当たり屋とは|被害にあった場合の対応方法や最新の手口、ドライブレコーダーの効果を徹底検証

当たり屋とは

故意に事故を起こし損害賠償金を騙し取る

当たり屋とは、損害賠償金を得るために故意に交通事故を起こす行為・またはその実行犯のことをいいます。

典型的な手口は、歩行者として車に近づき、自ら衝突してけがを負ったといって治療費や慰謝料を請求するものですが、その手口はさまざまです。共犯者が赤の他人を装って事故現場に近づき、おとなしく金銭を支払った方がいいと助言をし、示談を促すような悪質な手口もあります。

当たり屋行為は犯罪です

行為の態様にもよりますが、当たり屋は刑法や道路交通法に違反する犯罪行為です。

けがをしたと偽って賠償金を得れば詐欺罪に当たりますし、相手を脅迫して金銭を得れば恐喝罪に当たります。これらの行為によって仮に金銭を得られなかったとしても、詐欺未遂罪や恐喝未遂罪が成立します。故意により道路に飛び出したり、後続車を追突させたりする行為は、道路交通法違反に当たります。このような違法行為を行う当たり屋の要求には安易に応じるべきではありません。

厳密にいえば、故意によってけがを負ったり持ち物を壊された当たり屋に、発生した損害の賠償を受ける権利はありません。なぜなら、損害賠償請求は不法行為によって損害を受けた者(被害者)が、その原因を作った者(加害者)に対して埋め合わせを要求するものだからです。もし当たり屋が事故によって損害を被ったとしても、その損害は加害者から被害者に対する不法行為によって生じたものとはいえないので、損害賠償は生じないことになります。

不正行為の立証は困難なことも

ところが、交通事故が発生したときの状況を示す客観的な証拠がない場合には、当事者の証言によって事故状況を認定せざるを得ません。そのため、相手が故意にぶつかってきたことを証明できず、双方に過失が認められ、損害賠償義務が発生することがあります。

また、当たり屋は交通事故を起こしてしまったという相手の心の動揺に付け込み、言葉巧みに金銭を要求したり、脅したりしてきます。

当たり屋の被害を防ぐには、手口を知っておくことが大切

当たり屋の被害にあったときに冷静に対応し、被害を未然に防止するためには、当たり屋の実際の手口と正しい対応方法を知っておくことが重要です。

この記事では、万が一当たり屋の被害にあったときの対応、当たり屋の最新の手口、当たり屋の被害にあわないための対策などについて解説します。

当たり屋の被害にあったらどうすればいい?

警察に通報する

当たり屋の被害にあったら、けが人がいる場合には直ちに救急車を呼び、けが人がいない場合でも110番をして警察に通報をしましょう。これは当たり屋の被害を警察に訴えるためというよりも、道路交通法で交通事故の当事者は直ちにけが人を救護して警察に通報する義務が定められているからです。

警察官が到着したら、事故の状況について正確に証言してください。通常、警察の事情聴取は加害者、被害者は別々に聞き取りが行われますので、当たり屋がどのような証言をしているかは気にせずに、自分が認識をしていることを伝えましょう。

現場の状況を保存する

事故の現場の状況を保存しておくことも非常に重要です。車を運転していた場合には、車のどこがどの程度損傷しているのか写真に撮って記録してください。

事故から時間が経つとどうしても記憶が薄れてしまいますので、事故状況についてメモを取ったり、写真を撮影しておくのもよいでしょう。

車にドライブレコーダーが付いている場合には、必ずドライブレコーダーの記録を保存しておきましょう。あとで詳しく解説しますが、当たり屋の不正行為を明らかにするためにドライブレコーダーの記録は大変重要な役割を果たします。

保険会社に連絡をする

また状況が落ち着いてから、任意で加入している保険会社の担当者に連絡をしましょう。

ここでも事故の状況について詳しく聞かれますので、どのような状況で事故が発生したのかをありのままに伝えましょう。

当たり屋に遭遇した際に絶対にしてはいけないこと

その場で示談で解決する

当たり屋は警察に連絡をせずにその場で金銭的な示談をするように要求してくる場合があります。なぜなら、故意に車にぶつかった当たり屋にとって、警察の現場検証を受け、保険会社が介入することになるのは都合の悪いことだからです。

しかし、このような要求には絶対に応じてはいけません。

示談は口頭でも効果が生じますので、現場で示談を当事者同士がすると保険会社が介入する余地がなくなってしまいます。その場で当たり屋に示談金を支払ったとしても、後から別の場所が痛くなった、けがが酷くなったなどといってさらなる金銭を要求される場合もあります。

また、警察への通報を怠ると、交通事故証明書などの書類の交付を受けられなくなり、保険会社に対してけがの治療費や自動車の修理代を請求できなくなる可能性があります。それどころか、通報の義務を怠ったということで刑事罰の対象にもなりえます。

相手からその場での示談を求められても、絶対に応じず、通常の交通事故の場合と同様に警察に通報しましょう。

事故現場を立ち去る

一番やっていはいけないことは、相手が悪いのだからとその場を立ち去ってしまうことです。

相手がけがをしているのにもかかわらず、救護をせずにその場を離れれば、ひき逃げとされ刑事罰の対象となることもあります。事故の状況を記録したり警察に証言したりすることもできませんので、当たり屋の不正な行為を立証することも困難になってしまいます。

当たり屋の被害にあった場合も、通常の事故のときと同様に、運転者としての義務を果たすようにしてください。

当たり屋の手口とは?【最新版】

ドライブレコーダーの普及による当たり屋の手口の多様化

当たり屋の典型的な手口は、交差点を曲がるために徐行している自動車に近づいてわざとぶつかり、けがをしたといって示談を求めるものです。しかし、このような手口は最近では少なくなりつつあります。

その理由の一つは、ドライブレコーダーの普及によって事故の客観的な状況が記録されやすくなったことです。当たり屋も大けがは負いたくはないので、激しい衝突は避けようと慎重に車にぶつかってきます。しかし、ドライブレコーダーの映像によって、当たり屋の不自然な行為が証拠に残ってしまうのです。これでは損害賠償請求はできません。

そこで最近では、新たな当たり屋の手口が生まれつつあります。

ノロノロ運転で先行し、追突を煽る

わざとゆっくり車を運転して、後続車に追突させる手口です。ブレーキランプがつかないようにサイドブレーキで急ブレーキをかけ、急停止して追突させる場合もあります。

追突事故は追突した側の車に100%の過失が認められることが多いため、当たり屋にとっては都合のよい事故であるといえます。

駐車枠からバックで出庫する際に背後からぶつかる

駐車枠からバックで出るときに、歩行者がわざと後方で待ち構えていて、ぶつかる手口です。

当たり屋は、相手が後方に注意せずにバックしてきたことが事故の原因だと訴えることができますし、後方にはドライブレコーダーが付いていないことも多いので、これも当たり屋にとっては都合がよいのです。

車の近くを通った瞬間に物を落とし、破損

走行中の車の近くで歩行者がパソコン、時計、スマートフォンなど高価な物をわざと落とし、壊れたから弁償しろと要求する行為です。

非接触事故といって、車が歩行者の予測を裏切るような常軌を逸した動きをし、それにより歩行者が転倒した場合などには、人と車が接触していなくても接触事故と同様の責任が認められることがあります

当たり屋が事故によって壊れたと主張する物は、本当に事故によって壊れたものとは限りません。しかし、そのことを立証するのは容易なことではありません。

スマホを見ながら走行中の自転車にぶつかる

スマホを見ながら運転している自転車にぶつかる行為です。

スマホ運転の数が増加していること、自転車は自動車のようにドライブレコーダーが付いているケースが少ないこと、自転車のドライバーにもスマホ運転をしていたという引け目があることから、最近特に増えている事例です。

あえて少額な金銭を要求する

高額な金銭を要求するのではなく、あえて数千円から2、3万円程度の比較的少額な金銭を要求する手口です。

少額の金銭を求められると「それくらいならいいか」「とりあえず支払って丸く収めてしまおう」などと考えて、要求に応じてしまうこともあります。しかし、すでに述べたように後日改めて連絡があり、さらに高額な示談金を要求してくる場合があるので、注意が必要です。

赤の他人を装った目撃者が実は共犯

事故の際、偶然付近にいた赤の他人と思しき人物が、実は共犯者だというケースもあります。この場合、被害者を気遣うふりをして事故現場に近づいてきて、ことさらにケガの酷さを誇張したり、被害者に有利な証言をするなどと言って運転者の弱みにつけこんできます。

いうまでもなく目的は、運転者に、通報をせずに示談で済ませてしまおうと思わせることです。

当たり屋の被害を防ぐには

ドライブレコーダーを取り付ける

当たり屋の被害を防ぐためにもっとも有効なのは、車にドライブレコーダーを付けることです。ドライブレコーダーは事故の客観的な状況を正確に記録してくれるものですので、当たり屋の不正行為を明らかにする強力な武器になります。

前方だけでなく後方から当たり屋にぶつかられることもありますので、前方だけでなく後方も録画できるタイプのドライブレコーダーを取り付けるのがより安心です。

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普段からマナーのよい運転を心がける

言うまでもないことですが、普段からマナーのよい運転をすることが当たり屋の被害を防ぎます。

徐行しなければいけない場所では常にすぐ停まれる速度で走る、走行中は自分の車の周囲に十分に注意を払う、前の車とは車間距離をとるといった基本的なマナーを守ることによって、当たり屋との衝突を予防することができます。

言うまでもないですが、スマホを見たりイヤホンをしながら自転車を運転したり、わき見運転、飲酒運転をするなど法令に反するような行為は絶対にやめましょう。マナー違反で危険なのはもちろんのこと、当たり屋の標的になりやすい可能性もあります。

歩行者の多いエリアや駐車場では特に注意する

すでに述べたように、当たり屋の典型的な手口はゆっくり走行している車に歩行者として近づいて衝突するものです。歩行者の多いエリアや駐車場ではこのような手口のターゲットとなりやすいため、特に注意して運転するようにしましょう。

万が一の事故の際は、会話の内容を録音するかメモする

万が一、当たり屋に衝突されてしまったときには、相手との会話を記録に残しておくとよいでしょう。

当たり屋は無理な言いがかりをつけたり脅迫めいたことを言ってくるような場合があります。ボイスレコーダーなどで会話を録音することによって、後々に証拠とすることができます。

ボイスレコーダーを用意することが難しい場合には、会話の内容をメモすることで後で役立つことがあります。

口頭で示談をしてしまったときでも、相手から脅迫や強要をされて合意をしたような場合には、示談は無効であると主張することができます。

警察や保険会社に相談する

当たり屋は、できれば相手とその場で示談をして金銭的な利益を得たいと考えています。警察や保険会社に相談をされると、示談金を騙し取ることが困難になるばかりか、自分の不正行為が明るみになるおそれが高まるからです。

そこで、なるべく当たり屋と直接のやりとりは避け、警察や保険会社の担当者に相談するようにしましょう。

安易に泣き寝入りをしない

当たり屋は高圧的な態度で金銭を要求してくることが多いので、お金を支払ってもいいから終わりにしてしまいたいと思うかもしれません。しかし、犯罪的な行為に対して不当な金銭を支払うべきではありません。

交通事故の当事者としての義務を果たすことはもちろん必要ですが、不正を働く当たり屋に対しては毅然とした態度を貫き、安易に泣き寝入りはしないようにしましょう。

当たり屋のナンバーをまとめたリストがあるのは本当か?

当たり屋のナンバーリストは都市伝説で、間違いなく偽物

まれに、当たり屋の車のナンバーをまとめたものとされるリストが出回ることがあります。

しかし、警察や保険会社がそのようなリストを流出させることは実際にはありえないので、間違いなく偽物であるといってよいでしょう。そもそも、当たり屋のナンバーをまとめたリストを持っているからといって、当たり屋の被害を防げるわけではありません。

当たりや対策には交通ルールの順守が一番有効

当たり屋の被害を防ぐためには、普段から交通ルールを順守し、十分に警戒して運転することが大切です。そして、万が一当たり屋の被害にあったときには、運転者としての義務をきちんと果たし、安易に約束をしたり、相手の要求に応じたりすることのないようにしましょう。

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