マツダ 新型CX-5はなぜ後輪駆動となるのか!? 実はマツダブランドの確立と効率化が理由だった
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:MOTA編集部
2022年度に投入される見込みのマツダ 新型CX-5とマツダ6。これまで横置きエンジン、そして前輪駆動をメインとしてきたマツダだが、これら新型モデルは後輪駆動となる。もっといえば昨今は小排気量エンジンとターボを組み合わせたダウンサイジングエンジンを搭載するのが通例となっているが、言ってみればマツダはそのが逆の作戦をとるのだった。一体これからマツダはどんな将来像を描いているのか? バブル期の失敗を考える心配になってくるが、じつはマツダの作戦はかなり効率的な考えであった。
マツダ CX-5などの大型モデルは全て前輪駆動から後輪駆動にチェンジ! 新開発エンジンを搭載
「火のないところに煙は立たず」というフレーズは、どちらかというとネガなニュアンスで使われることが多いが、今回は圧倒的にポジティブな話だ。
2018年ごろから「マツダが直列6気筒エンジンを開発している」というウワサがまことしやかに流れ、そして2019年5月の決算報告会見において、マツダは公式に直列6気筒エンジンおよびFRプラットフォーム(後輪駆動)を新たに開発中であることを明らかにした。
まさかの発表に、業界内はもちろんクルマ好きのネットユーザーも大いに色めき立った。
マツダ次なる一手は大型モデルの大変革! マイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドの追加で電動化を加速
マツダ3やCX-30といった小型モデルに新開発エンジンを搭載
内燃エンジンに対して強いコダワリを持つマツダが、「スカイアクティブ・テクノロジー」を掲げ、一連の躍進を見せてきたのは周知のとおり。
そのフェイズ2は、マツダがスモール商品群と呼ぶものについては、2018年発売のマツダ3を皮切りにスタートしており、新たに過給器とマイルドハイブリッドを組み合わせた「スカイアクティブX」を追加。
そのほか新感覚のSUVであるMX-30にマイルドハイブリッドや100%BEVを設定したり、ほどなくロータリーエンジンによるレンジエクステンダーEVも世に送り出される見込みであるのはご存知のことだろう。
新型CX-5やマツダ6などの大型モデルは直列6気筒エンジンを搭載! 前輪駆動から後輪駆動モデルへ変更
冒頭で述べた、新開発の直列6気筒エンジンを搭載し、駆動方式がFRレイアウトとなるのは、ラージ商品群だ。
マツダ6や、おそらく新型型では「50」や「80」にケタが増えるであろう、CX-5やCX-8が当てはまる。
実のところ、当初は今年中の投入が予定されていたのだが、2020年11月の中期経営計画見直しの中で、事情により1年ほど遅れることが発表された。とはいえエンジン自体の開発は順調に進んでおり、件の直列6気筒版はガソリンエンジンのスカイアクティブG、ディーゼルエンジンのスカイアクティブD。そしてマツダ独自のスカイアクティブXの3種類をラインアップすることを明らかにした。
なお、直列4気筒版はガソリンエンジンのみで、6気筒エンジンにはスカイアクティブXと48Vマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドが設定される。
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マツダは他メーカーとは真逆の作戦! 今ある技術をさらにブラッシュアップさせて商品化へ
それにしても、マツダが得意とするものとは反対に、ダウンサイジングの次は極端なまでの電動化に進むご時世において、マツダのアプローチは“逆張り”といえるほど。
ましてや直列6気筒の経験の乏しいマツダが新たにそれを作ろうというのは相当に大変なことではと思えるのだが、どのような考えでこうなったのか知ると、意外とすんなり納得できる。
まず、6気筒とする最大の理由は、排気量を大きくすることで低いエンジン回転数で走れるようになり、加速時にもトルクの余裕が出るとともに、実用域での燃費改善が期待できる点にある。
ましてやSUVタイプの車両がますます増える中、車両重量が増加するとタイヤ等の走行抵抗も増えるため、適切な排気量とすることで環境負荷を低減していくことを念頭においている。
トータルで考えれば直列6気筒は効率的だった
横置きにも対応できるV型6気筒エンジンではなく、あえて直列6気筒とするのは、直4で培ったノウハウの多くが応用でき、まさしく「プラス2気筒」の考え方で開発できることも大きい。
V型ではなく直列6気筒だと吸気系や排気系をひとつにまとめられるという内燃機関メリットもある。
むろん裏テーマとしてはエンジンフィールの向上が期待できることもあるだろうが、マツダとしては直列6気筒とする真の狙いは、エミッションの部分で、より効率的なシステムにしていきたいという思いが強いようだ。
マツダ得意の技術は新型モデルでさらに進化! 新たな技術が組み込まれる予定
また、後輪駆動化によりドライバビリティが高まることも期待できるわけだが、そのあたりについてはいまのところマツダからの正式なアナウンスはない。
シンプルに考えて、直列6気筒エンジンを搭載すると、ボルボのような例外もあるが、縦置きレイアウトとするのが基本であり、必然的に後輪駆動となるにすぎず、何かを得るために後輪駆動にしたという話ではないようだ。
とはいえ、マツダで後輪駆動と聞けば、もちろんドライビングプレジャーに期待せずにいられないわけだが、逆に後輪駆動とすると、このところマツダが力を注いでいる、エンジンの駆動力で荷重移動を制御してハンドリングを向上させるという「Gベクタリング コントロール」は、そのロジックを考えるとおそらく使えないことになる。
たとえ4WDを組み合わせても相当に難しい気がするのだが、なんから新しいものを開発していることも考えられる。
マツダはプレミアムブランドを目指すワケじゃない!? 北米など海外市場で勝つための作戦だった
乗用車向けに直列6気筒エンジンを生産するのは、一時期はBMWのみとなるほどだったが、最近ではメルセデスやジャガーランドローバーなど、ひと足早く欧州で復活の兆しが見られる。
ただしそれらはあくまでプレミアムブランドに限られ、マツダが名乗りを上げたのは、将来的に仲間入りを目指しているからかとういと、おそらくそうではない。
かつてバブル期に背伸びをしすぎて痛い目を見たマツダは、いまでは自らの身の丈をよく理解している。それゆえ、モーターショーで披露し世界で喝采された「RX-VISION」と名のつくコンセプトカーをもとにしたクルマの市販化にも相当に慎重だ。もし出すとしたらかなり高価になり、それが採算に合うほど売れるのほどのマツダブランドにそこまでの神通力があるとは彼らも考えていない。
海外で4気筒エンジンは格下!? ブランドを確立させるにはエンジンが重要
それでも6気筒エンジンを作る理由として、欧州市場は4気筒が主体でよいと思うが、北米市場では4気筒は明らかに「格下」と認識されてしまう。
そこでマツダとしては、同じ日本製や韓国系の立ち位置の近い競合ブランドから一歩抜きん出るには、プラス2気筒が必要だと考えたと思うと、非常に納得がいく。
将来的にはマツダとレクサスで兄弟車を開発の可能性も
さらには、このクルマの開発で得たものをトヨタとのアライアンスの中で活かすことも考えられる。一時はアーキテクチャを共有するのでは? と目されたクラウンは、どうやら次期型ではFFとなることのほうが濃厚になってきたが、レクサスであれば大いにありえる話のように思える。
直列6気筒エンジンの搭載とFR化は、マツダにとっても新たな一歩であり、将来に直結する重要な戦略となるのはいうまでもないが、きっとマツダならではの新しい何かを見せてくれるに違いない。大いに期待して待つことにしたい。
【筆者:岡本 幸一郎】
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