セレナライダー/ステップワゴンモデューロX/ヴォクシーG’sを徹底比較 ~人気のミニバンをエアロパーツでドレスアップ~(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
オーテック30周年記念車はセレナで唯一本革シートを採用
セレナライダーの内装は、シートの生地などが変更されている。シートやドアトリムがスエード調に変わり質感を高めた。試乗車はオーテック30周年記念車なので、ライダー専用プレミアムレザーインテリアが採用されており、本革シートにホワイトの内装色を組み合わせて上質な印象を受ける。
ちなみにセレナのシート生地は、標準グレードは織物や合成皮革、ライダーも前述のスエード調だから、オーテック30周年記念車はセレナ唯一の本革シートになる。
居住性は、5ナンバーサイズが基本のミドルサイズミニバンでは優れた部類に入る。特に注目されるのが3列目で、足元空間に余裕を持たせた。3列目でもシートのサイズに不足はなく、多人数が快適に乗車できる。
ただし3列目はシート本体の剛性が不足気味で、固定された状態でも、乗員の体が揺すられると座面が微妙に動く。特定の車両の不具合かと思ったが、ほかも同様であった。
シートアレンジは多彩で、2列目の中央を1列目の間までスライドさせると、収納設備として使える。この状態では2列目の間に通路ができて、車内の移動もしやすい。
3列目は左右に跳ね上げる方式だが、低い位置で畳めるから後方視界を妨げにくく、例えば自転車を積むような時もハンドルとシートが干渉しにくい。
リアゲートは上半分だけを開閉でき(デュアルバックドア)、狭い場所でも荷物の出し入れがしやすいよう考慮されている。
装備では単眼カメラを使った安全装備が注目される。カメラ方式だから、歩行者も検知して緊急自動ブレーキを作動することが可能だ。作動の上限速度は、車両に対しては時速80km、歩行者は時速60kmになる。
セーフティパックBを装着すると、この機能を使った運転支援のプロパイロットも備わる。車間距離を自動制御するクルーズコントロールに加えて、路上の白線を検知してハンドルの操舵支援も行う。
注意したいのは操舵支援で、カーブに差し掛かって道路の曲がり方が大きくなると、車両が次第にカーブの外側へ寄っていき、やがて制御がキャンセルされる。これは回り込んだ状態でキャンセルすると危険が生じるための配慮だが、カーブの外側に位置する車線を走っている時は、側壁に接近する心配がある。
また直進時も、白線を検知するためにハンドルが小刻みに左右に動く。セレナは操舵に対する反応が鈍いため、車両が左右に揺すられることはないが、運転中の気分は良くない。つまり発展途上の技術だろう。
3列目シートの床下格納やリアゲートのサブドアが便利
ホンダ ステップワゴンモデューロXの内装は、標準グレードのスパーダクールスピリットホンダセンシングに近い。シートの生地はプライムスムースとソフトウィーブの組み合わせで、色彩はブラックになる。そこに「Modulo X」のロゴをあしらった。
助手席の前側に位置するインパネは、手前の部分を光沢のあるピアノブラックにして質感を向上させた。
室内空間は、5ナンバーサイズを基本にしたミニバンでは、セレナと並んで広い部類に入る。3列目シートの足元空間にも余裕を持たせた。
ただし3列目を床下格納にしたので、座面の奥行寸法が1列目に比べて80mm短い。座面の柔軟性も乏しく、スペースは広いが座り心地はいまひとつだ。
その代わり3列目を畳んだ時の荷室は使いやすい。格納した3列目が荷室に張り出さず、荷物の収納性が優れている。
またリアゲートには、横開き式のサブドアを内蔵した(わくわくゲート)。手荷物の出し入れには、セレナの上半分だけを開閉できる機能が便利だが、ステップワゴンのサブドアは縦長だから、3列目の左側を畳んでおくと乗員の乗り降りにも利用できる。
緊急自動ブレーキはミリ波レーダーと単眼カメラを併用して、車両に加えて歩行者も検知できる。
同じ機能を使って車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、ステアリングの操舵支援も行うが、性能はさほど高くない。車間距離の制御は時速25km以下ではキャンセルされるので、クルーズコントロールの使用中に速度が下がった時は注意したい。
シートの生地からメーターパネルまで変更されて内装もスポーティ
トヨタ ヴォクシーのZS G’sでは、内装にも積極的に手を加えた。シート生地は中央部がスエード調、両側は合成皮革でステッチも入り、スポーティに演出される。インパネには光沢のあるピアノブラック、ドアトリムにはスエード調の生地が使われて肌触りと見栄えが良い。
メーターパネルはベース車ではブラックだが、G’sでは文字盤がシルバーになり、標準グレードとは雰囲気が異なる。
居住性は1/2列目のシートは快適だが、3列目は足元の空間がセレナやステップワゴンに比べると少し狭い。座面はセレナよりは短いが、ステップワゴンに比べると長く、柔軟性は乏しいものの、大人の多人数乗車にも対応できる。
3列目の跳ね上げ操作はレバー式だから、手で持ち上げる必要がなく、省力化されて使いやすい。
リアゲートは一般的な形状で、セレナやステップワゴンのような一部だけを開閉する機能は備わらない。
緊急自動ブレーキを作動できる安全装備は、赤外線レーザーと単眼カメラを併用している。ただしカメラは車線逸脱の警報と、ハイ/ロービームの自動切り替えに使われて歩行者は検知できない。この改善が今後の課題になる。
内装・装備の総評
内装を標準グレードと比べた時に、変化の度合いが最も大きいのはヴォクシーZS G’sだ。シートの表皮に加えて内装の内張りも変わり、メーターの文字盤もシルバーにするなど手を加えた。
セレナライダーもシート表皮を変更して、オーテック30周年記念車はホワイトのレザー仕上げだ。スポーティというよりも質感を高めた。セレナライダーのフロントマスクも、メッキグリルを使いながら比較的シンプルだから、内外装はバランスが取れている。
ステップワゴンは、外観と同様に内装の変化も小さい。標準グレードの持ち味を生かした。
外観を含めて、ドレスアップ感覚が総合的に最も分かりやすいのはヴォクシーZS G’sだろう。
居住性に関しては、主に3列目の快適性で差が付き、セレナが最も快適だ。3列目も足元空間が広く、なおかつシートのサイズに余裕を持たせた。ステップワゴンの3列目は、足元は広いが座面が短く、ヴォクシーはシートの造りは悪くないが足元が狭い。
乗降性にも差がある。ステップワゴンとヴォクシーは低床設計だが、セレナは従来型とプラットフォームを共通化したこともあり、ライバル2車に比べて床が70mmほど高い。小さなサイドステップが備わり、乗降性はあまり良くない。
緊急自動ブレーキを作動できる安全装備は、セレナとステップワゴンは歩行者を検知するが、ヴォクシーは対象外だ。運転支援の機能は、車間距離の制御機能を備えたクルーズコントロールなどセレナが最も充実していて、ステップワゴンにも備わる。ヴォクシーは採用していない。
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