トヨタ マークX 500km実燃費レビュー【総評編】(2/2)

  • 筆者: 金子 浩久
  • カメラマン:オートックワン編集部
トヨタ マークX 500km実燃費レビュー【総評編】
トヨタ マークX走行イメージ マークXで海岸線を走行 マークXを運転する金子氏 マークX エンジン マークX インパネ マークX センターコンソール 画像ギャラリーはこちら

インテリアに見られる守りの姿勢

マークX インパネ

「6気筒エンジンを搭載した3ドアセダンという点がマークXのアイデンティティです。お客様も、それを強く求められています」メディア向け試乗会で、開発者はそう語っていた。

たしかに、マーク2とマークXは頑なに“6気筒のセダン”を守っている。守りの姿勢はいろいろなところに顔を出していて、そのひとつがインテリアデザインだ。

マークXが、誰がいつ乗ってもすぐに馴染める親しみやすさを持っていることは確かだ。それがリピーターの安心感に繋がる長所でもあるのだが、一方で退屈であることによってリピーターではない者には魅力を感じさせなくなっている。

せっかくモデルチェンジしたのだから、マーク2とマークXのDNAを残しながら、どこかハッとさせられるような新鮮味があったら良かった。リピーターを大切にすることは重要なことだが、それにとらわれ過ぎて開発姿勢までもリピートの連続では元も子もない。

またインテリアでは、造形だけでなく各操作部分の整理整頓もマイナーチェンジの際に必要だろう。安全や快適性、マルチメディアなど、最近のクルマの車内にはドライバーが操作するボタンやレバーが増殖する一方だ。

しかし、車内の表面積には限りがあるので、増殖は整理整頓しなければならない。重要度と使用頻度に応じてまとめる必要がある。

マークX センターコンソール

それに対して最もラディカルに取り組んでいるのがBMWのi-driveシステムだが、マークXにはその片鱗すらうかがえない。ダッシュボード中央部分の“特等席”に、時計の調整ボタンが、“H”“M”“S”と三つも並んでいるのが、いい例だ。

どうしても、この大きさとこの位置でなければならなかった必然性がうかがえない。

「マーク2の黄金時代を知る熟年層向けのセダン」というマーケットは必ず存在し、その重要性は今後さらに成長していくと思われる。だが、それにマークXで応えるにはもう少し攻めの姿勢も必要なのではないかと思った。

今の熟年層は、開発者が考える以上にアクティブで、新しいものに対する興味と関心が高いのだ。

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金子 浩久
筆者金子 浩久

モータリングライター 1961年東京生まれ。 自動車と自動車に関わる人間について執筆活動を行う。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』など。記事一覧を見る

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