マセラティ グラントゥーリズモ 海外試乗レポート(2/2)
- 筆者: 石川 真禧照
- カメラマン:コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
もはや、目の前の景色に見とれている暇などない
試乗したのはシンガポール。日本上陸の前に特別メニューとして試乗会が行なわれた。6速ATをDレンジにシフトしてスタートする。
アイドリングから低く、轟くエキゾーストノートが迫力たっぷりだ。V8 4.2Lエンジンは2,500回転あたりからアクセルレスポンスが快調になる。普通にスタートしても隣りに並んだクルマがアッという間にバックミラーに映る。さらにアクセルペダルを踏みこむと、4,000回転をオーバーしてからの加速力とエキゾーストノートからの快音は、スーパースポーツカーらしく、ドライバーと同乗者の身体をワクワクさせてくれる。
スピードを出しているという感覚はあまりないのだが、フト気がつくとグラントゥーリズモはとんでもないスピード走行をしているだ。さらにSモードのボタンを押すとシフトモードが一変し、よりスポーツ走行向きになる。Dレンジでも 4,000回転以上でシフトアップするモード。つい飛ばしたくなってしまう。
優雅なスタイルのグラントゥーリズモだが、走りに関しては創業以来のレーシングカーの血が流れている。
魅惑のクーペ その存在は実に奥深い
グラントゥーリズモの特徴はまだある。例えば、“使える”リアシートだ。4ドアセダンのクアトロポルテのホイールベースを短くしたとはいえ、リアシートは大人2名が座り、ロングツーリングも無理ではないスペースが確保されている。低い着座位置の左右セパレートシートはアームレストやカップホルダーも備わり、小もの入れも十分。ヘッドスペースも身長160cmまでなら、リアウィンドウに頭があたることもなく、足元も狭くない。
この手のラグジュアリー2ドアクーペのなかでは、もっとも快適なクルマの1台に挙げられる。
トランクスペースも奥行は約63cmだが、左右幅は1,050~1,430mmもあるので、ゴルフバッグも十分に収納できる。実用レベルも高いのだ。車両価格は1,530万円。アストンマーチンV8ヴァンテージ(1,555万円)、メルセデス・ベンツCL550(1,520万円)が同価格帯だ。
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