フォード 新型マスタング(2015年モデル・フルモデルチェンジ)試乗レポート/九島辰也(2/2)

  • 筆者: 九島 辰也
  • カメラマン:フォード・ジャパン・リミテッド
フォード 新型マスタング(2015年モデル・フルモデルチェンジ)試乗レポート/九島辰也
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アクセルに対する反応の良さとトラクションの高さが光る5リッターV8

新型マスタング 試乗会にて九島辰也氏

ではさっそく、5リッターV8の試乗からお伝えしよう。V8モデルのトルク感と走り初めの加速はこれまでと劇的に変わらない。435hpのユニットはリアルに力強く、“アメリカンマッスル”的な印象そのままに加速してゆく。進化している部分といえば、アクセルに対するレスポンスがよくなっている点。アクセルのオンオフで、ボンネットを上下させるのはこれまで通りだが、その反応が良いのだ。

また、あらゆるシーンでトラクションが高まっているようにも思える。特にコーナー出口でのパワーロスは減ったようで、クリッピングポイントからガツンと踏むと綺麗に加速する。この辺りは、リアサスの変更がそのまま功を奏しているのかもしれない。今回、マスタングはついにリジッドアクスルをやめ、リアを独立懸架式に変えた。それでジオメトリーがほぼ垂直におさまり、お尻を安定させているのであろう。

実にいい。V8モデルは荒々しくも走れるし、ヨーロッパ製400馬力オーバースポーツカーと同様、センシティブな走りも楽しめそうだ。

「エコブースト」のフィーリングは“らしさ”はないものの、ホンキになれば楽しめるかも

フォード 新型マスタング エコブーストクーペプレミアム(2.3リッター直4エンジン搭載)フォード 新型マスタング エコブーストクーペプレミアム(2.3リッター直4エンジン搭載)

そして、次は「エコブースト」。フォードはダウンサイジングされた直噴型4気筒、もしくはそれ以下のシリンダーエンジンにターボを付けたものを“エコブースト”と呼んでいる。新型マスタングの2.3リッター直4ターボが、まさにそれだ。

エクスプローラーに積まれる2リッターエコブーストと一部パーツを共有するが、ほぼ新開発でつくられた。そりゃそうだ。あちらは横置き、こちらは縦に積むことでオイルのまわり方などかなりの部分を変更している。エンジン担当者が(ボソボソと)答えていたが、ターボのサプライヤーも違うらしい。

ではその印象はというと、これがまたかなり“イマドキ”。ターボラグなどはほとんどなく、下から上まで綺麗にまわり、レッドゾーンまで息継ぎはない。しかも6速各ギアともフィールはほとんど変わらず、ピーキーな顔を見せない。優等生的であり、その意味ではワクワク感は薄い。前述のV8を先に試乗した後だけに、正直そんな感じが残ってしまった。エコブーストにマスタング“らしさ”を求めると、少し肩すかしされた気がする。

フォード 新型マスタング

とはいえ、このスタイリングを気に入って長く乗るなら、エコブーストは都合のいいユニットだ。税金、燃費といったランニングコストはV8と大きく差をつける。

それに、断っておくがこれはあくまでもフィーリングの話である。直4エコブーストのMAXパワーはなんと「310hp」!3.7リッターV6の「300hp」を上回る事実に、ただただ驚きだ。つまり“ホンキ”になればかなり楽しめるのだ。

今回の新型マスタング試乗、日本導入はまだ先のようだからかなり希少な経験となった。マスタングはなんたって齢50という、僕と同い年のモデル。これからもその動向を見届けていきたい。

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九島 辰也
筆者九島 辰也

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX」副編集長、「アメリカンSUV」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON」副編集長なども経験。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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