アテンザ・3シリーズ・レガシィ B4 を徹底比較 -クリーンディーゼル/ガソリンターボでエコも楽しさも満喫!-(2/4)

アテンザ・3シリーズ・レガシィ B4 を徹底比較 -クリーンディーゼル/ガソリンターボでエコも楽しさも満喫!-
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クリーンディーゼルターボ搭載で4リッター並の動力性能と1.5リッター並の燃費を両立

日本のディーゼル乗用車の歴史は古く1950年代の終盤に初代クラウンが搭載したが、クリーンディーゼルターボを積んだ国内向けの国産セダンはアテンザが最初だ。CX-5と同じ2.2リッターのクリーンディーゼルターボを搭載する。

最高出力は175ps(4,500回転)、最大トルクは42.8kg-m(2,000回転)。最大トルクはV6の4リッターエンジン並だ。その一方でJC08モード燃費は、試乗を行った6速AT仕様が20km/L。6速MT仕様は22.4km/Lに達し、6速ATの数値でもカローラアクシオの1.5Lエンジンと等しい。動力性能が高く燃料消費量は少ない。

ボディサイズは、全長が4,860mmで全幅は1,840mmに達する。クラウンと比較すると、全長は35mm短いが、全幅は40mmもワイド。中国や北米市場を重視したサイズで、日本の道路環境を考えれば大柄だ。サイドウィンドウの下端を高めた外観により、側方や後方の視界も良くない。購入するなら取りまわし性に注意したい。

その半面、外観は単純にカッコイイ。長くてワイドなボディは、視覚的にも安定した印象を受ける。

車両価格は、XD・Lパッケージになると340万円。2.5リッターのガソリンエンジン仕様に対して40万円の上乗せだ。排ガス規制が厳しくなる前のディーゼルターボは20~25万円前後の価格上昇。アテンザは割高に思えるが、動力性能と燃費性能は1990年代に比べて大幅に向上した。性能の違いを考慮すれば、割安とはいえないものの、妥当な価格設定だ。

なお、平成27年度燃費基準プラス20%を達成しており、エコカー減税によって、購入時に収める自動車取得税と同重量税は免税(100%減税)になる。

ディーゼルターボの本場となるドイツ車とあって、動力性能と安定性が優れ燃費も十分に満足

「日本車の立場も辛くなってきたなぁ」と思わせるのが、BMW3シリーズの320dブルーパフォーマンス。

2リッターのクリーンディーゼルターボエンジンを搭載し、最高出力は184馬力(4,000回転)、最大トルクは38.7kg-m(1,750~2,750回転)になる。アテンザXDに比べると最大トルクの数値は少し下がるが、2リッターのクリーンディーゼルターボとしては十分な性能だ。

燃費も優れている。日本のJC08モード燃費はBMWにとって「異国の基準」だが、8速ATの採用も奏功して19.4km/Lに達した。以前のドイツ車は「走行性能は高いが渋滞時を中心に燃費は悪い」とされたが、今は燃費でも日本車を追い上げている。

ボディサイズは全長が4,625mmで全幅は1,800mm。意外とコンパクトに仕上げられており、最小回転半径はアテンザセダンの5.6m、レガシィB4の5.5mに対して3シリーズは5.4mだ。後輪駆動の性格を生かし、小回りの利きも優れている。

外観は、BMWらしい後輪駆動のレイアウトを表現したロングノーズのデザイン。フルモデルチェンジを受けても見栄えの変化は小さく、代替えユーザーには馴染みやすい。ブランドの定着と維持にも役立つだろう。見方を変えれば保守的だが、デザインと運転感覚の整合性は取れている。

車両価格はクリーンディーゼルターボの320dブルーパフォーマンスが470万円。最廉価の320iに対して20万円の上乗せに抑え、輸入車では割安だ。今回試乗したのはスポーティーな320dブルーパフォーマンスMスポーツで514万円になる。エコカー減税はアテンザXDと同様に免税だ。

2リッターターボを搭載しながら、燃費も悪くなく運転の楽しさを満喫できる

レガシィといえばツーリングワゴンが人気だが、セダンのB4も優れた走行性能と居住性を両立させた注目のモデルだ。

今回取り上げるのは、新しい2リッターのガソリンターボを搭載する2.0GT・DIT。直噴式でターボも備わり、最高出力は300馬力(5,600回転)、最大トルクは40.8kg-m(2,000~4,800回転)となる。最大トルクの数値は、ライバル2車と同じくV6の4リッターエンジン並だ。

JC08モード燃費は12.4km/L。クリーンディーゼルターボを搭載するライバル2車に比べるとおよそ6割ほどの数値。値が低いことは否めないが、ガソリンターボとして見れば優れた燃費値だろう。駆動方式は4WDだ。

ボディサイズは、全長が4,745mmで全幅は1,780mm。ライバル2車よりも少し小さく、直線基調とあって街中での取りまわし性も良い。全高が1,505mmと高いので、見栄えがスポーティとはいい難いが、今日のミドルサイズセダンでは居住性が良好。フェンダーの左右が少し盛り上がるために車幅が分かりやすく、1,800mmを下まわる全幅と相まって運転がしやすい。

車両価格は343万3,500円。今ではアイサイト装着車も用意され、10万5,000円の上乗せで353万8,500円になる。2.5i・Lパッケージが263万5,500円だから、2.0GT・DITは79万8,000円の価格上昇。高価格と受け取られるが、装備の違いを補正して「ターボエンジンの単体価格」を割り出せば約40万円だ。アテンザのクリーンディーゼルターボと同等になる。

なお、レガシィB4でエコカー減税に該当するのは、2.5iのLパッケージと2.5iアイサイトのみ。2.0GT・DITは、車両重量と燃費数値のバランスが悪く対象外だ。

デザイン・スペックの総評

レガシィB4の2.0GT・DITも、ガソリンエンジン車としては動力性能と燃費のバランスは優れた部類に入る。4リッターエンジン並の動力性能と4WDを組み合わせて、燃費数値はマークXやティアナの2.5リッターエンジン搭載車よりも優れているからだ。

しかし、クリーンディーゼルターボのアテンザセダンXDとBMW320dブルーパフォーマンスは、さらにその上を行く。動力性能は4リッター並で、燃費性能は1.5リッターと同程度。ディーゼルの効率は際立って高い。

ちなみに先ごろフルモデルチェンジを受けたクラウンのハイブリッドは、2.5リッターエンジンがベースでJC08モード燃費は23.2km/L。アテンザXDを3.2km/L上まわるが、動力性能は多く見積っても3リッターのガソリンエンジンと同程度だ。価格は2.5リッターのノーマルエンジンに比べて、装備の違いを補正しても50万円は高い。

となればクリーンディーゼルターボの高効率は、モーター駆動を併用するハイブリッド並で、価格は10万円ほど安い。高出力/低燃費/割安価格を両立させた高効率なエンジンだ。「モーター駆動を使うクルマがエコ」という価値観に、揺さぶりをかけている。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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