ホンダ ストリーム 試乗レポート

ホンダ ストリーム 試乗レポート
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ビッグマイナーチェンジを迎え、待望の『アブソルート』追加

フロントスタイリングリアスタイリング

5ナンバーサイズの比較的コンパクトなサイズの中に、3列のシートをレイアウトとした元祖“ミニ・ミニバン”的なキャラクターの持ち主であるストリーム。その後トヨタ・ウィッシュなど強力なライバルが出現したことに対応し、内外装の質感向上を図ると共によりスポーティなキャラクターを印象付けるマイナーチェンジを行ったのが新しいストリームだ。中でも注目のモデルは、このマイナーチェンジを機に追加設定された『アブソルート』。資料を目にするとこのモデルを紹介する項目には、「専用高剛性ボディ、専用チューンド・サスペンションの採用などで、爽快かつしなやかな走りを実現させた…」と魅力的なフレーズが並んでいる。

「アブソルートとしての迫力」にはやや欠けるが・・・

インパネフロントシート

そんなストリーム・アブソルートに早速乗ってみた。

従来のストリームと比較をすると、まずは目を引くのがフロントマスクの印象の変化だ。ヘッドライトやグリルの化粧直しにより、確かに精悍さがアップした感触を受ける。ただし今回、アブソルート以外のグレードにもリファインの手は加えられている。

『アブソルート』の名を語ったのはオデッセイが先だった。やはり“走り”にスポットライトをあてたオデッセイ・アブソルートは、ローダウンしたシャシーにインチアップをしたシューズを履くということが大きな売り物になっていた。

ところが、ストリームの場合はどうも勝手が違う。15インチのシューズは他の1.7リッター・モデルよりは1インチのアップ。が、それは2リッター・モデルでは標準装備となるもの。1590mmという全高のデータも“標準仕様”と全くの同一。そんなわけで、見た目的には今ひとつ特別なスポーティさは感じられない。オデッセイの場合ほど「専用の迫力」が醸し出されていない点は、ちょっと残念だ。

『アブソルート』を名乗るならばやはり2リッターの心臓が欲しい

エンジンタイヤ&アルミホイール

共に4バルブ式ヘッドを備えながらも、2リッターのDOHCと1.7リッターのSOHCという2タイプのエンジンを搭載するのがストリーム。前述のようにアブソルートは“走り”にスポットライトを当てた新グレードだが、どういうわけかそれが設定されたのは後者1.7リッター・エンジン搭載のモデルに限られる。

エンジン技術の高さにかけてはもはや世界的にも一目置かれるのがホンダ車。だが、さすがに1.4トン近い重量に対して1.7リッターの排気量となると、その加速の印象は「強力」とは言いかねると言うのが、まずは正直な第一印象だった。

もちろんそれは、日常的な使用で力不足を感じるというものではない。けれども、ひとり乗りの状態でもある程度力強い加速力が欲しいとなると、「それなりにアクセルペダルをしっかり踏み込む必要がある」というのがその実力のほどだ。2リッター・モデルには5速ATが組み合わされるが、1.7リッター・モデルの場合は4速ATというのもちょっと辛い。2列目3列目にまで人が乗り込むようなシーンになると、物足りなさが伴わないかと少々心配になる。『アブソルート』を名乗るならばやはり2リッターの心臓が欲しい、と、ぼくにはやはりそのように思えた。

フットワークはしっかりアブソルート

リアシートラゲッジスペース

一方、自慢の足回りはしっかりした印象が強い。ややかための脚は路面の凹凸を忠実に拾うが、「リアクロスメンバーを追加し、フロントフレームを閉じ断面化し…」と専用の補強策を講じたボディはそんな振動をたちまち減衰してくれる。上下Gは強めに現れるが、それを不快には感じにくいのがこのクルマの乗り味と言って良い。

感心したのはブレーキのタッチ。剛性感に富んだそのペダルタッチは、「スポーツカーのブレーキ」と紹介をしても通用しそうなしっかりした踏み応えを味わわせてくれるのだ。

そのルックスや動力性能には、当初の期待値に対してちょっとばかりの不満が残る。が、そのフットワークは確かに“ドライバーズカー”と呼んでも恥ずかしくないレベルを達成させているのがストリーム・アブソルートと言う事が出来そうだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

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