メルセデス・ベンツ Cクラス 試乗レポート

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:小平 寛、村西 一海
メルセデス・ベンツ Cクラス 試乗レポート
フロントビュー リアビュー インテリア フロントシート エンジン 走り トランクルーム タイヤ 画像ギャラリーはこちら

スポーティなCクラス

フロントビューリアビュー

現行Cクラスがデビューしたのは2000年春の事。それから4年後の2004年には大規模なマイナーチェンジを実施。新バリエーションを導入すると共に一部車種体系を見直して日本では同年6月から発売されているのが現在に至る最新シリーズだ。

このタイミングを機に導入された「C230コンプレッサー・アバンギャルド」は、高圧ターボの助けを借りて191psの最高出力と260Nmの最大トルクを発生する1.8LのDOHC4気筒エンジンを搭載。バイキセノン式のヘッドライトやウッドパネルなどを標準装備として「よりスタイリッシュでアクティブなお客様に向けてリリースした…」というキャラクターが報じられるセダン&ワゴン。

一方、同じくこのタイミングで新規導入の「C55AMG」は、Cクラスとしては初の8気筒エンジンを搭載したハイパフォーマンス・モデル。AMG社の手掛けて5.4LのV8 SOHCユニットは、367psと510Nmという高出力を発生。5速ATとの組み合わせが生み出す加速の能力は当然めざましく、セダン/ワゴン共に0→100km/h加速が5.2秒というデータが発表されている。

外装の雰囲気はそのままに、内装は若返り

インテリアフロントシート

昨年のマイナーチェンジでCクラスの内外装に加えられたリファインは、その項目数としてはかなり多岐に渡る。エクステリアでは各部のランプ類やグリル、バンパーなどに手が加えられたし、インテリアではシートのファブリック変更、トリムのデザイン変更、メーターパネルのレイアウト変更などを実施。装備的にも自動防眩式のルームミラーやCDプレーヤーの標準化などで、さらなる充実が図られているのが最新モデルだ。

それでも、エクステリアの全体的な雰囲気はマイナーチェンジ前とほとんど変わらない。こうして敢えて“イメージチェンジ”を図ろうとはしない点には、ダイムラークライスラーがオリジナルの現行Cクラスのスタイリングに大きな自信を抱いている事が伺える。

一方で、そのインテリアはメーターやセンター・パネル部分のデザインが変更を受けた事で、より若々しくスポーティな雰囲気が高まった印象。こうした“若返り戦略”には、最大のライバルである3シリーズへの対抗意識が見え隠れするようでもある。

C230やC180にも充分な走行能力を持たせている

エンジン走り

マイナーチェンジしたCクラスが目指したのは“モア・ドライビング・ダイナミクス”だという。具体的には「より強いダイレクト感を享受出来るシャシーやステアリングのチューニング」との事。そんな言葉の裏には、メルセデス・ベンツ全体の3割ほどを売り上げるというCクラスに、「ライバル3シリーズにも負けない走りのダイナミズムを加えたい」とそんな思いも込められているのかも知れない。

確かに、追加モデルである「C230コンプレッサー」の走りは、なかなかダイナミックな印象に満ちていた。スーパーチャージャー付ゆえのリニアで強力な加速感も印象的。ただし、アクセルペダルを大きく開かない領域では、同排気量ゆえに「C180コンプレッサー」で十二分な満足感を味わせてくれるのだが。

特に秀逸なのはそのフットワークのしなやかさ。ハンドリングのダイレクト感では3シリーズに一歩を譲るものの、フラット感や接地感が極めて高い上にスピードに拘わらない快適なしなやかさを演じてくれる。こうした点では、間違いなくこちらCクラスにより高い熟成ぶりを認める事が出来る。

ちなみに、やはり追加モデルである「C55AMG」の怒涛の加速ぶりは言うまでもないもの。アメリカンな迫力のサウンドを発しながら力強く大地を蹴って走り去るさまは、高回転技術によって高出力を手に入れたBMW M3などとはまた全く異なる種類の走りの歓びを味わせてくれる事になる。

ゴール間近を堪能しよう。

トランクルームタイヤ

ライバル3シリーズがフルモデルチェンジを終えて日本に上陸したばかりという今、話題性が向こうに集中するのはやはりある面やむを得ない事柄だろう。常にお互いを強く意識しながら開発が行われるCクラスと3シリーズというのは、こうしてお互いを切磋琢磨しながら育ってきたクルマたちでもあるのだ。デビュー時期の違いによる話題性の大小というのは、このクルマたちにとっては避けようのない状況と言って良いはずだ。

ただし、そうしたタイミング的にはちょっとばかり不利な状況下にある現在のCクラス最大の武器は、やはり『熟成』というポイントにあるように思う。中でも、マイナーチェンジを機に予想よりもかなり大きな進歩幅が感じられるその圧倒的にしなやかな乗り味こそ、デビューしたての3シリーズ対する大きなアドバンテージを生み出すポイントとなるようにぼくには思える。

今のCクラスは間違いなく「現行モデルの最終完成形」に近づいている。そんなモデルにじっくり乗るというのも、またメルセデス・ベンツとの賢い付き合い方であるように思う。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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