メルセデス・ベンツ 新型Sクラス 海外試乗レポート/西村直人(2/2)

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  • カメラマン:メルセデス・ベンツ日本/DAIMLER AG  ライター:西村直人
メルセデス・ベンツ 新型Sクラス 海外試乗レポート/西村直人
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“柔”と“剛”を見事に両立

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ところで、新型Sクラスが採用する第3世代のアルミニウムハイブリッドボディシェルは、先代Sクラスのホワイトボディとの比較で100kgの軽量化(S500ロングボディの車両重量は2015kg)と、50%近くのねじり剛性アップにより、軽量かつ高剛性なボディを実現している。

そのため、ABC(アクティブ・ボディ・コントロール)のスイッチをスポーツに設定すれば、S字状のワインディング路で左右に連続して切り返すステアリング操作に対しても、この軽さが功を奏し3165mmのロングホイールベースからは考えられないほどに忠実な反応を示すのだ。

また、高剛性ボディはドライバーとの一体感をより確かなものにするため、5246×1899×1494(mm)という堂々としたスリーサイズにも関わらず、ステアリングを握った瞬間から、ボディの四隅にまで神経が行き渡るような感覚が強くなる。快適性を重視したS500ロングボディですらここまで高い運動性能をもっていることから、いずれ追加されるAMGモデルではどんな演出がなされるか今から楽しみだ。

ただ、高剛性ボディとエアサスペンションの組み合わせにより提供される新次元のハンドリングや乗り味は、時として誤解を生む可能性も秘めている。つまり、ドライバーによってはデジタルチックというか、割とシャープな乗り味だと受け取られかねない。

こうした場面でも、「マジックボディコントロール」による威力は絶大だ。

大きなボディにゆったりと身を委ねられる懐の深い乗り味こそSクラスの醍醐味であるというメルセデス・ファンも少なくないというが、「マジックボディコントロール」はかつての乗り味である“柔”と、新世代メルセデスが目指した高剛性&フラットライドである“剛”、このいわば二律背反的な特性を見事に両立したといえる。

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気になる走りだが、試乗したS500(V型8気筒4.7リッター直噴ツインターボ[455PS/71.4kgf・])のパワーユニットは、日本で販売されている現行型S550と基本を同じくするものだが、パワーが20PS上乗せされていることに加え、ボディの軽量化により、一段と軽やかな発進加速性能を示した。

一方、ピークパワーの発生回転域は5250~5500回転とフラットになったため、7速ATである7Gトロニック・プラスとの組み合わせもさらに良くなり、トップエンドのパワー感を保ったまま、息の長い加速を堪能することができた。

冒頭の「衝突被害軽減ブレーキ」に代表される安全技術のいくつかは、日本で販売中の新型Eクラスとも共有するが、新型Sクラスでは専用の安全技術も搭載する。近・遠赤外線を使った夜間視界補助システムを進化させた「ナイトビューアシスト・プラス」もそのひとつ。

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走行中、歩行者や動物を捉えると自動的に赤外線カメラの映像が大型のTFT液晶メーター(幅30.7cm/12.3インチ!)中央にポップアップされ、歩行者や動物を赤枠の立方体で強調する。それだけでなく対象が歩行者の場合は、歩行者の頭部より下の部分にLEDフラッシュライトを4回照射し、ドライバーと歩行者の両者にお互いの存在を知らしめるのだ。

加えて、前面衝突時、前席シートベルトを巻き上げて衝突方向から引き離す「PRE-SAFEインパルス」、同じく前面衝突時、後席シートベルトを膨張させて乗員の胸郭にかかる負担を減らす「SRSベルトバック」など、新型Sクラスから導入された安全技術は数多い。

見どころたくさんの新型Sクラスだが、ドイツ本国では、S500(V型8気筒4.7リッター直噴ツインターボ_455PS/71.4kgf・m)のほか、S400 HYBRID(V型6気筒3.5リッター直噴+モーター[306PS/37.7kgf・m+27PS/25.5kgf・m])、S350BlueTEC(V型6気筒直噴ディーゼルターボ[258PS/63.2kgf・m])、S300 BlueTEC HYBRID(直列4気筒2.1リッター直噴ディーゼルターボ+モーター[204PS/51.0kgf・m+27PS/25.5kgf・m])の4タイプが初期ラインアップとなっている。

日本への導入時期は未定ながら、秋には東京モーターショーも控えていることから、年内であることは間違いないだろう。導入モデルは、S500/S400 HYBRIDあたりではないかと予想。また価格帯にしても、昨今さまざまなモデルで戦略的なプライスを掲げているメルセデス・ベンツ日本だけに、大いに期待したいところだ。

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