伝統とテクノロジーが綴る宝珠のV8! マセラティ グラントゥーリズモ/グランカブリオ ジャパンプレミアレポート(1/2)
- 筆者: 中込 健太郎
- カメラマン:マセラティジャパン・中込 健太郎
イタリア・ミラノから空輸されたばかりの最新マセラティを”成田で”お披露目!
2017年10月12日、マセラティはそのブランドを代表するモデル「グラントゥーリズモ」とそのバリエーションであるオープンモデル「グランカブリオ」にマイナーチェンジを施し、2018年モデルとして日本にも導入すると発表した。
この新しくなったマセラティが誇るフラッグシップモデルのお披露目の場に選ばれたのは、成田国際空港貨物ターミナル地区にある制限区域内のハンガー(航空機格納庫)だった。
イタリア・ミラノから、MASERATIのロゴを纏ったボーイング747のフレイターが空輸してきた真新しいグラントゥーリズモ/グランカブリオの最新モデルを、日本に降り立つまさにその瞬間の感動を共有しようという趣向で、プレスや、顧客を招いて開かれたこのイベント「MASERATI GranTurismo&GranCabrio Japan PREMIERE」の模様を振り返る。
今や希少なV8自然吸気を継続したグラントゥーリズモとグランカブリオ
このイベントのインビテーションを受け取った時、正直ある種の安堵を覚えた。100年を超える歴史を誇るメーカーのフラッグシップモデルであるクーペモデルに関しては、ここ最近その継続の是非がしばしば話題にあがっていたからだ。
次期モデルが登場するのか、従来のモデルの生産はどうなるのか。気をもんでいたエンスージアストも少なくないのではないだろうか。大胆な演出で遊び心さえも感じる今回のイベントは、同時にオーセンティックな魅力を大切にしてきたこのモデルがまたしばらく生産されるという決定をも意味する。
もはやこういったキャラクターだけをとっても大変貴重な存在になりつつあるマセラティグラントゥーリズモ/グランカブリオ。その2018年モデルはどんなところが新しくなったのだろうか。
マイナーチェンジを受けデザインを刷新したグラントゥーリズモ/グランカブリオ
まずグラントゥーリズモ/グランカブリオとも、「スポーツ」と「MC」の2バージョンがラインナップされる。
エンジンは4.7リッターのV8自然吸気エンジンに統一。このエンジンは引き続きフェラーリで組み立てられ、最高出力460馬力を7000回転で、最大トルク520Nmを4750回転で発生するもの。
ウェットサンプ方式で175kgと軽量コンパクトなのも特徴で、もはや最後の自然吸気V8エンジンの一つだ。
ステアリングを握る人の胸に響く鋭いスロットルレスポンスと軽やかな吹け上がり特性、そしてこのエンジンが奏でる独特のマセラティサウンドは引き続きファンを魅了し続けることになるだろう。
また、クラシックなピニンファリーナのデザインは、今回のマイナーチェンジで2018年モデルよりスタイリングの見直しを受けている。
その、エアロダイナミクスを強化したエクステリアデザインの刷新は、あくまでもピニンファリーナが手掛けたオリジナルのデザインへの敬意が払われたもの。
その結果、空力の改善ばかりでなく、最新モデルとして当然備わっているべき歩行者安全など、最新の安全規制への適合などもクリアしつつも、不朽のデザインがもたらす全体的な印象は大きく変わらないものとなっている。
伝統のV8を継続しプレミアムGTカーとして更なる進化を遂げた
こんなリニューアルを受けたグラントゥーリズモ/グランカブリオのすべては、オルシ家がマセラティ兄弟から会社を取得した2年後の1939年の9月に、にボローニャからモデナに移ってきたときからの伝統的な工場、“ヴィアーレ・チーロ・メノッティ322番地”にある、モデナ市の歴史的遺産としても厳重に管理されている建物でもあるこの工場で組み立てられる。
2013年までのマセラティはすべてこの工場で生産されていたものの、その後生産規模の拡大に伴い、最新鋭のラインをジョヴァンニ・アニエッリ工場や、レヴァンテを生産するためのミラフィオーリ工場などに生産拠点も広げてきた。
しかしながらこのグラントゥーリズモ/グランカブリオは、1947年にマセラティが最初に世に送り出したGTカー「A6 1500」と同じ工場で組み立てられることになるのだ。
最後のV8エンジンを搭載した、伝統的赤レンガの建造物である工場で生産される美しいGTカー。もし経済的に可能であれば、これ以上にこのクルマを選ぶためのクリアしなければならない障壁は果たして存在するのだろうか、とさえ感じさせる、まさに「現代でも実際に買うことができる珠玉の名車」そんなクルマのリニューアルのお披露目がこの「MASERATI GranTurismo&GranCabrio Japan PREMIERE」。
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