ジャガー XFR 試乗レポート(3/4)

興味を引かれるアクティブ・デファレンシャル・コントロール

私のような者にとって、テクニカル面で一番興味を引かれることがアクティブ・デファレンシャル・コントロールだ。これはフェラーリなどにも採用されるいわゆるEデフで、0～100％の間でデフのロック率をアクセルのON／OFFに関係なくコンピューター制御で可変させる。

普通デフは、一番ステアリングを大きく切るAペックス付近ではできるだけフリーにして大きな差動を発生させ、脱出では差動を少なくさせてロック率を上げ左右の駆動輪に駆動力を伝えたいものだ。

しかし、この作用はこれまでのLSDの場合駆動がかかっているかどうか、さらにアクセルがONの場合何％、OFFの場合何％という定格的な設定しかできなかったのだ。

それが、このアクティブ・デファレンシャル・コントロールでは臨機応変にコントロールしてくれる。

たとえば、コーナー進入でリヤが不安定なときには一時的にロック率を上げ、旋回し始めるとロック率を下げデフをフリーに、やがてアクセルを踏み込んでのコーナー脱出ではステアリングの切れ角に応じた左右輪への駆動配分でスマートにコーナリングさせる。

当日は雨の路面も経験したのだが、アンダーステアが小さく、かといってオーバーステアも限界が高いことが確認できた。

このようなコントロール、これまではABSと連動したDSCによって1輪にだけブレーキをかけてコントロールしていたのだが、その必要性がほとんどなくなったことも大きな進化といえる。

このデファレンシャルシステムの採用等により、XFシリーズのリヤサブフレームが一新されていて乗り心地や室内の静粛性がより向上していることも見逃せない。