ホンダ 新型CR-Z(2012年マイナーチェンジ)新型車解説 ~第2世代CR-Zはリチウムイオン電池搭載+「PLUS SPORT」ブーストボタンを追加!~(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:本田技研工業株式会社
CR-Zがビッグマイナーチェンジにより「第2世代」へと進化!
「今はフリードやフィットシャトルハイブリッドが売れ筋で、CR-Zはとりあえず販売している感じです」
ホンダの販売ディーラーである「ホンダカーズ」でCR-Zについて尋ねると、このような返答を受けることが多い。
2010年2月にホンダ CR-Zが初めて登場した時は大騒ぎとなった。ハイブリッドのスポーツクーペであるCR-Zは、軽量&コンパクトで運転が楽しく、走行性能も相応に高い。また、軽量&コンパクトは燃費性能の向上にも効く。そして何より“スポーツハイブリッド”という新しいコンセプトが注目を浴びたのだ。
CR-Zが発売された2010年2月から7月までは、1ヶ月の登録台数が3,000~4,000台を記録するなど、売れ行きも好調であった。
ところが、10月に入ると登録台数は500~700台前後へと急落。この後、ほとんど浮上することはなく、直近では300~400台前後で落ち着いている。
新型CR-Zは「リチウムイオン電池」を搭載して走りを強化!
ホンダはCR-Zの投入後、2011年6月にフィットシャトル&フィットシャトルハイブリッドに加え、同年10月にはフリードハイブリッド&フリードスパイクハイブリッドを投入。さらに2012年末には軽自動車のN BOXが発売され、CR-Zはこれら後発モデルに販売力を奪われてしまった。
新型車が登場すると既存車種の売れ行きが落ちるのは、以前から見られるホンダの特徴だが、そもそも量販モデルではないスポーツカーのCR-Zは積極的に売っていく必要がある。確かに実用性は劣るかもしれないが、優れた環境性能を備え、なおかつクルマの楽しさを世の中に伝えられる貴重な車種になるからだ。さらに、ホンダのブランド力向上にも少なからず役立つだろう。
プリウスと同等の出力を得たNEW CR-Z
以上のようなCR-Zの状況を考えると、2012年9月に実施されたマイナーチェンジは大きな意味を持つ。内外装のデザイン変更にとどまらず、ハイブリッドシステムまで含めて大幅な改善を加えたからだ。
最も注目される変更点は、前述のハイブリッドシステムの進化。ハイブリッド用の電池を従来のニッケル水素からリチウムイオンに変更し、電圧も従来の100Vから144Vまで引き上げた。電池の出力も44%の上乗せになる。
エンジンは強度の高いクランク材を使用し、CVTも油圧・油温センサーを追加。6速MTはクラッチのサイズアップなどが図られた。これらの改善によってバランス良く高出力化を達成。
エンジンとモーター駆動を合算したシステム最高出力は、6速MTで見ると従来型は124馬力だったが、変更後は136馬力となった。これは、1.8リッターエンジンを搭載するプリウスと同じ数値だ。幅広い回転域にわたって駆動力を10~15%上乗せしている。
動力性能の持続力も高く、停止状態から時速80kmまでのフル加速を行うと、従来のニッケル水素電池では電力が維持されるのは4回まで。それがリチウムイオン電池を使った現行型なら9回まで対応できる。峠道を攻めるような走り方をしても、長時間にわたり高い動力性能を発揮できるわけだ。
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