シビック タイプRユーロ 試乗レポート(2/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
同じ「タイプR」ながらセダンとは異なるキャラクター
今回、セダンのタイプRもあらためて少し走らせてみたのだが、こちらの印象は登場したときから変わらず、とてもスパルタンで、いわばN1のレース車両を公道でも使えるようにしたようなクルマである。
一般道での乗り心地には閉口する部分もあるが、そのままサーキットに持ち込んでも問題なく楽しく走れるほど、割り切ったクルマになっている。
一方のタイプRユーロは、セダンとは違ったキャラクターが与えられている。あくまで「タイプR」だから、性能の高さは譲れない。さらには、強力なライバルのひしめく欧州市場でも受け入れられてしかるべき実力を身につけていなければ、評価を得ることはできない。
そこに取り組んだタイプRユーロは、実に唸らされるほどの仕上がりを見せつけた。走り出してまず印象的なのは静粛性の高さだ。バランサーの追加などエンジン自体にも手が加えられているが、車体のほうでも相応に努力したことをうかがわせる。
そして乗り心地。「欧州の道を知り尽くしたSUCHS製ダンパーを採用した」ことの狙いどおりの仕上がり。硬質感と柔軟性の同居した足まわりは、荒れた路面でもしなやかに動いて、タイヤを路面に追従させてくれる。そして、姿勢を乱すことなく、イメージしたとおりにノーズは向きを変え、コーナーのラインをトレースしていく。
これは、目的の違うセダンと比べてもしょうがないのだが、荒れた路面を苦手とするセダンとは、同じ「タイプR」と名がつきながら、ずいぶん違う部分である。
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