スポーティな軽トールワゴン 徹底比較(3/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
後席両側スライドドアと低いフロア
インテリアは、ダークグレーのトリムにピアノブラック調塗装のパネルを組み合わせている。クロームメッキ加飾を施し、ブラック基調の専用シート表皮など、高い質感と精悍さを演出している。
TSグレードでは、ハイグレードサウンドシステムを選ぶこともできる。
2009年9月の改良では、バックモニター付CDプレーヤーがオプション設定された。また、両側スライドドアはパレットの最大の特徴だが、それはSWでも同様。一部グレードを除きスライドドアクローザーと左側パワースライドドアが装備された。
ホイールベースや室内長はタントが上回るが、室内高は乗用タイプの軽カー最大の1,365mmとなっている。また、タントではボディのサイド面が垂直近くで切り立っているのに対し、パレットはルーフにかけてやや絞り込んでいる。
フロア地上高は、前席はタントと大差ないが、後席についてはパレットのほうがだいぶ低く設定されており、良好な乗降性を実現している。なお、後席は、165mmの前後スライド機構とリクライニング機構を備えている。ラゲッジのフロアも低めで、荷物の積載性にも優れる。収納スペースについては、必要十分だが、全体的にもう少し容量があってもよかったと思う。
助手席側には保冷機能付きアッパーボックスが備わり、またスズキ車らしく、助手席の下にバケツ状のシートアンダーボックスを設定。さらに、助手席座面を前に跳ね上げ、背もたれを前倒しすると低い位置で平らになり、長尺物も積載できる。
装備面では、オートライトシステムの全車標準装備は特筆点。また、イモビライザーおよびセキュリティアラームという二重の盗難ガードも付く。安全装備については、前席にはサイドエアバッグが標準装備され、カーテンエアバッグも選べる。
ミラクルオープンドアと充実装備
ブラックを基調にダークグレーとのツートーンでまとめられたインテリアは、いかにも「カスタム」らしい。センターメーターには、標準のタントには付かないタコメーターも備わる。
左側のセンターピラーを廃し、大きな開口面積を実現したミラクルオープンドアがタントの真骨頂。右側は非常に開口面積の大きなスイングドアとなり、前席も含め、すべてのスイングドアはほぼ直角に開くところも特徴だ。
また、インテリア各所に設けられた収納スペースの数や容量は、パレットよりもいくぶん充実している。助手席の背もたれを前倒しすると、テーブルとして使えて、さらに、後席も前倒しすれば長尺物も積むことができる。後席は260mmものスライドが可能。車内のどのシートに座っても、まるでミニバンに乗っているかのような「広さ」と「開放感」を感じるのは、乗用タイプの軽自動車でもこのクルマならでは。さらに、ドア内張りなども、ただでさえ薄くしているところを、さらにえぐり取ったような形状として、より居住スペースとして広く使えるようにしているなど、努力の痕跡がうかがえる。
オプションでフローリングフロア仕様も用意されているところも面白い。RSグレードにはオーバーヘッドコンソールが標準で付く。
ただし、後席を使用する場合のラゲッジルームの使い勝手についてはライバルに分がある。フロアが高めで、ラゲッジ後端の両側はダンパーの取り付け形状の影響でかなり盛り上がっている。そのため、有効スペースという点では微妙に劣る。
装備については、シートヒーターがオプション設定。安全面では、標準装備の前席デュアルエアバッグに加え、ニーエアバッグとサイドエアバッグなどのセーフティパックが上級グレードにオプション設定されている。
トールワゴンを極めた高い機能性
直線的なラインで構成されたインテリアは、視覚的な質感も高く、収納スペースも豊富に設定されている。車室内VOCの低減にも配慮しているという。
室内高は1,340mm、室内幅は1,315mmと、数値的には上記2台に比べても遜色ない。
フロントピラー前にクォーターウインドウを配さず、室内はオーソドックスなつくりとなっており、低床ゆえ頭上空間も十分に余裕がある。エクステリアからもわかるとおり、ウエストラインが尻上がりになっているので、後席では開放感とは逆の包まれ感がある。
乗用車に近いベンチシートながらバケット形状となっており、間にドリンクホルダーを設定しているのも面白い。
フロアがフラットに近い形状で、インパネの出っ張りも小さいため、サイドウォークスルーがしやすい。
後席のシートアレンジも、上記2台と同じく2アクションでダイブダウンができるようになっており、低い位置でフラットになる。これは、本来のゼストの競合車に対してもアドバンテージといえる。長尺物を積む際は、さらに助手席の背もたれを後ろに倒せばよい。なお、後席にスライド機構がない。テールゲート裏側の樹脂パネルも上記2台と異なる。
低床化技術により、1,020mmのテールゲート開口の高さと1,100mmの荷室高、530mmの荷室床面地上高という、クラストップレベルの大開口/大容量/低床の荷室を実現。形状もよろしく、荷室の使い勝手はもっとも優れると思われる。
W系グレードはフルオートエアコンが標準となるなど、装備類は差別化されている。安全装備は、前席SRSエアバッグや、EBD付きABSが標準装備。さらに、前席用として、展開を最適に制御する、i-サイドエアバッグシステムやサイドカーテンエアバッグシステムなどがオプションで用意されている。
内装・装備の総評
両側スライドドア、片側大開口スライドドア、全スイングドアという違いはあり、それぞれ使い勝手に大きく影響するので、選択の際は使い方をイメージして選ぶべき。必ずしもスイングドアの使い勝手が悪いわけではない。
質感や装備について、かつてスズキとダイハツの間には大きな差があったが、最近は逆に両社が入れ替わってきたと感じさせるほど、近年のスズキ車は向上しており、このパレットSWもそれを象徴する1台。逆にダイハツは、装備面では相変わらず、一歩先を行く面は多々あるが、樹脂パネルやファブリックなどの質感の部分で、従来よりもやや落ちたように感じられなくもない。
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