キャデラック XT5クロスオーバー試乗|ドイツ車とは明確に異なる、アメリカン高級車ブランドの個性を堪能(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田 清志・茂呂 幸正
左ハンドルのみの設定は賛否両論、かなり大柄なXT5クロスオーバーの詳細
ボディサイズ
キャデラック XT5クロスオーバーのボディサイズは、全長×全幅×全高=4825×1915×1700mm、ホイールベースは2860mmと、極めて大柄なボディが特長だ。トヨタ・レクサスのSUVモデルと比較すると、全長はトヨタ ランドクルーザープラド(全長:4825mm)に、車幅はランドクルーザー200やレクサス LX(全幅:1980mm)にそれぞれ近く、車高はレクサス RX(全高:1725~1710mm)に近いといった感じ。
XT5クロスオーバーで一番の欠点は、左ハンドル車しか選べないことにある。
あえて左ハンドルを好むユーザーもいるが、全幅が1915mmのボディで左側に座ると、大きな交差点の右折車線からは対向車線がまったく見えない。目の前に同じような右折車がいると、左側からでは見通しが利かないからだ。
狭い道で路上駐車の車両を避ける時も、左側に座ると対向車線が見えず、右側にハミ出して前方へ出られない。後続車が渋滞して交通の流れを妨げることもある。ほかの輸入車と同様、右ハンドルがないと優れたクルマでも推奨できない。
エンジン・トランスミッション
エンジンは設計の新しいV型6気筒3.6リッターDOHCを採用する。滑らかに吹き上がるわけではないが、1990kgのボディと組み合わせても、パワー不足は感じない。
トランスミッションは8速だからギヤ比の割り方も細かく、高回転域も有効に活用できる。最高出力は314馬力(6700回転)、最大トルクは37.5kg-m(5000回転)になる。
旧来のアメリカ車、あるいはキャデラックの印象では、低回転域でドロドロと回る感覚を無意識的に求めてしまう。しかしそれは今のキャデラックの持ち味ではないのだろう。
インテリアの印象
内装はキャデラックとあって相応に上質だが、メルセデスベンツ、あるいはレクサスほどではない。乗り心地と同じように、少しルーズな持ち味がある。
居住性はLサイズのSUVだから悪くないが、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ分だ。トヨタ ハリアーや日産 エクストレイルは握りコブシ2つ半だから、際立って広いわけではない。
高速道路での長距離移動が心地よいXT5クロスオーバー
やや魅力の分かりにくいキャデラック XT5クロスオーバーだが、高速道路を長時間に渡って走り続ける使い方には適している。
走行安定性も4WDとの相乗効果で悪くないが(2WDモードも選択できる)、操舵した時の反応は少し鈍く抑えてある。
高速道路でのロングドライブをしていると、何となく運転姿勢を変えてみたり、ドリンクを飲むためにハンドルを持ち換えることもあるだろう。この時に進路が乱されると、慌てて修正操舵をすることになり、蛇行するなど状況を一層悪くする危険も伴う。
そこでキャデラック XT5クロスオーバーは、直進時を中心に走行安定性を相応に確保しながら、ハンドルを切り始めた時の反応は鈍めに抑えた。適度に鈍い乗り心地も、車両の揺れを意識させにくいから、長時間ドライブでは安楽だ。
ゆったりと走るのが似合うクルマ
誤解を招きそうな表現だが「漠然と運転するのにちょうど良いクルマ」だと思った。安全を考えるとクルマを漠然と運転してはいけないが、何時間も続けていると、どうしても五感が弛緩してくる。この弛緩に無理に逆らわず、なおかつ眠気も誘わないように、路面状態を少し伝える運転感覚に仕上げていた。
乗り心地も少し緩く、プラチナムグレードが装着するタイヤは極めて大径な20インチ(235/55R20)だが、デコボコを乗り越えた時でもショックを直接的には伝えない。
キャデラック XT5クロスオーバーは日本で大量に売れるクルマではないかもしれないが、メルセデス・ベンツやBMWのキッチリした造りが好みに合わず、アウディやボルボもダメ、というドライバーは試乗する価値があるかも知れない。購入しなくても「こういうクルマもあるんだね」と思い出に残るだろう。
ただし左ハンドルなので、試乗した時には交差点の右折、狭い道の通行も試していただきたい。ハンドルの位置についても、新たな発見があると思う。
[Text:渡辺 陽一郎/Photo:和田 清志・茂呂 幸正]
キャデラック XT5クロスオーバー 主要諸元
キャデラック XT5クロスオーバー主要スペック | |
---|---|
グレード | プラチナム |
価格(消費税込み) | 754万9200円 |
ハンドル位置 | 左 |
全長 | 4825mm |
全幅(車幅) | 1915mm |
全高(車高) | 1700mm |
ホイールベース | 2860mm |
車両重量 | 1990kg |
乗車定員 | 5名 |
駆動方式 | AWD |
排気量 | 3649cc |
エンジン最高出力 | 314ps(231kW)/6700rpm |
エンジン最大トルク | 37.5kgf-m(368N・m)/5000rpm |
燃料タンク容量 | 82L |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
サスペンション形式 | (前)マクファーソンストラット式(後)マルチリンク式 |
タイヤサイズ | 235/55R20 |
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