ホンダ 新型 オデッセイ[5代目] 新型車解説 ~初のスライドドア採用でイメージ一新~(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
アブソルートには直噴2.4リッターエンジンを新採用
次は走行性能。新型オデッセイのエンジンは全車が直列4気筒の2.4リッターを搭載。標準ボディは最高出力が175馬力(6200回転)、最大トルクが23kg-m(4000回転)で、JC08モード燃費は前輪駆動の2WDが8人乗りで13.8km/L、7人乗りは13.4km/Lになる。
いっぽうオデッセイ アブソルートは直噴式を採用。動力性能は190馬力(6400回転)/24.2kg-m(4000回転)に向上し、なおかつJC08モード燃費も8人乗りが14km/L、7人乗りが13.6km/Lで標準ボディを上まわる。直噴式の採用で、動力性能と燃費の両方を向上できた。
エコカー減税は、大半のグレードが75%か免税(100%のカット)。「G」グレードでは、8人乗りは75%の減税だが、ボディが重い7人乗りは、JC08モード燃費を0.4km/L悪化させながら免税になる。
燃費が悪くなって免税!?
これはエコカー減税のベースになる平成27年度燃費基準の重大な欠陥だ。車両重量の区分にJC08モード燃費を組み合わせた単純な仕組みで、オデッセイの重量区分では1761kgを超えると燃費基準値が緩くなる。Gの7人乗りは1720kg、8人乗りは1770kgだから区分が変わり、基準値が緩くなって燃費を0.4km/L悪化させながら免税になった。
ホンダ 新型 オデッセイ「ミニ」試乗レポート/渡辺陽一郎
ATは無段変速のCVT。今回、テストコースを試乗する機会に恵まれたが、標準ボディのノーマルエンジンでも車両重量に対して力不足はなく、実用回転域の駆動力が十分に確保されて扱いやすい。4000回転を超えて速度の上昇が活発になる面はあるが、1500~2000回転付近でも余裕がある。
直噴式のアブソルートでも1500~3000回転付近の実用域は大差ない。違いが生じるのは3500回転を超えた領域で、ノーマルエンジンに比べると速度上昇の仕方が違う。特に4800回転付近からは、ノーマルエンジンでは速度上昇が鈍くなるが、アブソルートではスポーティーな吹き上がりも味わえる。ただし直噴エンジンのノイズは少し気になる。
車高はあがったが、低重心化のおかげでデメリットは感じさせない
サスペンションはフロント側がストラットの独立式、リア側はトーションビームの車軸式。先代型は4輪にダブルウイッシュボーンの独立式を採用したが、新型ではステップワゴンと同様に構造がシンプルになった。特にリア側は、3列目を床下格納にしたことで独立式を採用できず、トーションビームになる。
それでも低重心を生かし、走行安定性と乗り心地のデメリットはあまり感じない。背が低かった先代オデッセイほど操舵感は機敏でないが、背の高いミニバンにありがちな鈍さはなく、車両の向きが自然に変わる。後輪の接地性を重視して、なおかつ挙動の変化が穏やかだからドライバーの安心感も高い。同乗者も唐突に振られることがないため、クルマ酔いを防ぐ効果も期待できそうだ。
乗り心地は低い速度域では少し硬めで気になるが、路面のデコボコを通過した後の上下動は比較的早く収まる。
以上は標準ボディの特性で、足まわりを少し硬めにアレンジしたのがアブソルートと考えれば良い。それでも粗さはなく乗り心地を損ないにくい。
話題の先進安全技術を新採用。しかし・・・
グレード構成は標準ボディがベーシックな「B」、アイドリングストップやスマートキーを備えた「G」、インターナビなどを備えた「G・EX」の3種類。アブソルートは「EX」を加えた2種類になる。
装備で注目されるのは、上級グレードには標準装着、Gなどには7万5000円で設定されるあんしんパッケージだ。フィットと同じく、シティアクティブブレーキシステムと呼ばれる赤外線レーザーを使った低速域の衝突回避支援機能と、サイド&カーテンエアバッグを組み合わせた。フィットの6万円に比べて価格が高いのは、カーテンエアバッグが3列目のシートまでカバーするためだ。
同様の安全装備では、EXがレーダーによるブラインドスポットインフォメーションと後退出庫サポートを標準装着する。2車線道路などでは、後方から接近する車両があることを知らせ、ウインカーを作動させると警報も発する。後退しながら駐車場所から出ようとした時、側方からの車両接近を知らせる機能もある。
さらにEXでは、7万3500円を加えることで、高い速度域までカバーできる衝突回避の支援機能と、車間距離を自動制御するアダプティブクルーズコントロールを装着することも可能だ。
ただしブラインドスポットインフォメーションと後退出庫サポート、高速域までカバーできる衝突回避の支援機能などは、前述のように336万円のG・EX、358万5000円のアブソルートEXでないと装着できない。安全装備は、売れ筋になる269~315万4000円のGやアブソルートでもすべて選べるようにして欲しい。
快適装備は一部の上級グレードだけに装着されても価値を発揮するが、安全装備は違う。大量に売られるクルマに装着され、実際に事故の発生を抑制しないと開発した意味が薄れる。高機能で買い得なミニバンとあって、今後の安全装備の見直しにも期待したい。
[レポート:渡辺陽一郎]
◎関連記事:
■ホンダ 新型オデッセイ(5代目)試乗レポート/九島辰也[2013年10月30日]
ホンダ新型オデッセイ「ABSOLUTE(アブソルート)」[FF/8人乗り] 主要諸元
全長x全幅x全高:4830x1820x1685mm/ホイールベース:2900mm/車両重量:1750kg/駆動方式:FF(前輪駆動)/乗車定員:8名/エンジン種類:直4 DOHC 16V ガソリン 直噴エンジン/総排気量:2356cc/使用燃料:無鉛レギュラーガソリン/最高出力:190ps(140kW)/6400rpm/最大トルク:24.2kg-m(237N・m)/4000rpm/トランスミッション:7スピードモード付無段変速オートマチック(+パドルシフト)/燃料消費率:14.0km/L(18インチアルミホイール装着車は13.6km/L)[JC08モード]/タイヤサイズ:215/55R17 94V/車両本体価格:295.0万円[消費税込み]
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