メルセデス・ベンツ 新型Gクラス「G350d」 試乗|新しい“G”にはディーゼルこそが相応しい(1/2)
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:MOTA編集部
2018年に刷新されたメルセデス・ベンツの人気クロカン四駆「Gクラス」。今回は従来型でも人気の高かったディーゼルモデル「G350d」に試乗した。全てを一新してもなお“Gクラスらしさ”は健在なのか。その乗り味について、モータージャーナリストの山田 弘樹氏がレポートする。
“G”はただのオシャレアイテムにあらず
港区あたりをすまし顔で流し、ゲレンデならぬアーバン・ヴァーゲンを気取るメルセデス・ベンツの“Gクラス”。芸能人御用達。ハイエンドなライフスタイルを演出する一台としてはテッパンの人気モデルだけに、私を含めた庶民派にはうがった見方をされがちなのだが、これがいざ乗ってみるとものすごくエンスーなクルマである。むしろGクラスをただの「背の高いベンツ」として購入するような人々は、その乗り味を少し古くさいと思うかもしれない。そして「鉄道」や「働くクルマ」が好きなアナタが乗ったら、思わず惚れてしまうに違いない。
そんなGクラスの魅力を、今回はお伝えしてみようと思う。
伝統的な味わいと個性を色濃く残しつつ現代化
今回試乗したのは「G350d」。2018年に骨格までを刷新する大改良を行いながら、型式は従来通り「W463」型を継承する5代目Gクラスに、待望のディーゼルユニットを搭載したことが、今回のトピックである。
Gクラスのルーツが軍用のクロスカントリー4WD車だというのは語り尽くされた話。1979年に登場して以来、その姿を大きく変えることなく4代目まで延命し、「いくらなんでもそろそろ終了だろう」と誰もが思ったそのとき、メルセデスがこの5代目を登場させて話題をさらった。それも、Gクラスが持つ伝統的な味わいと個性を、色濃く残す形で現代化したのである。
それもこれもGクラスの支持層が、その良さをきちんと理解していたから。表層的にはお洒落SUVとして人気のGクラスだが、メルセデスを動かすほどにその魅力は、ファンには理解されていたのである。
古めかしいドアノブのプッシュボタンを押して、Aピラーの取っ手を握りながらコクピットへ潜り込む。ドアを閉めると“ガシーン!”とドアがストライカーに咬み込む音が響いて、まず嬉しくなる。そして走り出すと、それより大きな“ガシャンッ!!”という音でドアロックが掛かり、一瞬ビクッとする。最新式でも、ゲレバは賑やかだ。
最高出力を41psアップさせた最新のクリーンディーゼルを搭載
さて今回の主役となるディーゼルターボ「OM656」は、メルセデスのフラッグシップであるSクラス、その「S400d」にも搭載される最新の実力派ユニットだ。
その排気量は3リッターで、最高出力は286PS/3400~4600rpm。最大トルクは600Nm/1200~3200rpmとなっている。
この数値は先代の350d(245PS/3600rpm、600Nm/1600~2400rpm)に対して最高出力にして41馬力もの向上を果たしているが、その高出力化は酸化触媒やマルチウェイ排出ガス再循環装置(EGR)の採用、二段構えのアドブルー噴射を用いること等で実現されている。
ディーゼルユニットは燃料を吹く(パワーを出す)ほどに煤(すす)を出し、燃焼効率を上げる(燃費を良くする)ほどに窒素酸化物(Nox)を出す面倒なユニット。それでも市場がモア・パワーを望むなら、高額な浄化装置を付けてでもクリーン・ディーゼル化への対処をする。これがプレミアムブランドの流儀である。
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