メルセデス・ベンツ CLS Shooting Brake 試乗レポート/石川真禧照(1/2)
- 筆者: 石川 真禧照
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
起源は、貴族や富豪の遊び向けモデル
メルセデス・ベンツが2004年に発売したCLSは、4ドアモデルだがルーフを低く小さくし、サッシュレスのウインドウを採用したクーペスタイルのサルーンだった。しかし、リアシートが狭く実用的ではなかった。
このようなコンセプトの4ドアクーペは1980年代半ばに日本で大流行した。しかし、輸出はされなかったので、世界的な規模ではCLSが新しい市場を作ったことになっている。
で、初代CLSだが、デビューと同時に北米や日本だけでなく、ドイツ本国でも大ヒット。居住空間の広さよりも、スタイリングのカッコよさを重視するユーザーが多いことを実証した。
昨年デビューした2代目はキープコンセプト。リアシートは少し広くなったのだが、全体のプロポーションはイマイチだったので、初代ほどのヒットにはなっていない。
そこでメルセデスは、次の一手を繰り出してきた。それが今回のシューティングブレークだ。もともと英国で生まれたこのボディ形式は、貴族や富豪の遊びクルマとしてつくられた。彼らが狩猟に行くときに、猟犬や獲物を乗せるスペースをボディ後半に備えているのが特徴。しかも、スポーツカーをベースにしていた。
1960年代からアストンマーティンDB6、ジャガーEタイプ、フェラーリなどをベースにカスタマイズされたモデルがつくられた。それをメルセデスがCLSで再現したのだ。
遊び心を持ちながら、しっかりと高級感も演出
デザインはCLSをベースにルーフを延ばし、リアゲートを設けた。でもワゴンとは異なり、そのリアスペースはあくまでもデザイン重視の末に生まれたもの。“実用性よりも遊びの空間”という解釈なのだ。
ボディサイズは全長が4ドアCLSよりも16mm長く、全高は3mmだけ低い。幅やホイールベースは4ドアと同じだ。でもボディ後半ののびのびとしたラインは、このクルマを大きく見せるのに成功している。
サスペンションはフロントがコイルスプリング、リアはエアスプリングを標準装備している。
インテリアデザインも、高級なデジーノシリーズで、荷室の床をウッドデッキ風にすることもできるなど、高級感を演出している。インテリア色は5色で、トリムデザインは5種類、本革は3種類を設定。ウッドも3種類から選べる。
リアシートは4ドアよりも広く、ヘッドスペースも身長170cmクラスでも狭くない。これは4ドアのCLSよりも確実に広く快適だ。
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