エコカー補助金終了まであとわずか!低価格コンパクトエコカー徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
副変速機付きCVTとアイドリングストップ
先代のマーチは、女性向けという明確なコンセプトのもと、非常に特徴的なデザインが与えられていた。
ところが、グローバルカーとしての使命を担った現行モデルは、円弧を描くサイドウインドウなど従来モデルの要素を受け継ぎつつも、万人向けのデザインとされた。
しかしながら、特徴的なボディカラーを設定するなどし、日本においてはこれまで同様、女性向けコンパクトカーとして確立したイメージの踏襲を図っている。
基本構成は、新開発のVプラットフォームを採用し、最高出力58kW(79ps)、最大トルク106Nm(10.8kgm)を発生する新開発1.2リッターの3気筒エンジンを搭載。これにアイドリングストップ機構を採用したこともポイントだ。
同機構は非常に積極的にエンジンを停止させる設定という印象で、気温の高い中でエアコンを使用していてもエンジン停止時間は長く、予想外に再始動することもあまりなかった。走りについては、やはり3気筒っぽいチープなサウンドや振動感の大きいフィーリングに仕方がないなと感じるところだが、組み合わされる副変速機付きCVTが実にいい仕事をしている。
ややリニアさには欠けるものの、低速域から力強く加速し、高速走行時には低回転を保つなどし、動力性能の向上と低燃費に貢献している印象だ。
フットワークは、一般走行ではやや固さを感じるものの、高速走行時には適度に引き締まった乗り味となり、ちょうどよく感じられる。むろんスポーティと表現するほどの感覚ではないが、操縦安定性は悪くない。
また、最小回転半径は4.5mと、パッソ+Hana(1LのFF車は4.3m)とデミオ13C-Vの4.7mとは僅差ながら、今回の撮影車両の中でもっとも小回りが利くこともお伝えしておこう。
プラットフォーム踏襲、パワートレイン刷新
「イカツカワイイ」を謳った従来からイカツさを排除した印象に変わり、丸みを帯びた、より女性向けのカラーの濃いルックスとなった。
また、外観ではアルミホイール、ドアサッシュブラックアウト、プロジェクターヘッドランプ、などが与えられる、内外装を専用の仕様とした「+Hana」が新設定された。
全面改良のマーチに対し、基本的にほぼ手の加えられないままプラットフォームを従来より踏襲したため、フットワーク面での進化はあまり感じられない。ただし、従来は4速ATだったところ、効率のよいCVTを得た動力性能の変わりぶりは、期待どおりのものがある。
エンジン種類およびスペックについて、1リッター3気筒エンジンの、最高出力51kW(69ps)、最大トルク92Nm(9.4kgm)という数値は、従来の同型式ユニットよりも若干ダウンしているが、3気筒っぽいフィーリングはあるものの、性能面での大きな不満はない。
そして、最高出力70kW(95ps)、最大トルク121Nm(12.3kgm)を発生する、新しい1.3リッター4気筒エンジンは、中~高速が主体の走りにもなんとか応えてくれる。3気筒に比べると4気筒は明らかにスムーズだ。
フットワークについて、一般走行においては、初期が甘くコントロール性のよろしくないブレーキや、フリクション感の大きい電動パワステなど気になる部分もあれど、全体としては乗りやすいように感じられる。
ところが、ソフトなフロントに対し、リアはバタつく印象が残り、首都高速のような速度がやや高めでツイスティなコーナーが続くような道で、コーナリング途中に継ぎ目を越えるようなシチュエーションでは、挙動が不安定になりがちだ。走行性能面で改善されるべき点は少なくない。
ミラーサイクルエンジンとCVT
前進感が強く彫りの深いスタイリングのデザイン性は高く、フロントとリアのウインドウを大きく傾斜させたシルエットは、2ボックスのコンパクトハッチバック車ながらスポーティな雰囲気に満ちている。
シャシー性能も、さすがは欧州市場をメインに開発された強みを感じさせる仕上がりだ。
足まわりに唯一スタビライザーが付き、ロール感が適度に小さく抑えられているし、しっかり感のあるステアリングフィールと、それに対するハンドリングの応答性のよさも印象的だ。
全体の走りのフィーリングは、乗り心地はソフトすぎず、固くもなく、また跳ねる感じもなく、軽快さとしっとり感を併せ持っており、ボディサイズに似合わぬフラット感もある。静粛性や振動など質感の面でまだ磨く余地はあるものの、概ね好印象で、上の2モデルを大きく上回っている印象だ。
エンジンは1.3リッターと1.5リッターで、すべて4気筒となる。1.3リッターには、出力を維持しつつ燃費を向上させるというミラーサイクルエンジンの設定もある。
スペックは最高出力66kW(90ps)、最大トルク120Nm(12.2kgm)と、パワー追求型ではないが、ミラーサイクルが苦手とする低回転でのトルク不足を、可変バルブタイミングや適切にセットアップされたCVTにより巧みにカバーしている。
デザイン・スペックの総評
もともとこのクラスにおけるデミオの走行性能面での優位性は高く、それは今回の後発モデルに対しても変わらない。燃費については、10・15モード燃費の公表値は、マーチアイドリングストップ車では26.0km/L、同機構なしでも24.0km/Lを達成。パッソは、1リッターのFF車は22.5km/L、1.3リッターのFF車で21.0km/L、デミオの1.3リッターのミラーサイクルエンジン車は23.0km/Lとなっている。撮影時に市街地と高速道路を半分ずつ走った実燃費も、この数字とはだいぶ離れるが、やはりマーチが優勢という印象だった。降雪地ユーザーに向けては、パッソの1リッター車にはVフレックスフルタイム4WDが、マーチとデミオには、一時的に後輪をモーターで駆動し低ミュー路での発進を容易にするe-4WDの設定もある。
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