スズキ 新型ソリオ・ソリオバンディット vs トヨタ ポルテ・スペイド どっちが買い!?徹底比較(1/2)

スズキ 新型ソリオ・ソリオバンディット vs トヨタ ポルテ・スペイド どっちが買い!?徹底比較
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今は小さなクルマに代替えするユーザーが増えたこともあり、軽自動車と並んでコンパクトカーの売れ行きも好調だ。

小型車の中でも特にサイズが小さく、価格も安い。そのために軽自動車からコンパクトカーに代替えするユーザーも少なくない。コンパクトカーはいろいろな点で効率を重視して開発されるが、スペースの点で高効率なのは背の高いスライドドアを備えた車種だ。

そんなスライドドアを備えたコンパクトカー「スズキ ソリオ」が2015年8月にフルモデルチェンジを受けたので、ライバル車である「トヨタ ポルテ」&「トヨタ スペイド」と比べてみたい。

[初出:2015/9/8 編集部追記:2017/4/4]

新型ソリオ・ソリオバンディッド vs ポルテ・スペイド/外装比較

ボディサイズは、ソリオに特徴がある。全長は3,710mmと短く、全幅は小型車では最も狭い1,625mmだ。その一方で天井は高く、全高(車高)は1,745mmに達する。幅が狭くて背が高い外観は軽自動車のスペーシアに似ているが、空間効率は抜群だ。

ポルテ&スペイドは、全長が3,995mmで全幅は5ナンバーサイズいっぱいの1,695mm。全高(車高)は2WDが1,690mmだ。ソリオに比べると285mm長く、70mm広く、55mm低い。5ナンバーサイズに収まるミニバンの全長を短く抑えたような外観に仕上げた。

このボディサイズはソリオに比べると一般的な数値だが、ポルテ&スペイドはボディ形状が左右非対称になる。右側には2枚の横開きドア、左側には1枚の開口部がワイドなスライドドアを装着する。

ソリオ/ソリオバンディッド ボディサイズ比較
ソリオバンディッドポルテスペイド
全長3,710mm3,995mm
全幅1,625mm1,695mm
全高(車高)1,745mm1,690mm
ホイールベース2,480mm2,600mm
室内長2,515mm2,160mm
室内幅1,420mm1,420mm
室内高1,360mm1,380mm
車重(重量)950kg1,170kg

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スズキ 新型 ソリオ バンディット ハイブリッドトヨタ スペイド

フロントマスクはポルテが先代型と同様に柔和な印象。現行型から設定された姉妹車のスペイドは少し精悍なイメージだ。

取り扱いディーラーは、ポルテがトヨタ店とトヨペット店、新たに加わったスペイドはカローラ店とネッツ店になる。両車ともにボディスタイルは水平基調で、視界も良いが、斜め後方はソリオが見やすい。また右側のサイドウィンドウを開いて顔を出した時も、ソリオは後輪が少し視界に入るがポルテ&スペイドはほとんど見えない。

ソリオは駐車性も優れている。取りまわし性もボディがコンパクトなソリオの方が有利。最小回転半径はソリオが4.8m、ポルテ&スペイドが5.0mになる。小回りの利きはソリオが勝るが、ポルテ&スペイドも不満はない。

外観デザインの評価は見る人によって異なるが、視界と取りまわし性はソリオが優れている。

新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/内装比較1

スズキ 新型 ソリオ バンディット ハイブリッドトヨタ ポルテ

内装の雰囲気は天井の高いコンパクトカーとあって開放的だ。

インパネは両車ともメーターを中央寄りの高い位置に装着。視線が少し左に寄るものの、高く奥まった位置に備わるから視認性は良い。

インパネの中央部分は縦長のデザイン。ポルテ&スペイドのエアコンスイッチは取り付け位置が下がるが、操作がしにくいとは感じない。内装の質感、操作性と視認性は両車ともに互角のレベルだ。

乗降性はどうか。ソリオは前席のドアが横開き、後席はスライド式とした。スライドドアは現行型で開口幅を60mm広げて640mmとしており、乗降性が向上。路面から床までの高さは、スライドドアの部分で360mmになる。

スズキ 新型 ソリオ バンディット ハイブリッドトヨタ スペイド

ポルテ&スペイドは、先に述べたようにボディが左右非対称。右側のドアは横開きだから乗降性はごく普通だ。左側のスライドドアはワイドに開き、開口幅は1,020mmに達する。

1枚のスライドドアだから、開口幅がワイドでも後席の乗員が左側から乗り降りする時は不便。助手席を大きく前方にスライドさせるといった手間を要する(なので助手席の足元を広げた)。

その代わりに、ポルテ&スペイドの助手席の乗降性は抜群だ。少し後方に寄せてスライドドアを開くと、助手席が丸見えになって体を捩らずに乗降できる。しかもスライドドア部分の床面地上高は300mm。ソリオよりも60mm低く足をあまり持ち上げずに乗り込める。

ちなみに高齢者が階段などで足を持ち上げる場合、段差が300mmを超えると辛くなるという。そこで床面地上高を300mmに抑えた経緯がある。

乗降性は一般的な使い方なら4つのドアを備えたソリオだが、助手席の乗降性はポルテ&スペイドが圧倒的に優れている。

新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/内装比較2

スズキ 新型 ソリオ バンディット ハイブリッドトヨタ ポルテ

ソリオの前席は、サイズに余裕を持たせて座り心地が快適だ。バンディットはシートの生地が少し滑りやすく、体のサポート性がいまひとつだが、標準ボディは柔軟で座り心地が良い。日常的な移動に適する。頭上には握りコブシが3つ入る余裕を持たせた。

ポルテ&スペイドの前席は、ソリオに比べると走る距離を少し長く想定している。座面の後方と背もたれの下側が少し硬く、着座姿勢が乱れにくいために長時間の乗車も快適だ。背もたれは腰を包む形状でサポート性が良い。頭上の空間はソリオと同じ握りコブシ3つ分になる。

なお、ポルテ&スペイドの前席にはベンチタイプとセパレートがある。ベンチタイプは運転席の座面がワイドで柔軟性が少し勝るが、ポルテ&スペイドの内装の特徴は、後席を含めた幅広いシートアレンジだ。この特徴を生かしやすいのは、車内の移動性が優れたセパレートシートだろう。

ベンチ/セパレートは好みや使い方に応じて選べば良いが、商品の特徴や内装との相性が良いのはセパレートになる。

スズキ 新型 ソリオ バンディット ハイブリッドトヨタ ポルテ

後席は、ソリオについては座ったときの底突き感などが抑えられておおむね快適だ。ただし腰が少し落ち込む印象で、背もたれは全体的に柔らかい。腰の当たる部分は、もう少し硬めにしっかり造り込むと良いだろう。

ボディはコンパクトでも、頭上や足元は広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は、前席の背面に備わるテーブルを格納した状態で握りコブシ3つ半。これを含まなければ4つ分になる。

頭上の空間も握りコブシ2つ半を確保して余裕がある。

ポルテ&スペイドの後席は、硬さが適度で床と座面の間隔も十分に確保した。座り心地は良好だ。後席に座る同乗者の膝先空間は、前述の測り方で握りコブシ3つ半。頭上は2つ分になる。ソリオを少し下まわるが、内装にこれだけの広さがあれば不満はない。

ちなみに後席の足元空間は握りコブシ3つ分あれば十分で、それ以上広がっても実質的な居住性にはあまり差が付かない。前後席の座り心地はポルテ&スペイドが少し快適。居住空間の広さは両車ともに互角だ。

新型ソリオ・ソリオバンディット vs ポルテ・スペイド/荷室比較

スズキ 新型 ソリオ バンディット ハイブリッド

ソリオの後席には左右独立式のスライド機能を採用。後ろ側にチャイルドシートを装着した場合などは、前に寄せると便利だ。信号待ちの時などに親が子供のケアをしやすく、広がった車内の最後部には子供用の自転車も積める。

また後席の背もたれを前に倒すと座面も連動して下降。フラットな荷室が広がり、大人用の自転車も積載できる。ワゴンRなどと同様の実用的なシートアレンジだ。

その点、ポルテ&スペイドは個性的で、後席にスライド機能が付かない。後席の背もたれを前に倒しても座面は下がらず、広げた荷室の床に段差ができる。

スズキ 新型 ソリオ ハイブリッドトヨタ ポルテ

そしてリアゲートの開口部寸法は、ソリオは幅が1,065mmで高さが960mmだが、ポルテ&スペイドは1,040/810mmだ。幅、高さともにソリオが広い。

なのでリアゲートから荷物を出し入れする機能は、シートアレンジを含めてソリオの圧勝だ。

その半面、ポルテ&スペイドは違う使い方ができる。主力グレードでは後席の座面を持ち上げることが可能だ。この状態では車内の中央に広い空間が生まれ、助手席を前方に寄せるとスライドドア付近の間口も広がる。なので床面地上高の低いスライドドアから、自転車などを車内の中央に積み込める。

衝突時のことを考えると、ソリオを含めて加害性の強い荷物の積載は推奨できないが、ポルテ&スペイドはスライドドアを生かした荷室に特徴がある。

トヨタ スペイド

なお、ポルテ&スペイドで価格の安いXとVには、後席の座面を持ち上げる機能が付かない。この仕様ではメリットが半減するので、Y/F/Gから選びたい。

以上のように荷室の使い勝手は、一般的にはソリオが勝る。ただし後席の座面を持ち上げてスライドドアから車内の中央に荷物を積む機能は、ポルテ&スペイドならではだ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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