「ホンダ ミーティング 2013」体験試乗レポート/飯田裕子 ~新型シビックタイプRや、超軽量CR-Z試乗!~(2/2)
- 筆者: 飯田 裕子
- カメラマン:和田清志/本田技研工業株式会社
久しぶりにホンダ車で走りの楽しさを体感
新開発パワートレインの体験パートでは「アース ドリーム テクノロジー」を採用する、2種類のエンジンを搭載した2モデルを試乗できた。
その1つが、新型「シビック タイプR」への搭載を目指す2リッターの直4 直噴VTECターボエンジンだった。
スペックはパワー206kw以上、トルクは400N・m。7000回転まで回るこのエンジンを6MTで走らせる。アクセルを踏み込めば硬質感のある厚みのあるトルクが素早くも確実な速さを生み出し、その際の加速音がまた気持ちいい。
さらに“Rモード”なるサーキット設定の用意もあり、足回りやエンジン、ステアリングやVSAの設定がスポーツ走行モードに切り替わる。久々のタイプRなだけにホンダが力を入れている様子がうかがえ、我々も期待値をかなり上げて待ちたいという気分になった。ちなみに、アイドリングストップ機能付きというのが今の時代のスポーツカーらしい。
1リッター直列3気筒 直噴VTECターボエンジンのトルクの太さも満足度が高い。「1.8L以上のトルク」と説明をしてもらったこのエンジンのスペックはパワー95kw、トルク200N・m。CVTと組み合わされたこのエンジンは、シビック4Dに搭載され、ダッシュを試みれば加速性に満足でき、街中を想定した柔らかい加速ではスムーズさがいい。中でも中速域のトルクの厚みが印象に残る。これはエンジンパフォーマンスと環境性能の両立が極めて高いエンジンと言えそうだ。
1.5リッター直列4気筒 直噴VTECターボエンジンもCVTと組み合わされていたが、60km/hや80km/hあたりのトルクの厚みには排気量以上のパフォーマンスが感じられる。アクセルを踏んだときのリニアなトルク感がCVTであっても違和感がない。ただ100km/h前後での再加速時にはやはりモッタリ感あり。今後、市販車に搭載されることになればよりCVTとのマッチング・チューンが行われ、ますます燃費とリニアな走りに磨きをかけられることだろう。
新技術という点では8速DCTもぜひ紹介したい。「アコードクラスのモデルに採用されるのが現実的」と開発者の方がおっしゃっていたが、このトランスミッションも走りの楽しさと環境性能をホンダらしく生み出す技術であることは間違いない。
直列4気筒 2.4リッターのNAエンジンと組み合わされた8DCTの特徴は、トルクコンバータとDCTとの組み合わせにある。発進時の1速だけはトルクコンバーターを使用し、そこから先はDCTがトン、トン、トンとシフトアップしていくという機構を採用していた。DCTは燃費性に優れる技術であり、2.4リッターエンジン+5ATに比べれば8%の燃費向上となるらしい。
CVTに比べ飛躍的な燃費向上とはいかないが、やはりシャキシャキと走る楽しさはCVTより走りをスポーティにしていた。圧倒的な燃費の良さよりも走りの楽しさとのバランスを考えたホンダらしいコンセプトと言えそうだ。
3種類のエンジン体験とともに、オーバルコースでは海外で販売されているいくつかのモデルもラインナップされ、試乗することができた。その中で最も印象に残っているのは中国で今年から販売開始されている3列シートタイプの超人気ミニバン『JADE』。1.8リッター+CVTを搭載し、剛性の高いボディとしなやかな走りを実現。
音対策は少々控えめだと感じるものの、インテリアの質感の高さやホイールハウスを避けた物理的かつ必然的というシートアレンジの妙も日本車になアイディアで、多くのジャーナリストが注目していたほどだ。「日本への導入予定はないのですか?」と開発者の方に質問すると、有るとか無いとかムニャムニャとした返事が返ってきた。日本でもイケそうな気がするのだが…。
アキュラ「RLX」を使った2つのドライバビリティ向上につながる技術も興味深い。
一つは『プレシジョン オールホイール ステア』。こちらはすでに今年3月から新型アキュラ RLXに採用されている、FFモデルのコーナリング性能を向上させる技術。
コーナリング時にはリアのトー角を左右独立コントロールし、またブレーキング時もトー・インとすることでブレーキの安定性を高める効果がある。コーナリング中はフロント操舵と逆位相制御しステアリング舵角量も通常よりも減らすことができ、コントロール性も高い。また高速道路でのレーンチェンジ時は同位相とし、クルマの動きに一体感が増し、操縦安定性も向上する。
さらにFFに起こりがちなアンダーステアを加速制御することで減らし、走行ライントレース性を上げていた。おかげでアクセルを踏んだままタイヤのグリップ限界を超えるまでは高速でカーブを曲がることができる。そのフィーリングもとてもナチュラルだった。最小回転半径も0.3mほど小さくなるそうだから、スポーティなハンドリングのみならず取り回し向上にも繋がっている。コーナリング半径も一回り小さくなるほどだそうだ。
もう一つはスポーツハイブリッドに採用されるSHAWD(4WD)システムだ。試作車のRLXは、V6 3.5リッター直噴i-VTECエンジンと1モーターを内蔵する7速DCTを搭載。リアには2つの駆動用モーターを採用し、左右輪を独立して制御している。発進はリアモーターを使いEV走行もする。エンジン走行時にはフロント駆動がメインになり、加速時は前後モータートルクを利用。そしてコーナリング時には後輪内側に制動トルクを発生させ、外側は駆動を強めることでコーナリング性能が増す。その走りは制御されるおかげでダイナミックかつコントロール性の高いものだった。この技術は11月のLAショーで技術発表される予定だ。
クルマやバイクに乗っている人だけでなく、道を使う誰もが安全でいられる「事故0(ゼロ)」の実現
2012年に開発された『シティ・ブレーキ・アクティブ・システム』はスバル車をはじめ多くのメーカーのクルマにも採用されるブレーキシステム。30km/h以下で走行中に前車に追突の危険が迫ってもドライバーが減速しなかった場合、最終的には自動的にブレーキがかかるというもので、新型フィットから採用されている。
続いて2013年にはその安全レベル“事故0(ゼロ)”に向け、全方位へと拡大。近距離の歩行者はカメラ、その他のものに対してはレーダー、そして見えないものに対しては通信を採用する。さらに周囲との協調型安全システムとしては、無線LANを用いた車車間通信やDSRCを使った路車間通信も使われる。
自動運転するアコードハイブリッドに乗り、特設コースの中で様々な安全技術を体験させてもらった。横断歩道を渡ろうとする人がいればクルマに内蔵されたカメラで検知し停止。ホンダ モンパル(バイク)の発見はクルマとモンパルに搭載された無線LANシステムが相互交信しGPS情報を使ってお互いの存在を認識。走行中のバイクとはDSRCで存在情報が転送され、巻き込み事故などを防ぐことができた。ちなみに人の発見についてはスマホを持つ人であれば無線LANを介して車両に情報が送れらるという方法もある。
今回は発進もスムーズで加速性にも目を丸くするほど制御が素晴らしい自動運転のアコードハイブリッドを使った体験だったが、自動運転するクルマでの“事故0”を目指すのは2020年以降になりそうだ。しかし、通信を使ったドライバーの運転支援は段階的に採用されるだろう。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。