなかであった。
なお、N-BOXカスタム ターボの100km/h走行時のエンジン回転数は2600回転程度と、NAエンジンを搭載する新型N-BOXに対し格段に抑えられている。
ターボエンジン搭載車も含め新型N-BOXには自立自動ブレーキを含むホンダセンシングの機能の一部として全グレードに標準装備される先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール(30km/h以上の速度域で稼働、以下ACC)やLKAS(車線の中央を走行しようとするレーンキープシステム)が備わる。その完成度は、全体的に加減速などまずまずのレベルなのはNAエンジン搭載車と同じだ。しかしACCに関しては、先行車に追従する際や上り坂での加速でターボエンジン搭載車は動力性能に余裕がある分、それほどエンジン回転数を上げずに加速できる。静粛性を含め、ACCとの相性はターボエンジン搭載車がNAエンジン搭載車に対し大きなアドバンテージを備えていた。
はたまたエンジン回転数の低さに加え、テスト車がカスタムだったためかターボエンジン搭載車だったためかタイヤの違いかは定かでないが、遮音が入念になっている。前回テストしたNAエンジンを搭載する標準モデルのN-BOXに対し、ロードノイズが小さく、静粛性はワンランク上だった。
ちなみに新型N-BOXカスタムのオーディオは前後のツイーターを含めると8スピーカーが標準装備となる(オーディオやオーディオを含むカーナビはオプション)。前回のNAエンジン搭載車の燃費レポートで標準モデルに標準装備される4スピーカーもオーディオ本体の性能もあるにせよ「なかなかの音質」と書いたが、カスタムの8スピーカーも音量を真ん中くらいにしている限りスピーカーの数相応にさらに良質な音質だった。
ということを踏まえると、新型N-BOXカスタムのターボエンジン搭載車で高速道路を走る際は、ACCを控えめのスピードにセットして燃費も考慮し、良質なオーディオで好きな音楽を楽しみながら、軽自動車の安い高速料金という特典を受けるというのがローコストで楽しい移動となりそうだ。
※新型N-BOXカスタムの8スピーカーオーディオがいいといっても、先代N-BOXをベースにしたスペシャリティモデル、N-BOXスラッシュに設定されるオプションの高音質なオーディオには遠く及ばないのは事実だ。
新型N-BOX(NBOX)ターボ実燃費レポート|総合評価
ホンダ新型N-BOXカスタム(ターボエンジン搭載車)の総合実燃費:19.2km/L
ホンダ 新型N-BOXの平均実燃費 | |||
---|---|---|---|
パワートレイン | 平均実燃費 | カタログ燃費 | |
N-BOX | ガソリン | 19.6km/L | 27.0km/L |
N-BOXカスタム ターボ | ガソリン/ターボ | 19.2km/L | 25.0km/L |
再三書いたが、このテストで新型N-BOXはNAエンジン搭載車とターボエンジン搭載車で燃費の差はほとんどないことが確認できた。
ならばNAエンジン搭載車とターボエンジン搭載車の選び方が気になるところだが、筆者としては軽自動車で多い家族用のセカンドカーや市街地中心の使い方なら価格の安いNAエンジン搭載車、ファミリーカーなど1台の車として「高速道路を使うこともよくある」というならターボエンジン搭載車というのが結論だ。
標準モデルとカスタムに関しては、予算と好みに応じて選べばいいと思う。
いずれにしても新型N-BOXの完成度はすべてのグレードでズバ抜けて高く、新型N-BOXが与える影響は軽自動車業界はもちろん、コンパクトカーにとっても小さくないものになるのではないだろうか。
新型N-BOXカスタム ターボモデル テスト車両主要スペック
新型N-BOXカスタム 主要スペック(テスト車両) | ||
---|---|---|
主要諸元 | G・Lターボ | |
新車価格 | 1,895,400円 | |
JC08モード燃費 | 25.0km/L | |
駆動方式 | 2WD | |
乗車定員 | 4名 | |
全長 | 3,395mm | |
全幅(車幅) | 1,475mm | |
全高(車高) | 1,790mm | |
車両重量 | 930kg | |
ホイールベース | 2,520mm | |
エンジン種類 | 水冷直列3気筒横置 | |
排気量 | 658cc | |
エンジン最高出力 | 47kW(64PS)/6,000rpm | |
エンジン最大トルク | 104N・m(10.6kgf・m)/2,600rpm | |
トランスミッション | 無段変速オートマチック(トルクコンバーター付) |
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