【試乗】シボレー 新型 コルベット(C7)に隠されたMichelin(ミシュラン)との開発ストーリー/今井優杏(1/2)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志・Michelin
新型 シボレー コルベット C7に隠されたもうひとつの開発ストーリー
同車史上最強ハンドリング性能を持つ新型「シボレー コルベット」C7(以下C7)について、その強烈な魅力は先日記事を公開したばかりだが、実はもうひとつ、このクルマに隠されたストーリーがあるので追記したい。
ちょっとマニアックなお話なんだけど、このプロジェクトに関するそれがちょっと近年例を見ないくらいピュアな情熱に支えられていて、いたく感動しちゃったのだ。どのクルマにもドラマは必ず内包されているものだけど、こうやってこの子は市場に出て来たんだな~、ということを知ってもらえたら嬉しい。
モデル名の最後の“ZP”は“zero pressure”、つまりランフラットの方式のひとつであることを示す。
ランフラットタイヤとは、パンクして空気が抜けるような状況においても走行を続けられるタイヤのことで、特に欧州車において近年急激に装着シェアを伸ばしている(レクサスもISからブリヂストンのそれを装着するなど、もちろん国産車にもその流れは波及しつつある)。
その理由としてパンクした際、日本の高速道路ほど路肩スペースが確保されておらず、また道路照明灯もかなり少ない(どころか真っ暗なところも多い)欧州では、パンクで走行不可能となったときドライバーが車外に出ているところをはねられる、また真っ暗な路肩で強盗に襲われるなど、二次事故が深刻だったことなどが挙げられる。
その点ランフラットなら次のパーキングエリアや自動車整備工のところまで100km程度は走ってくれるというのだから安心やないの、というわけだ。
しかし、残念ながらまだ成熟している技術とは言えず、通常のラジアルタイヤとの乗り味の差は、改善されているとはいえ歴然としているのが現状だ。
ラジアル構造を普及させたパイオニア、”Michelin(ミシュラン)”
しかし私は、このミシュランとC7とのパートナーシップのプレゼンテーションを受けながら一抹の違和感を覚えていた。
以前フランス・クレルモンフェランのミシュラン本社に取材で訪れた際、技術者へのインタビューの中で、ミシュランは市販タイヤだけでなくコンペティション分野においてさえ、ランフラットタイヤへの取り組みを否定していたことを思い出したからだ。
時代が進み、ここまで業界がランフラット開発に関わる以上、ミシュランだっていつまでも駄々をこねている場合ではないから、現在はミシュランもランフラットタイヤを製造している。世界屈指の開発力を持つ巨大な研究施設が急ピッチで開発を重ね、今やラインナップも増えている。
しかしミシュランがランフラットをあまりやりたがらなかったのは、乗り心地のせいだけじゃない。ご存知の方も多いと思うが、このミシュランこそが会社設立から実に100年という歴史の中で、近年のタイヤづくりの常識となったラジアル構造を完成させ、世に普及させた第一人者かつパイオニア。ラジアルのスペシャリストだからなのだ。
ランフラット、特に今回比較すべきは同社ZPは、実はその構造自体がまったくラジアルと異なる。ミシュランが揺るぎない最大の自信と実績を以て市場に送り出して来たタイヤを、持論を、ある種裏切るような構造が必要になるということだ。
そのミシュラン禁断のランフラットを、なぜC7に持って来たのか。
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