【試乗】レクサス RC・RC F 試乗レポート/西川淳(3/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:LEXUS
F SPORTではない「RC350」にはやや不満も
喜んだのも束の間、途中で乗り換えた「RC350」には乗り味に多少の不満があった。
80~100km/hあたりを走行中に、細かでばらつきのある振動をRC 350 F SPORTよりも多く感じてしまい、それが全体的な乗り味に雑味を与えていた。F SPORTが良かっただけに、少し残念だ。足回りのセットだけでなく、シートなど“媒介”の違いによるものもあるのだろう。
逆にいうと、格好だけでなく乗り心地で考えてもRC350 F SPORTのセットを選ぶ理由があるということ。重い「RC 300h」の乗り心地も気になるところだが、それは日本で正式発表(10月中旬以降)されてからのお楽しみとしておこう。
“モンティセロ”に着いてからも、RC350 F SPORTはグッドバランスなマシンであり続けた。アップダウンとブラインドコーナーの続く全長5キロ超の本格的テクニカルコースを、“水を得た魚”のように易々とこなす。
パワーフィールも十分で、なによりステアリングフィールとレスポンスの良さが嬉しい。車体の後半部分が頼もしく踏ん張り、まるで“両手で前輪を抱え込んでいる”かのような意のままに操れる感覚があるから不安はなく、また、多少のスライド(ESPオフ)を怖がることもなく、思う存分アクセルペダルを踏んでいける。
絶対的な速さ、ではなく、操縦感覚を楽しむクルマとしても一級レベルにある。ほとんどスポーツカーの領域だ。
RC Fの官能性はBMW M4やC63AMGクーペにも迫る
そんなRC350 F SPORTの“楽しさ”を全方位的に引き上げて絶対的な速さを手に入れつつも、ドライバーを虜にするドライビングファンを実現していたのが「RC F」である。
今回、ノーマルの「RC F」とオプションの「カーボンパッケージ装着車」を同じ舞台で試すことができたのでご報告したい。
カーボンパッケージ(CP)はマイナス10キロ。
ボンネット、ルーフ、リアウィングと、高い位置のパーツがCFRP化されたことで効果は絶大。ノーマル・サンルーフ装着車とのサーキット比較では、CPにTVD(トルク・ベクタリング・デフ)が装備されていたこともあって、まるで“別物”のようなドライブフィールであった。
FRとしては初めてとなる「TVD」。ありとあらゆる場面でリアアクスルが骨太に安定し、クルマが綺麗に曲がっていく。タイトであろうとなかろうと、ガンガン踏んでいける。あまりにリアが安定し過ぎて、フロントがついてこれない場面もあったが、それでも気にせず踏み続ければ易々と曲がっていく。「サーキットモード」は速さ重視だが、「スラロームモード」を選べばFRらしいダイナミックなコーナリングが楽しめた。
パワートレインは基本的に「IS F」から引き継ぐが、エンジン、ミッションともに官能性と環境性を引き上げてきた。特に、自然吸気らしさを大切にした、高回転域で抜けの良いパワーを感じさせるトルクフィールと、「LFA」ほどではないけれども豪快なV8ノートは、実にエモーショナル。この部分では(ターボになった)新型の「BMW M4」の上をいく。きっと(あれば)3ペダルMTでも楽しめるに違いない。
完全オートマチックモードに「S+」が加わったことで、自分で変速操作をしなくても、存分に速く走らせることができる。いちど味わうと変速が面倒になってしまうほど、よくセットアップされていた。
公道でもFを試してみたが、明らかにノーマルより身が引き締まっていて、路面にも近い。そのぶん、フラット感はもちろんノーマルよりかなりハードな乗り心地だけれども、カラダの芯に直接響いてくるような、そんな心地悪さではない。さらに強いボディと専用の足まわりが、19インチタイヤをよく履きこなしている。
ダイナミックな走りと格好の良さを手に入れた「RC」。ドイツプレミアムの2ドアクーペ勢に、決してひけをとらない基本ポテンシャルを手に入れたと言って良いだろう。
特に、RC Fの仕上がりは「官能性」という点で、BMW M4どころかC63AMGクーペにも迫っている。ドライブして素直に笑顔のこぼれた初の国産プレミアムクーペかもしれない。
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