ダイハツ 新型ミラトコット 試乗|女性に優しい軽は、かわいい顔して期待以上の走りを見せた

  • 筆者: 竹岡 圭
  • カメラマン:島村 栄二

社内初お披露目の時、実はデザインが大不評だった!

トコトコ走るから「トコット」なのかと思ったら、To Character、To Comfortableness、To Convenienceの3つから、そして上から読んでも下から読んでも「TOCOT」なんですってね。

コンセプトは「エフォートレス」で、またまた難しい言葉が出てきたなぁ…と思いましたが、なるほど!「肩ひじ張らずに自然体でいられる」ということなんだそうです。それならこのホワンとしたデザインを見ているだけで、雰囲気が伝わってきますよね。

具体的には(1)安全&安心、(2)シンプルデザイン、(3)価格をポイントに開発が進められたそうですが、以前「エッセ」というモデルをそのようなコンセプトで作ったところ、あまり人気が出なかった…なんてことがあったので、ちょっと心配してたんですよ。でもその心配は杞憂に終わったようで、ホッとしました~。

でもね、社内の事前説明会でお披露目した時は大不評だったんですって。写真だと上手く陰影が出なくて、ベタッと安っぽく見えてしまうらしいんです。な~んていま、この記事を読んでくださっている方は大丈夫でしょうか? ちゃんとカワイク見えてますか?

勿論カメラマンさんの写真の腕を疑うわけではないですが、トコットは圧倒的に実物の方がカワイイんだそうです。そういえば昔から「写真映りがかわいい子ほど、ホンモノは…」とか言いますもんね。

おっと!あんまりこんな話をしていると「じゃぁ、圭ちゃんは? 」とか突っ込みが入りそうなので、この辺にしておきましょうね。

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エクステリアは女子ウケ抜群な「四角+丸目」

というわけで、デザインです。角が取れたスクエアボディにすることで愛着を表現したそうですが、四角いクルマ好き女子は実はとっても多いので、これはウケがいいのではないでしょうか。そして丸目。これは抜群に愛着が湧くアイテムですからね。ようは四角+丸目の王道路線なわけですよ。

最終的には7人に絞り込まれた女性社員のプロジェクトから生まれたというのが、納得できるデザインになってるんですよね。

確かにカワイイにはいろいろあって、ミラココアみたいなベタッとしたカワイさもあれば、もっとシンプルなのがいい派もいるし、時代感もありますからね。自分らしさの表現の仕方や好みは人それぞれではありますが、年齢によって似合う服が変わってくるように、ミラココアタイプだと、長年乗っていると、ちょっと違ってきたかな? なんていう時が早めに訪れてしまうかもしれません。最近は耐用年数が長くなってますから、そういう意味でも、長く愛着を持って使えるんじゃないかと思います。

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シンプルで上質なインテリアだが、収納スペースはやや少なめ

ただね、インテリアはもう一歩工夫が欲しかったというのが本音です。

全体的なデザインはシンプルでいいんですよ。大きなガーニッシュを使ったインテリアは、質感を出すのが難しいのですが、このあたりは上手く表現されていると思いました。居心地よく運転して欲しいから、余分な信号は入れないようにシンプルにしたという設計思想も、運転が苦手な方もいらっしゃるであろうこのカテゴリーなら納得。特にハザードボタンが独立してわかりやすいところに設けられているのは、美点だと思いましたからね。

問題はポケットエリア。シンプルにと言われても、やはり積みたいものというのはありますからね。とりあえず入れる場所は作って欲しかったんです。そう、私がどうしても欲しかったのは、携帯電話を置く場所なんですよね。というのもUSBジャックがいい位置についているので充電は問題なくできそうなのですが、充電中に電話を置いておく場所がないんですよ。

シートをセパレートシートにしたから真ん中にカップホルダーとティッシュボックス置き場があるじゃん!と言われればそうなのですが、そこに置いたら飲み物とかティッシュ置けなくなるし…(笑)。

またいい具合に、ちょうどイイ場所があいてるもんだから、ここにスマホやタブレット置き場をなんで作ってくれなかったのぉ~と思っちゃったわけなんですよね。いっそ非接触型充電スペースを作ってもよかったくらいです。

背の小さい女性に優しい設計!チルトステアリングは全車標準装備

とまぁ、厚めに文句言わせてもらいましたが、突っ込みどころがこういう細かいポイントに向かうほど、全体的にはよくできてるクルマだったんですよ。基本中のキの字である、ドライビングポジションもちゃんと取れましたしね。

というのもね、メチャクチャ運転初心者でとにかく見えてないと怖い!という方や、狭い所でクルマを動かす時は、座面位置はなるべく高めがよいですが、それだと足の踵を床につけたままペダル操作をするのが難しいクルマが増えてきちゃっているんですよ。

そのままだと、クルマの動きがギクシャクしちゃいますし、長距離だと疲れて運転できないので、シートを下げるしかない。すると前が見えないというスパイラルに陥ってしまうんです。ハンドルが動かないと腕の位置もしっくりこないですからね。特に女性は体格的に、ハンドル位置が低めの方が運転しやすいなんてこともありますしね。

となると、必要になるのはチルトステアリングやテレスコピックステアリングになるわけですが、軽自動車で両方ついているクルマは皆無。そんな中ミラトコットは、チルトステアリング全車標準装備!これはエライ!

シートリフターは上級グレードにしかついていないということだったので、シートは上げずに試したのですが、身長160cmで、足のサイズ22.5~23cmの私が座った感じで、ボンネットフードの先端が見えるところまではいかなかったけれど、納得のいくポジションを取ることができました。

これには視界のよさも関係しています。水平基調でガラスエリアが広いデザインになっているので、死角が少ないんですよね。最近後ろがキュッと上がったデザインが多い中、後ろまで水平を保ってくれているおかげで、斜め後方を振り返ったときの視界は、かなりよかったです。

もちろんAピラーも比較的立てられているし、ドアミラーもピラーではなくパネルにつけられているので、隙間視界も確保されていました。要はね、見えると操作が両立できていたんです。さらにパノラマモニターやコーナーセンサーなんていうのもご用意がありますので、バックアップ体制も問題ないというところでしょう。

ベーシックモデルの基準をイッキに上げるしっかりしたドライブフィールに感激

ドライビングフィールについては、ベースとなったミライースに比べて、パワステフィールを軽めにしたというお話でしたが、単体で乗るとその辺りはさほど感じなかったですね。ただ軽すぎず重すぎず、ちょうどよいフィーリングではありました。

それよりも、軽めにするとどうしてもフラついてしまうため、足回りのセッティグを工夫してふらつき抑えたというのが功を奏し、しっかりとしたフィーリングに仕上げられていたことに感動。

正直言っちゃうと…。あのミライースがベースとは思えないほど、しっかりしたクルマに仕上がっていたんです!あぁ~言っちゃった!言いきっちゃった!って感じですが、これを機にミライースの方を変えてもらえばいいかなと…(汗)。

欲を言えば、低速時はもう少しシャキッとクルマが動いてくれてもよいような気がするほど安定志向ではありますが、その分、中速~高速での安定感はずいぶんとしっかり感が上がりました。とてもこの価格のクルマとは思えないというか、これまで軽自動車の中のベーシックなクルマと聞いて漠然と持っていたフィーリングが、完全に払拭されるくらい、私がベースとして自分なりに決めている基準、閾値をグンと上げてくれました。

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パッケージオプション「アナザースタイルパッケージ」で個性的に楽しめる

さらに、見た目のアレンジとしてデザインフィルムトップという、キャンバス地っぽいカッティングシートをルーフに貼るタイプの2トーン仕様や、アナザースタイルパッケージという、テーマを決めたパッケージオプションが用意されていたりと、比較的安価にバリエーションモデルが設定されているのもいいところ。

これまで販売店で装着していたオプションパーツを、工場で取り付けるようにしたことで、どのパッケージでもプラス10万以下に抑えるような低価格が実現できたんだそうです。

個人的にはサイドに木目調のデザインフィルムを貼って、カリフォルニアルックみたいなキャル仕様が似合うと思うんだけれど…。そんな自分仕様にしたときの想像まで膨らんでしまうベーシック軽なんて今までなかったハズ。それだけでもミラトコットのすごさ、おわかりいただけるのではないでしょうか?

[Text:竹岡 圭/Photo:島村 栄二]

ダイハツ ミラトコット 主要スペック
車種名ダイハツ ミラトコット

グレード

G ”SA III”

駆動方式

FF

トランスミッション

CVT

価格(消費税込)

1,296,000円

カタログ燃費

29.8km/L

全長

3,395mm

全幅(車幅)

1,475mm

全高(車高)

1,530mm

ホイールベース

2,455mm

乗車定員

4人

車両重量(車重)

720kg

エンジン

KF型

直列3気筒DOHCエンジン

排気量

658cc

エンジン最高出力

52ps(38kW)/6,800rpm

エンジン最大トルク

6.1kg-m(60N・m)/5,200rpm

燃料

無鉛レギュラーガソリン

タイヤサイズ

155/65R14 75S

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竹岡 圭
筆者竹岡 圭

OLを経て、自動車専門誌を皮切りに、モータージャーナリスト活動を開始。国内外のレース、ラリーなど自らモータースポーツ活動に関わりながら、海外のモーターショーを精力的に回るなど、なにごとにも積極的に取り組んできた結果、近年は一般誌、女性誌、Web媒体、新聞、TV、ラジオなど、その活動はとても多彩なジャンルに広がっている。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

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