ホンダ N-WGN(エヌワゴン)公道試乗レポート/渡辺陽一郎(4/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
ターボモデルでも走りと燃費を両立
次はカスタムGターボパッケージ。注目したいのは動力性能と燃費のバランスだ。10.6kg-mの最大トルクを2600回転で発生させながら、JC08モード燃費を26km/L(15インチタイヤ装着車は24km/L)まで高めた。動力性能の数値はN BOXやN-ONEと同じだが、燃費性能はN-ONEの21.4~23.2km/Lと比べても大幅に向上している。
加速力も優れ、発進直後とか巡航状態に入った2000回転付近でも、相応の過給効果が感じられる。エンジン回転の上昇に応じて加速度的に駆動力が高まるターボのクセも抑えられ、とても扱いやすい。1100ccクラスのノーマルエンジンを積んでいる感覚で運転できた。
ターボで気になったのは、アイドリング(ストップ機能が働かない時)や徐行時に、ハンドルに微振動が伝わること。ATレバーをDレンジからNレンジに移すと多少は収まるが、それでも気になる。開発者によれば「振動の周波数を変えることで改善したい」とのことだった。
N-WGNのターボは全般的に買い得!
走行安定性はフロントスタビライザーの効果もあって良好だ。後輪の接地性は非装着車でも相応に保たれるが、ボディの傾き方はカスタムGターボパッケージが小さい。操舵に対する反応も正確で、峠道などでも違和感を抱きにくい。
乗り心地は標準ボディのG・Lパッケージとは違う意味で硬めだ。15インチタイヤの銘柄はブリヂストンB250で、指定空気圧は前後輪ともに210kPa。ごく普通の値だが、路面上の細かなデコボコを伝えやすい。14インチタイヤのG・Lパッケージに比べて重厚感は高まるが、もう少し柔軟性が欲しいと感じた。
そこを差し引いても魅力なのはターボの安さだ。標準ボディのGターボパッケージは、G・Aパッケージに比べて10万円高いが、アルミホイール/フロントスタビライザー/フロントベンチレーテッドディスクブレーキも加わる。これらの価格換算額が6万円には達するから、ターボは4万円で装着される計算が成り立つ。
しかも最大トルクはノーマルエンジンの161%で、燃費性能は89%。動力性能の増加率に対して、燃費の悪化率は小さい。カスタムでもターボの価格換算額は4万円くらいだから、N-WGNのターボは全般的に買い得だ。N BOXも同様だが、N-ONEはグレードによって4~9万円とバラツキが大きい。
それにしても、N-WGNが加わったことで、ホンダは軽自動車の売れ筋路線をそろえた。N-WGNには高効率で割安なターボ、リアシート下のトレイなど、走りと実用面でライバル車とは異なるセールスポイントが備わる。
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