ホンダ フィット 試乗レポート

ホンダ フィット 試乗レポート
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2代目フィットは初代を超えるか

フロントスタイリングリアスタイリング

生みの親であるホンダ自らの予想すらを超えるヒット作となった初代フィット。日本はもちろん世界中で愛され、結果すでに200万台以上の世界セールスを達成したこのモデルがついに初めてのフルモデルチェンジを行った。

前モデルの好評ぶりを受けて今回も狙ったのは、ズバリ「このクラスのど真ん中」というポジションと言う。すなわち、果敢にも、世界で最も激戦区と考えられるコンパクトカーのカテゴリーに再びの挑戦状を叩き付けたのが、新型フィットというわけだ。

全長は55mm、全幅は20mm・・・とわずかずつのサイズアップは図ったものの、今度ももちろん“5ナンバー・サイズ”を踏襲。ひと目で「フィットだ」と判別の付くエクステリア・デザインやセンタータンク・レイアウトといった特徴的なパッケージングも、従来型から継承している。

とは言え、当初からキープコンセプトによるクルマづくりを考えていたわけでは決してなかったという。むしろ「様々な新アイディアの採用を検討したものの、結果として従来型ベースのパッケージング/デザインがベストという結論に至った」と語る点に、まずは新型フィットの開発陣の自信が表れていると言えるだろう。

見晴らし良し、使い勝手良しの室内空間

インパネ
ガラスルーフフロントシート

確かに新しいけれど、しっかりフィットに見える―新型フィットのエクステリア・デザインは、自分にはまずそう感じられた。

当初は初代モデルのデビュー時のような再度の革新性を狙い、「センタータンクには拘らない超ロング・ホイールベースで低全高のデザインなども考えた」という新型フィットのデザイン開発。が、優れた取り回し性などコンパクトカーに不可欠な要素を考えた結果、結局「センタータンクがベスト」となって再度のデザインが行われたのがこのモデルであるという。

そうした中にあってもスタイリングの新しさを演じるために拘ったというのが、Aピラーを極限まで前出ししたプロポーション。これにより、勢いあるスタイリングやキャビンの広がり感を演じると共に、三角窓の大型化で死角の低減に配慮したのも特徴という。

インテリアは、カウル位置が前輪中心よりも前に位置する事で生まれた大ボリュームのダッシュボードが、このクラスのモデルでは珍しく左右非対称形を強調している点が大きな特徴。むろん、クッション部分を跳ね上げると高さ1.2mを超えるラゲッジスペースへと変身するフィットならではの後席も踏襲されている。

全車に新開発i-VTECエンジンを搭載

試乗
エンジンタイヤ&アルミホイール

初代モデルは、全車1.3リッター・モデルとしてデビューを行い、翌年になって1.5リッター・モデルも追加設定した。

それに対して、今度の2代目モデルは、全車に開発i-VTECエンジンを搭載し、1.3リッターと1.5リッターの二本立てだ。1.3リッター・ユニット比20ps増しの最高出力を発する心臓を積む後者は、かつてのシビックのスポーティ・バージョンに与えられた往年の名称、『RS』(ロード・セイリング)を名乗る。

新開発のトルクコンバーターを組み合わせたCVTを搭載するフィットだが、その効果もあってかスタート時の力強さは1.3リッター・モデルでも全く不満のないもの。静粛性もこのクラスとしては水準を凌ぐ感触。すなわち、走りの第一印象はなかなか好感の持てるものとなった。

ただし、電動式パワーステアリングが生み出す感触は低速域を中心に反力が希薄で、時にやや頼りない印象も受けてしまう。単なる軽さに加え、適度な手応えも演じられると嬉しいのだが。

1.5リッター・モデルはさすがに全体的な力強さが上乗せされるが、それでも「加速が劇的に素早い」というほどの印象ではない。フィットというモデルのキャラクターを考えれば、動力性能は「1.3リッター・モデルで十分」というのが個人的結論だ。

コンパクトカーとして徹底的に追求

フロントスタイリング

初代モデルのデビュー当初の「腰が痛くなるほどの荒い乗り心地」はその後のマイナーチェンジで大きく改善。加えて、さらなるシャシー/サスペンションやシート機能の大きなリファインもあって、その乗り味もすっかり上質になったのが今度の新型。

ホンダ得意の先進エンジン・テクノロジーや、アイドリング時の“ニュートラル・コントロール”機能の新採用などで、そもそも定評のあった優れた燃費性能にさらに磨きが掛けられたのも新型の特長という事になる。

一方で、大きな三角窓が視界の確保に貢献した事は認めつつも、前出しされたAピラーの生み出す死角はやはり場合によっては気になるし、せっかくの大きなウインドシールドに対して相対的にワイパー払拭面積が小さいのもちょっと残念。

3連タイプのメーターはスポーティなデザインだが、赤い目盛りはサングラスを掛けると少々見辛い。強い日差しに照らされたダッシュボード上面がウインドシールドにやや映り込み易い事や、リアバンパーの突出量が殆どゼロという点も、こうしたモデルには何よりも実用性の高さが重要、と考える人にはちょっと気になるポイントかも知れない。

それにしても、初代モデルに続いての「コンパクトカーの勝負どころはまずそのパッケージングにありき」、という開発の姿勢は確かに大きく実を結んでいると実感出来る。「日本が誇る新コンパクトカー」。それが、自分がこのクルマに捧げたくなる称号だ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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