スポーツカーの顔を併せ持つSUV、ジャガー E-PACE(Eペイス)が日本上陸|発表会レポート(2/3)
- 筆者: 内田 俊一
- カメラマン:内田 俊一/ジャガー・ランドローバー・ジャパン
F-PACEではなくF-TYPEから生まれたデザイン
ジャガー E-PACEのポイントは大きく3つある。ひとつはデザイン。次にパフォーマンス。3番目は高い実用性とコネクトされたSUVというものだ。
そのデザインについて、チーフデザイナーのイアン・カラム氏は発表会のビデオメッセージで、「我々がE-PACEの開発でやりたかったことは、最先端かつ全く新しい何かを想像することでした。 控えめな存在感ながら、確固たる個性を兼ね備えたクルマを作りたかったのです」。そこで、「我々は他社ブランドのSUVよりもスポーティなものを求めました。他の SUV と足並みをそろえるのではなく、むしろ対極を目指すためにスポーツカーのF-TYPEからヒントを得ているのです」。さらにインテリアでも、「シートに座った瞬間、実用だけを求めたSUV ではないことを感じてもらえるでしょう。今まで感じたことがない、運転がしたくなる、楽しめるような感覚に、ワクワクしてくると思います」と話す。
このF-TYPEのモチーフは全体にちりばめられているが、わかりやすいところでは、ヘッドライトやフロントグリル、そしてリアコンビネーションランプなどだ。また、インテリアでもグラブハンドル(助手席の人が握るためのセンターコンソール側にあるグリップ)によりF-TYPEを感じさせている。
また、プロポーションもロングホイールベースとショートオーバーハングにより、スポーティ感を強調。“シケイン・ライン”と呼ばれる、レーシングカーがシケインを走り抜けていった軌跡のようなラインが内外装に取り入れられている。インテリアではダッシュボードをフロントウィンドウ上空から見下ろすと、メータークラスターからセンターコンソールに向けてS字を描くようなラインが見て取れる。
もうひとつカラム氏がこだわったのはロータリーダイヤルスイッチの採用だった。室温やその他の機能を調整するもので、「カメラのレンズをモチーフに、美しさを追求しました。さらに、ダイヤルに触れ、回した時の感触や肌触りを大切にしています」と述べた。
このE-PACEは、“The CUB”とも呼ばれているという。CUBとは、肉食獣の子供、幼獣を意味し、「E-PACEはジャガーファミリーの子供なのでThe CUBと呼んでいます。その証にフロントウィンドウにはジャガー親子のモチーフを施しました。それを見ると微笑ましく感じてもらえるでしょう」とし、「ジャガーはどんなモデルでも初めて感じる楽しさがあり、私は大好きです。ジャガーというクルマに接し、より多くの人々が笑顔でいてほしいと願っています」と結んだ。
スポーツカー並みのボディ剛性、FRのような走行フィーリング
日本に導入されるエンジンは大きく3種類。2リッター4気筒ガソリンエンジンでは、249psと300psの2種類。そして180psのディーゼルエンジンだ。サスペンションはフロントがマクファーソン式のストラット、リアはこのクルマのために開発したインテグラルリンクのサスペンションで、「ジャガーらしい乗り味を実現している」と若林氏。そこに組み合わされるトランスミッションはジャガー初の9速オートマチックが採用された。
ボディのねじり剛性は28500Nm/degreeで、若林氏は、「これは何千万円もするようなスポーツカーと同じぐらいのボディ剛性を持っています」とそのレベルの高さを強調。また、「SUV とスポーツカーは共通項があり、非常にリジットで硬いボディとよく動く滑らかなサスペンションの組み合わせが大事だという点です。まさにそれをしっかりと裏打ちするためのボディ剛性となっているのです」とE-PACEもまぎれもなくスポーツカーでありSUVであることをアピールした。
E-PACEには2つのドライブラインと呼ばれるものが採用された。ひとつはエフィシェントドライブラインで、ディーゼルと249psのガソリンモデルに用いられ、300psのガソリンモデルにはアクティブドライブラインが採用された。
エフィシェントドライブラインにはパワー伝達ユニット、PTUが搭載される。これはエンジンの力を前輪だけではなく後輪にも伝える役割をする(E-PACEはレンジローバーイヴォークのプラットフォームをもとに大幅に手を加えたものなので、FFがベースだ)。後方にはアクティブセンターカップリングがあり、これは最新の電子油圧式の多板クラッチだ。これらの機構により、リアへ最大90%、フロントへ最大10%、またその逆のトルク配分が可能となった。
アクティブドライブラインは、エフィシェントドライブラインをベースに、PTUに特別なセンターハブが組み込まれる。これは後輪のプロペラシャフトへ駆動力を300ミリセカンド以下で絶え間なく連結したり切り離したりすることが出来るものだ。後輪のプロペラシャフトが駆動されると、車の左右に駆動力を送る二つのクラッチを含む後輪駆動ユニット(RDU)に接続される。 この結果、後輪駆動のような走りを実現し、さらにコーナリング時には後輪の外側のタイヤに駆動力を伝えることで、「ジャガーらしい走りが出来ます」と若林氏はその印象を語った。
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