アウディ A4 試乗レポート

アウディ A4 試乗レポート
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よりスポーティに磨き上げられた新型A4とはいかに

アウディA4は1972年に初代(このときはアウディ80)がデビューして以来、常に最量販車種として人気を保ってきたモデル。3月のフルチェンジで8代目になった。

新型アウディA4は、ボディデザインはもちろんのこと、ボディサイズ、サスペンションなどを新設計している。新型の開発コンセプトは、「よりスポーティに」。

アウディというと、フロントグリルをバンパー下まで拡大し、男性的な力強さを強調してきた。さらに今回からその力強さに加えて、実際にハンドルを握ったときのスポーティさを前面に打ち出してきたのだ。

その為に4駆のクワトロは前後輪への駆動力の配分を変更し、後輪への駆動力を高めている。つまりFR車的な運転の楽しさを演出しているのだ。

今回の新型は1.8LターボのFF車と3.2Lのクワトロ。どちらもセダンだが、間もなく本国ではステーションワゴン(アバント)もデビューする。

“全てが美しいセダン” そこに存在するのは華麗なる姿なり

A4をはじめて見たとき、A6のニューモデルかと思った。それほどにボディが大きく、デザイン的にも立派になったのだ。旧A4とくらべてみると全長は120mm、全幅も55mm、全高は10mmも大きい。ホイールベースは165mmも長くなっている。

デザイン面での特徴は、フロントのオーバーハングを短くしたことで、キビキビとした動きを感じさせる点。またフロントアクスルや、ステアリングギアボックスの搭載位置を細かく見直した点が挙げられる。こうした改良によって、このプロポーションが可能になったという訳だ。

さらにヘッドライトも凝っている。メインライトの下縁を囲むように14個(片側7個)のLEDポジションランプが怪しく光るのだ。ライバルのBMWのポジションランプは、ヘッドライトの周囲をリング状に光らせているのに対し、アウディは別の手法で応じてきたのだ。

インテリアに関しては、コックピットのメータは大径で見やすく、インパネや、センターコンソール部のコントロールスイッチ類も、操作性を考えた解りやすいデザインがされている。つまり最新型らしく、エレガントでエグゼクティブな佇まいを魅せているのだ。

3.2クワトロの猛牛並みのドライビング感と、 1.8ターボの気になる出来

エンジンは直列4気筒1.8L直噴ターボ(160馬力)とV6 3.2L直噴(265馬力)の2種が用意されている。1.8はFF+CVT・7速マニュアルシフトモード付。3.2Lはクワトロ+6速マニュアルシフトモード付ATが組み合わされている。

まず、1.8直噴ターボから試乗する。直噴エンジンは2500回転からトルクが太くなり、アクセルレスポンスもよい。Dレンジでの0→100km/h加速は8秒台なので、このクラスのセダンとしてはスポーティ。FF車のハンドリングはどっしり感があり、上級車的なフィーリングを感じた。ちょっと気になったのは上下動のやや強い乗り心地とこもり音。これは要改良点だ。

次にV6 3.2Lに試乗する。こちらはパワーもトルクもあり、余裕のあるドライビングが楽しめる。エンジン/ミッション/サスペンション、ステアリングのセッティングを選択できる「ドライブセレクト」は、サスペンションのみ“コンフォート”。あとは「ダイナミック」がベストセッティングだった。

アウディの猛追作戦、本腰入れてスタートか

アウディの悩みは、日本でのプレミアムブランドとしてのポジショニングだ。ドイツをはじめヨーロッパでは、アウディはメルセデス・ベンツやBMWと同格のプレミアムブランドだが、日本ではいま一歩遅れをとっている。新車販売台数も、メルセデスやBMWは年間5万台前後だが、アウディは2万台に満たない第3位だ。

新型A4はボディサイズを大きくした。この手法はBMWの3シリーズと同じ。サイズもほとんど同じだ。対称的なのはメルセデス・ベンツで新型のCクラスは、全幅をあえて1.8m以下に抑え、扱いやすさをアピールしている。このボディの違いが、日本のユーザーにどのように受けとめられるか興味がある。

1.8の価格は419万円、BMW320iは411万円。しかしBMWはナビがオプション扱いになるので、A4のほうが実質安い。室内もFF車なので広さを感じる。ちなみにV6、3.2クワトロは645万円で、BMWの330Xiよりも30万円近く安い設定だ。

New A4の登場により、アウディ、BMW、ベンツのA、3、Cクラスの市場競争は、さらに面白い展開を見せそうだ。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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