マツダ 新型ロードスターRF試乗(2018年6月改良)|エンジンのさらなる高回転化で人馬一体の走りが大きく進化

  • 筆者: 塩見 智
  • カメラマン:小林 岳夫

ロードスターのハードトップモデル「RF」が大幅に進化

マツダ ロードスターが2018年6月8日に商品改良を受けた。今回の商品改良では、外観に変更はなし(新色のソフトトップは加わった)で、中身が変わった。特に2リッターエンジンを搭載するリトラクタブルハードトップのロードスターRFについては大きく進化した。

ロードスターはソフトトップが1.5リッター、RFが2リッターのいずれも直4エンジンを搭載する。RFはソフトトップに比べて40~50kg重く、またMT:AT比率が半々(ソフトトップは8割がMT)ということもあって、よりトルキーな2リッターが採用されている。

海外で販売されるロードスターは、ソフトトップに2リッターを採用する市場もあれば、RFに1.5リッターを採用する市場もあるなど、仕向地の事情や好みに応じて組み合わせはいろいろある。

>>エンジンの進化で人馬一体感もアップしたマツダ 新型ロードスターRFの画像を見る

1.5リッターのソフトトップと2リッターのRFのそれぞれの魅力

日本仕様の両モデルを乗り比べると、1.5リッターのソフトトップは絶対的なパワーこそたかがしれているものの、高回転まで軽快に吹け上がって小気味よく、2リッターのRFは高回転まで回さずとも余裕ある走りを味わうことができる。あくまで相対的な話であって、2リッターであってもトルクがモリモリ…というわけではないが。

こんな風に書くと両エンジンとも大したことないように聞こえるかもしれないが、そもそも歴代どのロードスターも魅力の理由をエンジンパワーに頼ったことはない。むしろ普通のエンジンでもここまで魅力的なクルマができるということを証明し続けてきた偉大なスポーツカーだ。

最高出力がアップしてソフトトップ同様の伸びやかな加速に

それが今回、RFの2リッターエンジンに大きく手が加えられ、端的に言うと最高出力が大幅にアップした。結果も端的に言ってしまうと、エンジンそのものが魅力的になった。

ただし開発陣の狙いはピークパワーの向上ではなく、1.5リッターエンジンで得られるのと同じような伸びやかな加速を、2リッターエンジンにも盛り込むことだったようだ。

盛り込んだ結果、ピークパワーも116kWから135kWへと向上したのだという。

アクセル操作にリニアに反応”人馬一体感”が増した

開発陣の狙いである伸びやかな加速というのは、具体的にはエンジンの高回転化だ。従来の2リッターの最高回転数は6800rpmだったが、これを1.5リッターと同じ7500rpmまで引き上げることで、伸びやかな加速を実現した。

新型ロードスターRFの試乗会では、マイチェン前のモデルも用意されていて乗り比べることができたのだが、プラス700rpmの効果は大きく、2速でも3速でも最後にビュンとひと伸びする。

試乗会の会場となった静岡県の伊豆サイクルスポーツセンターは、メインストレート以外には直線といえる直線がなく、現行型RFだと2速を使い切って3速に入れてアクセルを踏んだ瞬間、コーナーに差し掛かって減速…という場面が多いのだが、新型ならちょうど2速を使い切るあたりでコーナーに差し掛かり、より爽快なドライビングを味わうことができた。

マツダが「アクセル操作に対する車両の応答がドライバーの期待通りのものであることを追求した」という通り、アクセルの踏み始めの反応が鋭く、アクセル操作に対しエンジンが遅れなく、そして操作量に対しリニアに反応して加速するので、マツダが常々言ってきた人馬一体感が増したと感じた。

大きな効果を生み出したマニアックで地道な手法とは?

「高回転化を実現」と文字にすれば7文字で終わってしまうが、やれVTECだMIVECだと無邪気にパワーアップだけ目指していればよかった時代とは違い、今の時代にこれをやるのはなかなか難しいはずだ。

昨今、パワーアップはターボの過給圧を上げて実現するパターンが圧倒的に多い。今回のマツダのように、NAのまま吸気ポートを独立型から吸気抵抗の少ない一体型としたり、インテークマニホールドの通路面積を拡大し、経路を短縮したり、あるいはピストンやコンロッドの軽量化を図り、ピストンの頭頂部の高さを下げて吸気のタンブル流を強めて燃料速度(混合気が燃えきる時間)を増すような、マニアックで地道な方法でパワーアップを図るのは珍しい。

ターボ化などの高価なソリューションを使えばもう少し簡単に同じ効果を得られたかもしれないが、マツダがつくっているのはロードスターであってボクスターではない。価格が高くなっては意味がないのだ。

ロードスター初のテレスコピックステアリングを採用

ロードスターに対し「普通のエンジンでも魅力的なクルマ」などと書いたが、当然ながらエンジンが魅力的になってもその分魅力が増すだけで邪魔になるわけではない。したがってロードスターRFは新型となり魅力を増した。大幅に増した。

2リッターエンジンのキャラクターが1.5リッターエンジンのキャラクターに近づき、純粋に500cc分だけハイパワーになった。なお今回のマイナーチェンジでは1.5リッターエンジンにも小規模ながら手が加えられ、レスポンス面に磨きがかかった。

足まわりに変更はない。変更する必要がない。これ以上要らないと思えるほどによく曲がるし、タイヤのグリップ限界に達したらそのことが手に取るようにわかる挙動もそのまま。

一点、インターフェイスでも大幅な進化があった。チルト機能だけだったステアリングホイールに初めてテレスコピック機能(調整幅30mm)が加わったのだ。地味だが重要な変化だ。

ソフトトップ・ハードトップともに自動ブレーキ標準装備で安全性能向上

航空機を引っ張るトーイングトラクターといった特殊車両は別かもしれないが、世のほとんどのクルマは軽いほうがよい。ライトウェイトスポーツカーに分類されるロードスターは特にそう。ロードスター開発者はどの部門も聖域なくグラム単位の軽量化を課せられている。ただし安全デバイス装備による重量増は別だ。今回のマイチェンでロードスターも世の中の流れに沿って安全性能を向上させた。

フロントカメラやリアバンパーの超音波センサーで車両、歩行者、障害物を検知し、衝突の回避、被害軽減を図るアドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート、いわゆる自動ブレーキが標準装備となったほか、AT車には誤発進抑制制御(前進&後退)も標準装備となった。これらと元々備わっていた車線逸脱警報システムなどを合わせ、経産省、国交省などが安全デバイスの普及を目的に認定する「サポカーSワイド」に該当するようになった。

このほかソフトトップモデルのトップに新色のブラウンが設定された。そのブラウントップとタン色のレザーシートなどが装備される特別仕様車「キャラメルトップ」が加わった。

ソフトトップのロードスターでも2リッターエンジンが選べたら…

もしも自分でロードスターを買うことを想定してみると、これまでならばソフトトップしか考えられなかった。トップが硬いか柔らかいかが問題なのではなく、よく回る1.5リッターエンジンのほうが魅力的だったからだ。

だがRFのエンジンが大幅進化した結果、相当迷うようになった。今一番思うのは、この最高出力135kWのエンジンをソフトトップのほうでも選べるようならないかなということ。やってできないことはないはずだ。

[TEXT:塩見智/PHOTO:小林岳夫]

マツダ ロードスターRFの主要スペック

車種名マツダ ロードスターRF
全長3915mm
全幅(車幅)1735mm
全高(車高)1245mm
ホイールベース2310mm
車両重量AT:1130kg/MT:1100kg
乗車定員2人
エンジン種類水冷直列4気筒DOHC16バルブ ガソリン直噴エンジン
排気量1997cc
最高出力135kW(184ps)/7000rpm
最大トルク205N・m(20.9kgf・m)/4000rpm
使用燃料無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション6EC-AT/SKYACTIV-MT 6MT
駆動方式2WD(FR)
価格(消費税込)336万9600円~381万2400円
マツダ/ロードスターRF
マツダ ロードスターRFカタログを見る
新車価格:
344万円390.1万円
中古価格:
237万円570万円
マツダ/ロードスター
マツダ ロードスターカタログを見る
新車価格:
260.1万円333.4万円
中古価格:
19万円414万円
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塩見 智
筆者塩見 智

1972年岡山県生まれ。1995年に山陽新聞社入社後、2000年『ベストカー』編集部に入社。2004年(株)に二玄社『NAVI』編集部員となる。2009年『NAVI』編集長に就任。2011年からフリー編集者、ライターへ。主にWeb、ラジオ、雑誌等における試乗記からインタビュー、イベントの司会やトークショー等を手掛ける。記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集長)

新車の見積もりや値引き、中古車の問い合わせなど、自動車の購入に関するサポートを行っているMOTA(モータ)では、新型車や注目の自動車の解説記事、試乗レポートなど、最新の自動車記事を展開しており、それらの記事はMOTA編集部編集長の監修により、記事の企画・取材・編集など行っております。MOTA編集方針

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