台風や大雨はハイドロプレーニング現象やアンダーパスに要注意!ドライバーが気を付けるべきこととは

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直近では2021年8月12日から13日にかけて西日本で記録的な大雨を記録するなど、秋にかけて台風が接近しやすい季節であることや、気象異常によってゲリラ豪雨なども増えている。こうした悪天候時に注意してほしいのがクルマの運転だ。ハイドロプレーニング現象や冠水路などでの注意点に触れながら、台風や大雨など悪天候時の運転で気をつけるべきことを紹介しよう。

目次[開く][閉じる]
  1. ハイドロプレーニング現象に注意!
  2. 冠水路には進入するな! 最悪エンジンが全損してしまう可能性も!
  3. 強風時のドアの開閉にも注意が必要!

ハイドロプレーニング現象に注意!

走行中に大雨に出くわしたときに気を付けることは数多くある。もしも、それが高速道路であれば速度を落とすべきだ。これは、タイヤと路面の間に水の膜ができる「ハイドロプレーニング現象」を避けるためだ。

タイヤには水を排水する機能が備わっているが、速度が高くなると、その機能が追い付かなくなることで、ハイドロプレーニング現象が発生する。

ハイドロプレーニング現象になると、タイヤのグリップ力が失われるため、ハンドル操作もブレーキも効かなくなる。つまり、非常に危険な状況に陥ってしまうのだ。

ハイドロプレーニングに遭遇したらなすすべなし! 日頃の点検が欠かせない

もしも、ハイドロプレーニング現象になったら、できることはなにもない。じっと我慢して、グリップの回復を待とう。

また、速度の出し過ぎだけでなく、タイヤの摩耗や空気圧不足などでも発生するため、常日頃のタイヤの点検も重要となる。

タイヤ店やカー用品店では無料点検もしてくれるので、不安を覚える人はここで改めてチェックしてもらうのも良いだろう。

もちろん、ワダチなど、水が溜まっている場所を避けて走ることも重要だ。

次に気を付けることは、走る場所だ。交差点や鉄道などのアンダーパスは、大雨では水没してしまう可能性がある。また、川沿いの道も水があふれることがある。遠回りになっても、安全なルートを選んで走るようにしよう。

もしも、走っている道の先が冠水していたなら、水に突っ込むのではなく、迂回しよう。冠水した濁った水面下には、何があるのかわからないからだ。もしかすると大きな穴があるかもしれないし、尖ったモノが沈んでいることもある。浅くても、引き返すことが重要だ。

やむを得ず冠水路を通過する場合も慎重に

どうしても冠水した路面に突っ込むのであれば、問題となるのは、その水深だ。

JAFが実施して公開した冠水路走行テスト(JAFユーザーテスト)(https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/submerge/waterwa-driving)では、水深30cmの冠水路であれば、セダンもSUVも無事に走り切ることができた。

しかし、水深60cmになるとセダンはゆっくり走って(時速10km)も走行31m時点でエンジンが停止してしまった。SUVは時速10kmではクリアできたが、時速60kmでは、わずか10mほどの走行で止まってしまっている。つまり、水深30cmほどであれば、走りきれる可能性が高く、60cmになるとセダン系は諦めた方がいいということだ。軽自動車のタイヤは直径50~60cmほど。水深30cmの目安は、タイヤ半分ほどと覚えておくといいだろう。

冠水路には進入するな! 最悪エンジンが全損してしまう可能性も!

ちなみに、エンジンは水を吸い込むと、ただ停止するだけでなく、内部が大破する可能性が高い。いわゆる“ウォーターハンマー”と呼ぶ現象で、回転中のピストンが瞬時に停止することでコンロッドが曲がってしまうのだ。

「水が乾いたら再始動できる」というのは大いなる勘違い。水に突っ込むということは、エンジン全損の可能性が控えていることを知っておこう。

気を付けて走っていたのだけれど、やむを得ずに、クルマが水没してしまったら、どうすればよいのだろうか。エンジンが停止しているためパワーウインドウも動かないだろうし、水の水圧でドアを開けることも難しいはずだ。

そこで最初に行うことはシートベルトを外すこと。車体がひっくり返っている場合は、シートベルトカッター付き脱出用ハンマーで、シートベルトを切る。そして、サイドウインドウを脱出用ハンマーで叩き割って脱出しよう。つまり、シートベルトカッター付の脱出用ハンマーは、必ず運転席から手の届く場所に用意しておくことが重要だ。

また、脱出用ハンマーがなくても脱出する方法はある。それは、車内に水が入ってくると、外の水圧との差が小さくなる。そうなるとドアが開けやすくなるのだ。これもJAFが「クルマが水没!! 水深何cmまでスライドドアが開くか」(https://www.youtube.com/watch?v=-kemxX1iPuY)という実験を実施している。ミニバンでの実施だが、水深60cmになると、スライドドアの開閉が非常に難しくなる。水深90cmでは、クルマが浮いた状況になりドアを開けることができなかった。しかし、完全に水没して、写真に水が浸入した状態になると、開けることができたのだ。そして、水深120cmでも、同様に浮いた状態では、ドアを開けることができず、車内に水が入った後に開けることができたのだ。

重要なのは慌てないこと。落ち着いて脱出できるチャンスを待とう。

 

強風時のドアの開閉にも注意が必要!

さらに台風では強風もつきもの。やはりJAFでは「強風時のドア開け(JAFユーザーテスト)」(https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/windy/door-open)を実施している。それを見ると、風速20m/sでも、子供は風にあおられるドアを抑えておくことができなくなる。風速30m/sでは大人の男性でもドアを抑えることに失敗しており、風速40m/sでは誰もドアを安全に開け閉めできることができないという結果となった。強風も甘く考えてはいけないということだ。

【筆者:鈴木ケンイチ】

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鈴木 ケンイチ
筆者鈴木 ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。最近は新技術や環境関係に注目。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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