シトロエン DS3 カブリオ 海外試乗レポート/森口将之(1/2)

シトロエン DS3 カブリオ 海外試乗レポート/森口将之
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“途中で雨が降っても大丈夫”なセミオープンカー

シトロエン DS3 カブリオレ
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その昔、オープンカーにはフルオープンの他に、ドアやサイドウインドゥは残し、ルーフとリアウインドウだけ開閉できるセミオープンがけっこうあった。僕が覚えている範囲でも、スバル360やBMW2002などに用意されていた。

第2次世界大戦後のシトロエンを代表する大衆車、2CVもその1台。初期型はトランクリッドまで、中期型以降でもリアウインドウ部分までキャンバストップになっていて、リアウインドウを除きクルクル丸めるようにして開けることができた。

その伝統を受け継いだのが、旧型C3をベースにしたセミオープンのプルリエルだった。キャンバストップは電動となり、リアウインドウともども荷室のフロア下に格納でき、残ったルーフ左右のアーチ部分まで取り外せるという、変幻自在のボディだった。

外したアーチは室内に積めないので、「途中で雨が降ったらどうすんの?」と突っ込まれることもあって、C3のモデルチェンジとともにプルリエルが消滅したときは、突っ込みを真に受けたのか!?とも思ったけれど、そんなことでメゲるシトロエンではない。

今度はDS3をベースにしてセミオープンを用意してきた。昨年秋のパリモーターショーで発表されたDS3カブリオだ。

でも今回、スペインのバレンシア周辺で行われた国際試乗会で、ありがたいことに日本語ペラペラのプロダクトマネージャー、エティエンヌ・ムナン氏に聞いたら、DS3カブリオはプルリエルの後継車ではないという。

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自分で最適な空間が作れるクルマ

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DS3のエクステリアの見せ場である2トーンルーフと、シャークフィンと名付けたBピラーを残すためにセミオープンにしたというのだ。なるほど。

さすがに今回は左右のアーチは固定。その代わりリアウインドウまで電動で開閉できる。フィアット500Cと基本的に同じだが、ウインドスクリーン上の短いウインドデフレクターはルーフとは連動せず、個別に手で上下させる方式だ。

試乗したのは今年の夏に日本にやってくる予定の、156ps/24.5㎏mを発生する1.6Lターボエンジンを搭載し、3ペダル6速MTを組み合わせたモデル。バレンシアの昼間の気温は24℃!冬とは思えぬ陽気だったので、もちろんオープンで走りながら、屋根まわりをいろいろいじってみた。

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デフレクターは中央部を押すとロックし、左右どちらかを指で手前に軽く引っ張ると立ち上がる。たしかに上げると風の巻き込みが少なくなるが、前席に乗っている限り大差はない。むしろ下げていたほうが静か。ムナン氏によれば、後席に人を乗せた時に使うアイテムとのこと。

一方のソフトトップはなんと120㎞/hまで開閉可能。実際に120㎞/hで問題なく動いた。ただ500C同様、リアウインドウまで畳むと後方視界が限られるので、郊外の道をゆったり流すときに使い、スピードを出して走る時は上だけ開けるという使い分けが良さそうだ。

乗る人の数や走る道に合わせて、自分で最適な空間を作り上げていく。プルリエルもそうだったけれど、こういう楽しさを盛り込んでくるあたりがフランス車らしい。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

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