ジャガー 新型Eペイス 試乗│いままでのジャガーには得られなかった“愛らしさ”(2/2)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:茂呂 幸正
いままでのジャガーには求めても得られなかった愛らしさが魅力
Eペイスはグレードも豊富だ。エンジンは2リッター直列4気筒ターボのガソリンP250/P300とディーゼルD180があり、それぞれに標準型とスポーティなRダイナミックが用意され、さらにS、SE、HSEという仕立ての違いもある。全部で24車種という陣容なのだ。
いずれもトランスミッションは9速AT、駆動方式は4WDとなる。ただし後者については、P250とD180は効率性を重視したエフィシエントドライブライン、P300はスポーティなアクティブドライブラインという違いがある。
今回乗ったのはRダイナミックSEのP250。最高出力は183kW、最大トルクは365Nmだ。1890kgという車両重量は、もう少し軽くしてほしいところだが、鎌倉の細い道を動き回るようなシーンでもストレスはない。最大トルクをアイドリング近くの1300rpmから発生する特性と、ギア比をきめ細かく設定できる9速ATが貢献しているのだろう。
一方で空いた道に出てアクセルペダルを踏み込むと、低く太い排気音がブリティッシュスポーツらしさを伝えてきてくれる。
プレミアムブランドのSUVの多くは、他のブランドから乗り換えるユーザーを主なターゲットとしていることもあって、乗り心地やハンドリングの味付けはさほど濃厚ではない。Eペイスも同様だった。
ただしねじり剛性2万8200Nm/degを誇るスティールモノコックだけあって、235/55R19という太く大径のタイヤを履くわりにはしっとりしていた。身のこなしは重いボディを感じさせない素直な動きだった。
P250の4WDシステムは前に書いたように効率性重視のチューニングなので、昔のジャガーのようなハンドリングを求める人なら、後輪に最大100%のトルクを配分し、トルクベクタリングも備えたアクティブドライブライン装備のP300にするか、セダンのXEを選ぶと良いだろう。
でも走り終えて駐車場で体を休めるEペイスの姿を見ると、ベイビー・ジャガーとしてはよくやったんじゃない?と、飼い猫を褒めるような気持ちになってしまう。いままでのジャガーには求めても得られなかった愛らしさ。これこそEペイスの最大の魅力ではないだろうか。
[Text:森口 将之 Photo:茂呂 幸正]
ジャガー E-PACEの詳細スペック | |||
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2.0L ディーゼル(180PS) | 2.0L ガソリン(250PS) | 2.0L ガソリン(300PS) | |
ステアリング位置 | 右 | ||
寸法・定員・重量 | |||
全長 | 4,410mm | ||
全幅 | 1,900mm | ||
全高 | 1,650mm | ||
ホイールベース | 2,680mm | ||
トレッド | 1,635mm/1,640mm | ||
乗車定員 | 5名 | ||
車両重量 | 1,920kg | 1,890kg | 1,910kg |
最小回転半径 | 5.6m | ||
エンジン主要諸元 | |||
型式 | 204DT | PT204 | PT204 |
種類 | 直列4気筒DOHCディーゼルターボ | 直列4気筒DOHCターボ | 直列4気筒DOHCターボ |
総排気量 | 1,999cc | 1,995cc | 1,995cc |
内径×行程 | 83.0mm×92.4mm | 83.0mm×92.2mm | 83.0mm×92.2mm |
最高出力 | 132kw(180PS)/4,000rpm | 183kw(249PS)/5,500rpm | 221kw(300PS)/5,500rpm |
最大トルク | 430Nm/1,500-4,500rpm | 365Nm/1,300-4,500rpm | 400Nm/1,500-2,000rpm |
燃料消費効率 | |||
-- | |||
変速比・減速比 | |||
駆動方式 | 4WD(エフィシェントドライブライン) | 4WD(アクティブドライブライン) | |
トランスミッション | 9速オートマチック(コマンドシフト付き) | ||
走行伝達装置 | |||
ステアリング形式 | ラック&ピニオン(電動パワーアシスト付き) | ||
主ブレーキ | ベンチレーテッドディスク(前後) | ||
フロントサスペンション | マクファーソンストラット | ||
リヤサスペンション | リンクストラット | ||
フロントタイヤ | 235/65R17 | ||
リアタイヤ | 235/65R17 | ||
フロントホイール | 7.0J×17 | ||
リヤホイール | 7.0J×17 |
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