ホンダ インサイト 実燃費レビュー【総評編】(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:吉澤 憲治(編集部)
もう少し時間とコストを掛けていれば・・・
インサイトとフィットとの燃費の差で、車両価格の差を埋めるのには、かなりの長距離を走らなければならないことになる。
しかし、「燃費だけでクルマを選ぶわけではない」という考え方を採るのならば、インサイトの魅力とは何になるのか。それが、僕には500km走って、明確にはわからなかった。
ナチュラルな運転感覚ならば、フィットにもそれは備わっている。
「福井威夫 本田技研社長(2009.5.31現在)が、“2009年に200万円以下でハイブリッドカーを発売する”と発表したので、開発は時間との戦いでした」
インサイトのメディア向け試乗会で開発担当者は、“2009年に200万円以下で”がいかに過酷であったか語っていた。
たしかに、その通り苛烈を極めた開発作業だったことだろう。
しかし、500km走ってみての僕の結論も、その言葉通りなのだ。もう少し時間とコストを掛けて開発されたならば、ホンダらしい魅力に溢れたハイブリッドカーが誕生していたのではないか。IMAシステムによる動力性能と燃費はこのままだとしても、インテリアデザインや快適性(特に後席)を磨くことによって、素質を伸ばせたはずだ。
ひとくちに“ハイブリッドカー”といっても、さまざまなタイプが存在している。
燃費を向上させることを主眼に置いたものから、ハイブリッドシステムをパワーアップのために用いたものまである。インサイトは電池とモーターを小型軽量化させることによってナチュラルな運転感覚を備えつつ、燃費を 向上させた。
今までだったら、両立が難しかった目標を達成している。価格も安いという長所も光っている。
ハイブリッドシステムは「縁の下の力持ち」 に徹しながらガソリン消費量を抑え、構えることなく、誰でも気軽に乗ることができる。
親しみやすい ハイブリッドカー、それがインサイトだ。
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