BMW 523d BluePerfomance(クリーンディーゼル)試乗レポート/日下部保雄(2/2)

BMW 523d BluePerfomance(クリーンディーゼル)試乗レポート/日下部保雄
BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance BMW 523d BluePerfomance 画像ギャラリーはこちら

低燃費と加速レスポンス、両方兼ね備えるのがディーゼルの魅力

BMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomance

ディーゼルの排気ガスの高度なクリーン化技術は、ポスト新長期規制を通すには欠かせない技術だが、BMWでは微粒子はDPF。HCとCOは酸化触媒。もっとも厄介はNOxには大量のEGRや前述の高圧のコモンレール直噴+ターボ、そして窒素酸化物吸蔵触媒を組み合わせる。

DPFは微粒子を吸着フィルターで処理し、吸収し、窒素酸化物吸蔵還元触媒は窒素酸化物を触媒内に吸蔵して水と窒素、二酸化炭素に分解して排出する。これらはメインテナンスフリーである。

2リッター4気筒クラスのディーゼルはこのシステムを使って吸蔵触媒で処理するが、X5に搭載する6気筒ツインターボディーゼルでは、AdBlueを使った尿素触媒を採用してパワーに応じて使い分けている。

まず気になるディーゼル特有の音と振動だが、ガソリンエンジンに比べると確かに大きい。ただトラックの様な大きなディーゼルノックがあるかといえば、それは限りなくガソリンエンジンに近い。

アイドリングではガラガラという音があるが、遮音がしっかりしていることと、ディーゼルエンジンそのものから発するノイズが画期的に下がっているのでディーゼルをそれほど意識しなくて済む。室内にいるとさらに静かで、ガラガラ音はかなり抑えられている。振動は若干あるもののロングドライブの渋滞でもそれほど気にならないレベルだ。

さらに走り始めるとパッセンジャーはよほど注意していないとディーゼルとは気づかないだろうし、振動もぴたりと収まる。遮音、制振についても320dを上回っている感じだ。

ディーゼルの強みである、頼もしい粘り強さ

BMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomance

BMWはアイドルストップに積極的だが、ディーゼルも例外ではない。ブレーキを踏み込んで停車すると直ぐにエンジンを止めに行く。確かにこのシステムに慣れるとアイドルストップしないと不安になるから慣れとは不思議なもので、燃費にも大きな効果がある。

320dと同じパワートレインのエンジン出力は135kw(184PS)/4000rpm、380Nm(38.7㎏m)/1750~2750rpmで、幅広い回転域で発生する分厚いトルクが魅力だ。320dの重量は1620㎏、523dでは1860㎏と260㎏増えているので、さすがに320dほどキビキビ感はないが、どこから踏んでも吐き出される分厚いトルクのおかげで、上り坂でもグイグイと引っ張ってくれるので痛痒を感じることはない。

ガソリンと比較するとシュンと軽快に力強く回る感じはないものの、頼もしい粘りがあるのはディーゼルの強味でもある。

ワゴンのツーリングではラッゲージルームに荷物を満載し、リアシートにも人を乗せて旅行をする場面もあるだろうが、そんな時でも大きなトルクによって余裕のドライビングが出来そうだ。

回転はトップエンドまでスッキリと回ってくれるが、変速は踏み込んでも4000回転+ぐらいで行われる。トルコン8ATによる変速はややビジーとも感じられるが、エンジン回転は常にトルクバンドに乗っており、これも燃費と加速レスポンスに優れているポイントだ。

BMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomance

ガソリン車同様にダイナミック・パフォーマンス・コントロールを採用

BMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomance

高速道路はディーゼルのもっとも得意とする領域。100km/hでのエンジン回転は僅かに1600回転、120 km/hでは1900回転しか上がらない。この回転からだとアクセルに直ぐに反応して追い越しも余裕を持って行える。

ちなみに523dもダイナミック・パフォーマンス・コントロールを持っており、場面に合わせたドライブモードをチョイスできる。エンジン出力、エアコンなどを制御して燃費を稼ぐECO PROモード、通常使われるCONFORTモード、エンジンレスポンス、サスペンション、ステアリングをスポーティに変更するSPORT、そしてそのSPORTに加えてDSCなどを解除するSPORT+の4つのモードが選べる。

試乗中、これらのモードをトライしたがECO PROモードではエンジン出力が制御され、アクセルレスポンスが落ちる。その為、普通に流している分には不便さは感じないが、CONFORTの方が走りやすい。SPORTは低いギアでエンジン回転を高い方にキープし、シフトアップも制限されるので、ワインディングでは乗りやすくなる。しかしディーゼルは低速トルクがあるので、ガソリン車ほどの差は感じられない。

オプション装備のダイナミック・ダンピング・コントロールはダンパーを走行状態に合わせて減衰力を自動調整するので、モードドライブに関係なく最適な乗り心地を得られる。

ステアリング操舵量は速度に応じて変わり、低速では少ない操舵量で大きく切れ、高速では大きな操舵量で少し切れることになる。BMWは前モデルの5シリーズからこのシステムを投入しており、かなりこなれたフィーリングになっているが、最初は慣れるまで少し違和感がある。ただ慣れてしまうとこれはなかなか便利なものだ。

ハンドリングはミドルセダンらしくハンドル操舵時の回頭性などは少しゆったりとしているが、BMWらしいスッキリしたところが特徴だ。粘り腰のグリップ感はフットワークは良い。ステアリングはBMWが熱心に取り組んでいるインテグレイテッド・ステアリング・システムを備える。低速では逆相に、高速では同相に入る4WSで低速ではホイールベース2970㎜のクルマとは思えないほど小回りが効く。

便利装備としてトランクリッドの開閉の際、キーを持っていれば両手が塞がっていてもリアバンパーの下に足を蹴り入れると開閉できる。ツーリングでは大きなテールゲートが自動開閉するのは便利だ(オプション)。またテールゲートのガラス部分だけ開閉できるので、ちょっとした荷物を放り込めるのも良い。またリアシートバックは40:20:40で倒れるので荷物のよって使い分けられるし、スキーの様な長いものでもセンターを倒して収納できる。

523dはガソリンの523iに比較して23万円高くなるが、トルクフルな加速フィールは魅力で、ディーゼルに有利な長距離走行が多いドライバーだけでなくともきっと新鮮な発見があるだろう。

BMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomanceBMW 523d BluePerfomance

「BMW 523d BluePerfomance」主要諸元

全長x全幅x全高:4915mmx1860mmx1490mm/ホイールベース:2970mm/車両重量:1860kg/乗車定員:5名/エンジン種類:DOHC 直列4気筒 ディーゼル/総排気量:1995cc/最高出力:184ps(135kW)/4000rpm/最大トルク:38.7kg-m(380Nm)/1750-2750rpm/トランスミッション:電子油圧制御式8速AT/駆動方式:FR(後輪駆動)/ステアリング位置:右/燃料消費率:16.6km/L(JC08モード)/タイヤサイズ:225/55R17/車両本体価格:663.0万円[消費税込み]

前へ 1 2

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

日下部 保雄
筆者日下部 保雄

大学卒業後、モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では、雑誌媒体のほかにFMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

MOTA編集部は自動車に関する豊富な知識を持つ専門家チーム。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ・サービスを提供することをモットーに、新型車の情報や、自動車の購入・売買のノウハウなど、自動車に関する情報を誰にでも分かりやすく解説できるように監修しています。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

BMW 5シリーズの最新自動車ニュース/記事

BMWのカタログ情報 BMW 5シリーズのカタログ情報 BMWの中古車検索 BMW 5シリーズの中古車検索 BMWの記事一覧 BMW 5シリーズの記事一覧 BMWのニュース一覧 BMW 5シリーズのニュース一覧

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる