レクサス GS460 試乗レポート
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:原田淳
GSの返り咲きを狙うレクサスのシナリオとは
2005年7月にレクサス店が開業したときには最上級モデルだったグランドセダンのGSも、フラッグシップモデルであるLSが登場すると、その陰に隠れるような形になってしまった。
今年1~10月の販売台数で見ても、LS系が合計で1万7000台を超える販売台数を記録しているのに対し、GS系は合わせて4000台足らずにとどまっている。
このような状況に対応してGSの魅力アップを図るため、2007年10月のマイナーチェンジでV型8気筒エンジンの搭載車をGS430に代えてGS460を投入してきた。同時にATも電子制御8速ATに変更されている。
LS460と同じエンジンとトランスミッションをGSにも搭載した形で、車両サイズの違いによる吸排気系の取り回しなどによって動力性能にはやや違いが生じているが、GSの走りが大きく向上したのは間違いない。
なお、今回のマイナーチェンジでは同時に、GS350にもVDIMを採用するなどの改良が行われている。
より高貴な佇まいを魅せるエクステリアと、至高の上質空間を 感じさせるインテリア
今回のマイナーチェンジではGS350なども含めて内外装のデザインに手が加えられた。フロントグリル、前後バンパー、アルミホイールなどのデザインが変更されたほか、ウインカー付きドアミラーが採用されるなどして、外観デザインを進化させている。同時にボディカラーも新色2色が追加されるなど、新鮮な印象を与えている。
インテリア回りも最高級レザーのセミアニリン本革シート&トリムを採用した仕様を新設定して一段と上質な室内空間を演出したほか、金属製のシートオーナメント、ダブルステッチ縫製のシート、アローヘッドを強調したシフトゲートなどを採用して細部の質感を高めている。
このほか、新たなシート色としてライトグレーを採用した上で、内装色と木目パネルとの組み合わせを従来の4通りから18通りに増やして、ユーザーの選択肢を大幅に拡大させている。
重厚なトルクフィールと軽快なハンドリングフィールの乗り心地
GS460に搭載される1UR-FSE型エンジンのパワー&トルクは255kW/460N・mを発生する。これはLS460の283kW/500N・mに比べるとやや見劣りする数字だが、実際に走らせたフィールにはそう大きな違いはない。
これはLS460の車両重量が2t近いものになるのに対し、GS460の重量は200kgほど軽くなるからだ。LSが重厚感のある走りを実現するのに対し、GSはやや軽快感のある走りとなる。
それ以上に、GS460を走らせてすぐに感じられるのは静かさと滑らかさだ。これはレクサスブランド車がかねてから提示してきた新しい価値であり、それはGS460にもしっかり受け継がれている。
乗り心地はかなりしっかりした印象で、やや硬めとも思える乗り味を実現している。GS460には標準の18インチタイヤのほかにランフラットタイヤの装着車が設定されていて、これにはアクティブスタビライザーもセットで装着される。
標準車の乗り心地がしっかりした印象だったので、ランフラットはかなり硬くなるかと思ったらさほどではなく、バランスのとれた乗り味とされている。アクティブスタビライザーもロールを抑えた安定感のある走りに貢献している。
格段とGSの存在価値を高めた4.6Lエンジン+8速ATは要注目
試乗する前は、GSにも4.6Lエンジンを搭載したのではLSとの違いがあいまいなものになってしまうのではないか、と思ったが、実際にGS460に試乗し、さらにLS460とも乗り比べてみると、GSにはGSの、LSにはLSの存在意義があることが理解できた。
走りの違いはそう大きなものではないともいえるが、GSはややスポーティなイメージの走りを実現し、LSはよりラグジュアリーな走りを実現している。もちろんボディサイズが違うし、価格帯も異なるのだから、ユーザー層も違ったものになるだろう。
4.6Lエンジン+8速ATの搭載によって、GSの走りは大きく進化した。動力性能の向上ともに、静かで滑らかな変速フィールを実現する8速ATの効果が大きい。
相当に意識していても何速のギアを使っているか分からないような滑らかな変速は、このV8用の8速ATならではの乗り味だ。GSは余裕のパワーとともに一段と上質な走りを手に入れた。
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