新型S63 AMGロング 試乗レポート/清水草一(1/3)
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:原田淳
価格は下げてお肉増量の新型S63AMGロング!
AMG。グッチのベルトにヴェルサーチのスーツが似合うオッサン世代なら、「アーマーゲー」と呼んで敬愛していることだろう。
男のステイタスを象徴するメルセデスブランドにあって、最強かつ最凶(ゴメン)のイメージを欲しいままにするAMG。中でもSクラスAMGは別格だ。
「こっちが追突しちゃったのに、相手が『ス、スイマセン!』って謝りながら逃げちゃったんだよ~」みたいなエピソードにも事欠かない。周囲のクルマからは「失礼があったら命が危ない」と、恐れおののかれるマシンである。
もちろんパフォーマンス的にも無敵。S63AMGロングは6.2リッターV8で525馬力を(マイチェン前)、S65AMGロングにいたっては6リッターV12ツインターボによって612馬力を絞り出す。お値段もザックリ2千万から3千万オーバーみたいな、「1千万2千万のことでゴチャゴチャ言うな!」という、極めて太っ腹な世界である。
そんなザックリした世界ながら、メルセデスとしちゃあんまりザックリしてるわけにもいかなかった。まもなくヨーロッパではメーカー別の平均燃費規制が始まって、これをクリアしないと日本円で年何百億円という制裁金を取られちゃう。
グッチにヴェルサーチのお客様は、燃費のことなんざコレッポッチも考えたことなくても、メルセデスとしちゃ燃費を向上させなきゃシノギがヤバい。
そこでこの度、S63AMGロングがビッグマイナーチェンジを受け、エンジンを刷新。排気量を5.5リッターにダウンサイジングするとともに、直噴ツインターボをブチかまし、燃費とパワーを両立させることになりました。
データによれば、燃費はなんと50%向上!ひえ~、フィットとフィットハイブリッドでも2割くらいっきゃ違わないのに、5割!しかもツインターボ化でパワーは上がって、なんと544馬力!「パフォーマンスパッケージ」なら571馬力!「価格は下げてお肉増量!」という牛丼戦争のようなすばらしさじゃないか!!
ただし車両本体のお値段は、マイチェン前より200万円ほどアップして2,292万円となっておりますので、浮いたガソリン代で元を取るには、30万キロほど走る必要がございます。
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