スッキリしているからこそコダワリを!〜新型「ホンダ ステップワゴン」の、シンプルでボクシーなデザインの秘密を探る
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:島村 栄二・Honda
2022年1月7日(金)、6代目となるホンダ 新型ステップワゴンの姿がついにアンヴェールされた。正式な発売は2022年春を予定している。
新型ステップワゴンのデザインはボクシーでスクエア・そして力強くとても新鮮だ。そこでこの記事では、新型ステップワゴンのデザイン面にフォーカス。新型ステップワゴンに込められた、ホンダの心意気を前後編で紐解いてみたい。前編は外装から。
シンプルで機能的なデザインが新鮮に映った初代ステップワゴン
シンプルなスタイルで人気を博した初代ステップワゴンの登場は、今を遡ること1996年。バンも兼用する1BOX車からの派生ではなく、駆動方式もFFとして乗用車の快適性を追求。かつての名車「ライフ・ステップバン」を彷彿とさせるスクエアなデザイン、使い勝手と室内容積を最大限でバランスをとりつつ車体を5ナンバーサイズに収めたことなど、新しい基軸を次々と投入したことで大ヒット作となった。
しかし最近では、残念ながらライバル車の後塵を拝することが多くなっていたのも事実。「フローリングフロア」「障子ルーフ」「わくわくゲート」などの個性的な装備も、ユニークすぎて “プロダクトアウト” になっていたのかもしれない。
幼いころからミニバンのある生活を当たり前と思って育ってきた世代が新型のメインターゲットに
そんな中現れた新型ステップワゴンのメインターゲットは「子育て期にある30~45歳」。この年齢層は、初代ステップワゴンが発売された1996年時点の年齢が5~20歳で、家の車がステップワゴンなどのミニバンというユーザーも多い。つまり、ミニバンに慣れ親しんだ「ミニバンネイティブ世代」と言えるのだ。ミニバンで育ったため、ミニバンが家族の幸せを表現するクルマだということを熟知しているのである。
そこで新型ステップワゴンは「自分と家族の様々な目的に対応でき、生活をより豊かにできるアイテム」というミニバンの魅力をそのままに、安心と信頼を求める社会・煩わしい時間の制約が増す社会におけるミニバンの基本価値を「安心・自由」と設定。クルマが主役ではなく、家族のみんなが主人公で、どんなシチュエーションにも合い、家族の可能性を拡げるミニバンを目指した。
新型ステップワゴンの開発コンセプトは内外装デザインとも共通
さらに、新型ステップワゴンでは、デザインコンセプトにも「安心・自由」を採用している。
クルマの開発では、グランドコンセプトとデザインのコンセプトが同じになることは珍しい(例えば、フリードでは、コンセプトに「7days Wonderful Mobility」を掲げていたが、デザインコンセプトは「Dynamism and Functionality」とされていた)。
新型ステップワゴンの、しっかりとした太いピラーやカタマリ感のある外観は「安心」を表し、ノイズの少ないクリーンなディティール・広い室内は「自由」を表現しているという。
これまでと違う!? シンプルな「AIR」とスタイリッシュな「SPADA」の「作り分け」
日本では、ミニバンのバリエーション展開の多くが、ベーシックでシンプルな外観のいわゆる「標準モデル」と、押しの強いグリルとエアロパーツを持ち、スタイリッシュな「エアロ系」の2本立てとなっている。
ステップワゴンもその例に漏れない。2代目のマイナーチェンジ(2003年6月)で追加された「SPADA(スパーダ)」は、世代を重ねるごとに人気を増し、5代目ではなんと販売の9割がSPADAで占められていたという。
エアロ系ミニバンが支持を集めるいっぽうで、拾い切れていなかった「ナチュラル志向のユーザー」
ミニバンを購入する意向があるユーザーに対し、ホンダが実施したアンケートでは、7割が「エアロ系」を理想のスタイリングとしていること、残りの3割は「ナチュラル志向」ということがわかったという。
また従来は、素の標準モデルにエアロパーツやアルミホイールを追加装着したいわば豪華版がエアロ系、というイメージがあった。その結果、モノの価値が高いエアロ系にユーザーが流れてしまったのだ。
そこでホンダは、これを払拭すべく、新型ステップワゴンでは標準モデルの代わりに、ナチュラルでシンプルさが際立つ「AIR(エアー)」という別シリーズを作り上げ、新しい価値を求める “兆し” に対応。
一方で、力強さと品格を兼ね備えた「進化したSPADA」と並列で販売することにより、異なる「価値観」「世界観」を提供することとした。
スッキリしているからこそこだわったエクステリアデザイン
新型ステップワゴンで注目すべきポイントは、やはりシンプルなエクステリアデザインだ。
ディティール過多で煩雑な印象が多い最近のクルマの中では、その素っ気ないほどスッキリとしたデザインはむしろ新鮮。「AIR」では、それがさらに際立っている。説明的なディティールを持たせず、「カタマリ」によって開発コンセプトやミニバンの本質・本物感を表現。かつ最小限のデザイン要素を、繊細なチューニングを重ねて配置することで、あっさりし過ぎず、クリーンなスタイルを完成させた。
表情を作るヘッドライトは、可愛くなり過ぎず、かつ力強すぎないデザインを採用。精悍でありながら親しみがある印象をL型シグネチャーで表現。グリルの上部を走るメッキパーツも、使用範囲、断面形状などを細かくこだわったという。
サイドビューでは、Aピラーの付け根を後退して角度を緩め、ドア下に厚みを持たせた。シンプルなデザインは平面的に見えるため、ドア下パネルには強いハリを与え、ボディ全体も真上から見ると樽型形状として、緊張感あるデザインとしている。「柱」を視覚的に通す太いDピラーは、守られたキャビンをイメージさせている。
リアも、とてもシンプルだ。一目見てステップワゴンとわかる目を引く縦長のテールランプは、まさに初代・2代目のオマージュ。真四角なテールゲートも、積載性の高さを印象付けることに成功している。
新型SPADAは力強く迫力を持ったデザインの効果で、より大きく立派に見える
一方のSPADAは、AIRと異なる世界観を表すべく、バンパーのデザイン変更、パーツの追加が行われている。
そのこだわりは細かく、前後オーバーハングはAIRに比べそれぞれ20mm延長、リアバンパー下端も視覚的に10mm下げることで、力強さや迫力を強調している。
フロントからサイド、リアにかけて車体を一周するメッキパーツも、断面形状・効果的に見える位置・使用範囲を徹底的に検討。テールゲートに備わるリアスポイラーもしっかり角を立てた形状として、サイドから見た際には伸びやかさを、リアから見た際は車体を大きく見せる効果をもたらしている。
内装やパッケージングにも外装同様のこだわりが込められていた
ここまで、新型ステップワゴンをデザイン面から解説してきた。
次回は後編として、外装同様に四角くシンプルなデザインにこだわったパッケージングと内装デザインについて紹介しよう。こちらもお楽しみに。
[筆者:遠藤 イヅル/撮影:島村 栄二・Honda]
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