メルセデス・ベンツ 新型Sクラス 海外試乗レポート/木村好宏(2/2)
- 筆者: 木村 好宏
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本/DAIMLER AG
クラシックな操作でキーをひねると、4.7リッターV8ツインターボが遠くの彼方で目覚めたのがレブカウンターが跳ね上がったことで認識できる。最高出力455馬力、最大トルク700Nmのパワーは十分以上で、わずかにスロットルを踏み込んだだけで5.2メートルを超える巨艦は、物理の法則を破るかのように軽快にトロントの町並みをリードして行く。カタログによる時速100kmまでの加速は僅か4.8秒、最高速度はリミッターの働く250km/hに達する。
カナダのハイウエイにおける法定最高速度は日本と同じ100km/hで、その結果走り方も日本と似ていた。ただし路面はアメリカのようで必ずしもスムースではない。しかし前方の不整路面を監視するステレオカメラによってサスペンションを事前に準備、適合させ、キャビンを安定させるマジック・ボディ・コントロールによってパッセンジャーはまるで文字通り魔法の絨毯に乗っているような感覚である。
まさにベストカー・イン・ザ・ワールドの極み
さらにエマージェンシー・ブレーキ機能とレーンキープアシストを持ったディストロニック・プラス(アクティブクルーズ・コントロール)によってあたかも自動運転のような安心感も生まれている。これらは全てこのSクラスに搭載されている28個のカメラ、赤外線センサーそしてレーダーによって可能になった。
まさにベストカー・イン・ザ・ワールドの極みがここにある。ただし気になる点もある。7速のオートマチックだ。すでに8速がラグジュアリーカーだけでなくCセグメントにも普及し、これからは9速の時代に入ろうとしている時点で、7速はSクラスには似合わない。もっともこのことはSクラスの開発陣も熟知しており、今年の秋までには「時代にマッチしたオートマチックを発表する」と宣言している。
最後に価格だが、テストしたこのS500ロングのベース価格はドイツで107,636ユーロ(約1,350万円/19%の付加価値税込)のプライスタッグが付けられる。
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