【トヨタ GR86&スバル BRZ vs マツダ ロードスター】国産の手ごろなFRスポーツは一般道とサーキットで全く異なる味付けだった!
- 筆者: 中谷 明彦
- カメラマン:茂呂 幸正/トヨタ自動車/日産
筆者(中谷明彦さん・レーシングドライバー)が若い頃(1970年代〜)にはスポーツカーといえばFRが当たり前だった。理論的にはミドシップ(MR)が最高だと知っていたが、国産車には設定がなくFRから選ぶのが普通だったのだ。
これまで国産モデルでも多くのFRスポーツが登場してきたが、現実的にいま買えそうな新車としては、トヨタ GR86とスバル BRZ、マツダ ロードスターの3車種に絞られる。今回は希少な存在となった比較的安価な国産FRスポーツである両モデルの走りの違いについて紹介したい。
かつては多くのFRスポーツが存在した
初めて手に入れたのが初代マツダ ファミリア ロータリークーペ。当時最速クラスのFRスポーツの1台だった。憧れは日産フェアレディZ432。その後トヨタ セリカ1600GTが登場し、三菱 ギャランGTO MRに心を奪われる。
オーバーフェンダーで武装した初代トヨタ カローラ レビン/スプリンター トレノ、マツダ サバンナRX3など、とにかくFRスポーツが多く、選ぶのに苦労するほどだった。
実際には公道で飛ばしても意味がないと感じレーシングカートに方向転換したのでこれらFRスポーツを購入することは無かったが、大学を卒業して自動車専門誌の編集部で働き始めた頃にトヨタがカローラ レビン/トレノをAE86型に進化させて登場させ、これには相当に心が動かされた。当時の安月給では手が届かず、しかし取材で試乗機会を作って走り回ったものだ。
そのAE86が現在のトヨタ GR86/スバル BRZ(86/BRZ)の原点にあると思うと感慨深いのだ。
現在では国産のFRスポーツモデルは希少な存在となっている
現代ではFRの国産スポーツというと非常に稀有な存在になってしまった。若い世代にとっては86/BRZ以外にはマツダ ロードスターしか選択肢がない。日産Z(フェアレディZ)やレクサスなど高額なモデルに手が届けば選択肢は若干増えるだろうが、重量や性能、価格のバランスでいうと86/BRZ、ロードスターが現実的なところだ。
では86/BRZそしてロードスターはどんな個性があり、どういったユーザーに向いているのだろう。
86/BRZはスバルの工場で同じ生産ラインから送り出されている。一般的に見れば同じクルマだと言っても過言ではない。トヨタが好きか、スバルが好きかというブランド主体で選択するユーザーもいるだろう。しかし、この2車は全く同じではない。特に最新のモデルになってより個性が明確になったと言える。
エンジンやトランスミッションなどパワートレインは共通だが、サスペンションの構造の一部やハンドリングの「味付け」で明確な差別化が図られるようになった。
一般道、サーキットと走る場所によってGR86とBRZのキャラクター性は大きく変わる!
それにより2代目のGR86は、サーキットでのスポーツ走行時にはフロントの操舵特性がシャープでターンイン特性に優れ、リアは比較的早くリバースするがパワーでスライドコントロールしやすい。ドリフト走行にも適した特性に仕上げられている。
一方、BRZはサーキットでしっかりした直進安定性と重めのステアリング手応えがあり、リアは限界が高くリバースしにくい。より速いラップタイムを記録するのに適したハンドリング特性となっているのだ。
だが、一般道を走るとこの特性は逆転する。
GR86は一般道ではステアリング操舵・保舵力に適度な重みが感じられ、路面のアンジュレーション(うねり)など外力に対して安定性に優れている。
BRZは操舵力が軽くなり、フロントのゲイン(操作に対するクルマの反応)が強い。ステアリングレスポンスが高まっているので気を抜いてリラックスした運転がしにくい。常に戦闘モードで意識を集中してドライビングすることが求められる。それでいて操舵力が軽いので女性にも扱いやすいという相反する味付けなのだ。
こうした特性の違いがあることを理解した上で、より自分に適したモデルを選ぶと楽しいカーライフが送れるだろう。
マツダ ロードスターは街中での走行で非日常が味わえるモデルだ!
ではマツダ ロードスターはどうだろう。86/BRZが登場するまでは唯一の軽量国産FRスポーツとして重要な役割を果たしてきた。ロードスターのファンは世界中に多く、その仲間に入ることでカーライフに新しい世界観が見い出せるだろう。
ロードスターの基本は車名の通りオープンエアを楽しめるスポーツカーということだ。2人乗りという制約はあるが、屋根のない爽快感は速度に関係なく得られ、一般道でも非日常的な歓び、楽しみがある。
ただサーキットなどハイスピードでの走行特性は一般的に論じられているほど秀逸ではない。屋根のないことでシャシーの捻りや、縦曲げ剛性はけして十分でなく、マニュアルトランスミッション車ではハイグリップタイヤを履かせると旋回しながらの変速操作が行い辛くなる。それに対処するアフターパーツ類も多く存在しているので、自分のカーライフにあったロードスターに作り込んでいく楽しみがあるとも言えるのだ。
いずれにしても、我々のようなクルマ好き、カーマニアがこうしたFRスポーツを積極的に選択してFRスポーツを販売する自動車メーカーを応援して行かなければ、FRスポーツの灯は消えてしまう。そうならないようにみんなでFRスポーツを買おう!
【筆者:中谷 明彦】
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