【試乗】シボレー 新型 コルベット(C7)に隠されたMichelin(ミシュラン)との開発ストーリー/今井優杏(2/2)

  • 筆者: 今井 優杏
  • カメラマン:和田清志・Michelin
【試乗】シボレー 新型 コルベット(C7)に隠されたMichelin(ミシュラン)との開発ストーリー/今井優杏
シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) シボレー 新型 コルベット(C7) 画像ギャラリーはこちら

モータースポーツから始まったミシュランとコルベットの蜜月関係

シボレー 新型 コルベット(C7)

実はミシュランとコルベットのホットな蜜月関係はコンペティション、つまりモータースポーツという極限の場からスタートした。その歴史は2004年に遡る。

コルベットレーシングとしてアメリカン・ル・マンシリーズ(以下ALMS)やル・マン24時間レースに参戦していたシボレーは、先代モデルC6(もちろん当時は超最新モデルであった)をレースに投入するにあたり、会社設立の歴史とほぼ同様に100年ものコンペティションタイヤの制作実績を持つミシュランをパートナーに迎えることを決断した。

以来、いくつものレースで勝利を修めながら、さらなる開発の道を二人三脚で歩んでくる中で、C6は2007年、ついにかの世界最高の難コース・ニュルブルクリンクにおいて、7分19秒6という世界最速ラップを刻んでいる。

先代モデルよりも細く大径なタイヤに!

シボレー 新型 コルベット(C7)

そのような密接でホットな信頼関係の中で、“コルベットの性格を最も良く知るタイヤメーカー”となったミシュランはC7の開発にあたり、コンペティションだけでなく、市販タイヤの開発も請け負うことになるのだが、シボレーがミシュランに出した要求は驚くべきものだった。

C6が装着していたのはフロントが275/ 35ZR18 97Y、リアが325/ 30ZR19 94Y。それに比べてC7はフロントが245/ 35ZR19、リアが285/ 30ZR20(Z51装着サイズ)。

つまり、タイヤ幅が細くてホイール径は大きくなっているということだ。

それがどういうことかと言えば、コルベットのあの鬼のようなパワーを、これまでよりも細くなったタイヤで地面に伝えなければいけない=路面を掴む“グリップ”を最大限に発揮させなくてはいけない。しかもインチサイズが大きくなったからといってハンドリングを犠牲にもせず、重さやノイズもきっちりと抑えることが求められたのだ。

そこで持ち出されたのがZPの特殊な構造だ。

ランフラットタイヤが採用されたのは、アッと驚く発想の転換から

シボレー 新型 コルベット(C7)

バーストなどタイヤ破損の大敵となる“熱”は、走行面であるトレッドではなく、実は走行の際にたわむサイドウォールにこそ溜まって悪さをすることから、ラジアルタイヤではサイドウォールに補強を入れ、たわみやズレなどによる発熱が起こらないようにしている。一方ランフラットは外傷を受けた際にサイドウォールから空気がぬけてペタンコにならないようサイドウォール部分が硬く仕上げられている。この硬さをハンドリングの向上に効果が出るように利用したのが今回のPSS ZPだ。さらに、ラジアルで使用しているサイドウォールの補強材を300グラム抜くことが出来、また、胴体部のカーカスも抜いてあるので、結果タイヤ全体で700〜1kgの軽量化に成功した。これまたハンドリングに貢献する結果となったというわけ。

つまり発想の転換とはこのことで、パンクしてもいいようにランフラットを使ったのではなく、コルベットの求めるモノがランフラットにちょうどフィットした、ということだ。

ミシュランとコルベットの強固な絆

シボレー 新型 コルベット(C7)に隠されたMichelin(ミシュラン)との開発ストーリー/今井優杏 5シボレー 新型 コルベット(C7)に隠されたMichelin(ミシュラン)との開発ストーリー/今井優杏 7

もちろん長年共に戦って来たチームワークは開発にだって強く反映された。

ミシュランの市販タイヤの中では初めて、ALMSやル・マンで使われているコンピューターで設計され、サーキットやテストコース、一般道では常識の範囲を超えるテストドライブがなされた。

ちなみにそのテストのペースは2ヶ月に一回というからビックリ。だって、その度に改良した新しいタイヤを持って行くのだ。しかもただ一モデルのためだけに!なんちゅう贅沢な話やねん!

それこそが、コルベットとミシュランの強い絆を表す逸話ではないか(同時にミシュランの、日本ではあまり知られていない面かもしれないが、マニアックで技術者肌で頑固で研究熱心な一面を垣間見ることの出来る一面でもある)。

だってその結果、『え、これホンマにランフラットなん?!』というくらい当たりのソフトなアシに仕上がっているのだから。

ちなみに先日、カリフォルニア州ロングビーチで開催されたユナイテッド・スポーツカー・チャンピオンシップ第3戦にてポール・トゥ・ウィン。ブッチギリの優勝を果たしている。

このあと6月に控えたル・マン24時間レースにも参戦が決定しているから、そちらも楽しみである。

[レポート:今井優杏]

CHEVROLET CORVETTE COUPE Z51[7Speed MT] 主要諸元

シボレー 新型 コルベット(C7)

全長x全幅x全高:4510x1880x1230mm/ホイールベース:2710mm/車両重量:1570kg/乗車定員:2名/ハンドル位置:左/エンジン種類:V型8気筒 OHV 直噴ガソリンエンジン/総排気量:6153cc/最高出力:466ps(343kW)/6000rpm/最大トルク:64.2kg-m(630N・m)/4600rpm/トランスミッション:7速マニュアルトランスミッション/サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式/(後)ダブルウィッシュボーン式/タイヤサイズ:(前)P245/35ZR19/(後)P285/30ZR20/メーカー希望小売価格:10,882,000円[消費税8%込み]

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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