ホンダ フィット プロトタイプ 試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 竹岡 圭
  • カメラマン:本田技研工業株式会社
ホンダ フィット プロトタイプ 試乗レポート
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街中を一歩飛び出したくなるような気分にさせてくれる一台

エンジンはi-VTECの1.3Lと1.5Lというラインアップとなる。排気量的には先代と同じだが、1.3Lで最高主力が86ps/5700rpm、最大トルクが12.1kg-m/2800rpmだったのが、100ps/6000rpm、13.0kg-m/4800rpm、1.5Lで110ps/5800rpm、12.1kg-m/2800rpmだったのが、120ps/6600rpm、14.8kg-m/4800rpmとどちらもパワーアップしている。さらに両方とも従来よりも高回転型となり、よりホンダらしいスペックになったと言える。

これだけパワフルになったのに実用燃費は1.3Lで9%、1.5Lで5%向上したのには、新開発のCVTがずいぶんと貢献しているのだ。いちばん大きいのはトルクコンバーターを採用したことである。このトルクコンバーター、ブレーキングで停止している間はクリープを発生させないのだ。となると上り坂の発進時は後ろに下がらないのか心配になるが、きちんと坂道は通常通りのクリープを発生してくれるので、普通にペダルを踏み変えてもずり下がることはない設定になっているのである。つまりアイドリングストップ機構はもたないものの、これでアイドリングの燃費を向上させたというワケなのである。使い勝手を犠牲にせずに、燃費を向上したところは当たり前だがさすがといったところなのだ。さらに、エンジンとのCVTの協調制御を行うことでフリクションをなくしたりと細かい制御をすることで成しえた数値と言えるだろう。

さてパワフルエンジンに見合うように、ボディ剛性や足回りもグーンと向上が図られている。まずボディ剛性は格段にアップしているが、ホワイトボディのウエイトは同じとのこと。重くせずに剛性を上げる工夫はコンパクトカーにはもってこいの手法である。サスペンションは、フロントマクファーソンストラット、リアトーションビームと形式は同じだが、ジオメトリが変更され、またリアのサスペンションの取り付け部の剛性が50%上げられており、よりよく動く足回りとなっている。またステアフィールの改善も図られている。パワーステアリングの電気容量を40A→60Aへと増量を図りスッキリとしたステアフィールが演出できるようになったのだ。合わせてステアリングの取り付け剛性も上げられているので、きちんとした手ごたえの あるステアフィールが実現できている。さらに静粛性も2~4db小さくなったということで、スペックだけを聞いているとかなりの出来映えなのだ。

そして実際乗ってみると、確かにエンジンは以前よりもパワフルというか、高回転域まで気持ちよく回る設定になっている。高回転型ということで、コンパクトカーならさらに重要な低回転域のトルク感が気になったが、CVTとの協調制御が利いているのかまったく問題なくスカスカ感などはまったくなし。低速域の街中でもまったく問題ないフィーリングと言っていいだろう。足回りもリアの粘りが感じられるようになり、従来の路面によってはピョコピョコするフィーリングもずいぶんと抑えられている。特に高速域でスッキリとしたフィーリングになり、ひと回り大きくなった車格に合わせてロングドライブに出かけたい気分にさせてくれる。

そんな気分を盛り上げてくれるのが、新たに設定されたスカイルーフとスモールカーユーザーに合わせて設計したという7インチ画面のHDDナビゲーションシステム。どこか遠くへ出かけたいなぁ~なんていう旅気分を、いっそう盛り上げてくれるに違いない。

今度のフィットはコンパクトカーの主舞台と言われる街中を一歩飛び出したくなるような気分にさせてくれる1台だと言えるだろう。

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竹岡 圭
筆者竹岡 圭

OLを経て、自動車専門誌を皮切りに、モータージャーナリスト活動を開始。国内外のレース、ラリーなど自らモータースポーツ活動に関わりながら、海外のモーターショーを精力的に回るなど、なにごとにも積極的に取り組んできた結果、近年は一般誌、女性誌、Web媒体、新聞、TV、ラジオなど、その活動はとても多彩なジャンルに広がっている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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