BMW 3シリーズカブリオレ 試乗レポート

BMW 3シリーズカブリオレ 試乗レポート
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リトラクタブル式ハードトップを採用も“標準”はオープン状態

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1986年の初代モデル誕生以来、20年以上に渡って続いたソフトトップ式ルーフを採用という歴史に終止符を打ち、昨今流行の“リトラクタブル式ハードトップ”をBMW車として初めて採用したのが、数えて4代目となる最新の『3シリーズ カブリオレ』。ルーフを閉じればフィクスト・ルーフ車同様の耐候性や快適性を実現という特長は備えるものの、それでも「“標準”はオープン状態の方」とアピールするのがこのモデル。そうした訴えの背景には、すでにこのモデルが登場する以前にベースモデルとしての『クーペ』がリリースされている関係も大きいに違いない。

ヨーロッパ市場では4気筒仕様やディーゼルエンジン搭載車なども含めよりワイドなバリエーション展開を行うが、2007年2月から発売の日本市場にはクーペの場合と同様、トップエンドに位置する3リッターのツインターボ付きエンジンを搭載する『335iカブリオレ』の6速AT仕様のみが導入される事になる。

大人の長時間ユースにも耐えられるリアシート

サイドビュー
インパネフロントシート

センターコンソール上のスイッチ操作ひとつで電動油圧のパワーで屋根閉じ→屋根開き方向には22秒、逆方向へは23秒で“変身”が可能という335iカブリオレ。リアウインド周りを含め3分割構造のスチール製ルーフ部分をトランクルーム内に収納してしまえば、なるほどそこでは歴代3シリーズ カブリオレの雰囲気にもしっかり通じる独特の佇まいを見せてくれるのがこのモデルでもある。

長くフラットなベルトラインやロールオーバー・バーを備えないシンプルなアッパーボディが、そのエクスリテア・デザインの大きな特徴。一方、クローズド状態では明確な“ノッチバック”を描くのが、流れるようなルーフラインが特徴の『クーペ』のシルエットとは明確に異なるポイントだ。

2人分のリアシートは、トップ収納の関係からやや内側寄りのレイアウト。足元スペースはややタイトだが、さほどの無理なく大人の長時間ユースに耐えるのも、またこのモデルのパッケージングのひとつの特徴という事が出来る。

カブリオレならではの“青天井の走りの快感”

走行
エンジンメーター

すでに『クーペ』が存在をしていたにも関わらず、敢えてリトラクタブル式ハードトップというルーフシステムを採用してのデビューとなった『カブリオレ』。エンジン/トランスミッションを筆頭に同様のランニング・コンポーネンツを採用する両者だが、やはり両者の走りのテイストには誰もが感じとれるだけの違いがある。

「より軽快かつ剛性感に富んだ走り」を味わわせてくれるのは、明らかにクーペの方。300psオーバーの最高出力と直噴システム採用による高圧縮比化のお陰もあり、カブリオレでも走り出しの直後から不足を感じるわけではないものの、それでも軽く100kg以上の重量ハンディを背負うため加速のシャープさやボディのしっかり感でも、やはりクーペが勝っている。

一方で、オープンエアの楽しみを手に入れたカブリオレにとってみれば、そうした“理詰めの走りの性能”の高さはむしろ「さほど重要ではない」と言える事かも知れない。クーペでは望めない文字通り“青天井の走りの快感”こそが、カブリオレの命であるというわけだ。

“さらなるプレミアム性と万能性”

オープン時イメージ

日常的にリアシートにゲストを招く、といった行為は乗降性などの点からさすがに辛いにしても、その気になればさほどの無理なく「これ1台で全てのシーンをこなす」という使い方は十分可能であるのが335iカブリオレというモデル。リトラクタブル式ハードトップの仕上がり具合も上質で、クローズド状態では確かにクーペにも匹敵をする快適性、静粛性を味わわせてくれる。

一方で、オープン時の爽快感は“固定式屋根”のクーペなどには及びも付かない圧倒的なもの。「4人で楽しむオープンエア・モータリング」というのもまた、このクルマならではの楽しさだ。

それでもまだ「『クーペ』と迷う」という人にとっても、80万円プラスという両者の価格差を耳にすればかなりの確率で踏ん切りがつきそう。“走り”のクーペに“さらなるプレミアム性と万能性”のカブリオレ、と、それぞれのキャラクターはそのように紹介が出来そうだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

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