「安全神話」は新たなる領域へ! ボルボ 新型XC60 発表会レポート
- 筆者: 松田 タクヤ
- カメラマン:松田 タクヤ
みなさんは「ボルボ」という自動車メーカーにどのようなイメージがあるだろうか。北欧生まれで「オシャレ」「気取りすぎていない」というイメージが浮かぶ方も居るであろうが、多くの方が「ボディが頑丈で安全性能が高い」というイメージがあるのではないだろうか。
ボルボ創業者の「アッサル・ガブリエルソン」と「グスタフ・ラーソン」は、創業当初から『車は人によって運転され、使用される。したがって、ボルボの設計の基本は、常に安全でなければならない。』という理念を掲げている。
この理念に基づき、西暦1927年に自動車メーカーとして創業したボルボは、創業当初から自動車の部材に頑丈なスウェーデン鋼を使用するなどして、自動車の安全性能を高めていた。
その後も技術革新が進むにつれ、後方から来る自動車の接近を知らせる「BLIS」や「歩行者用エアバック」をいち早く採用するなどして、自動車の安全性能・技術の世界的なけん引役となってきたわけだ。
ドライバーや歩行者の安全に対する信念や理念、そしてそれらを常に追求してきたメーカーだからこそ、「ボルボ=安全」というイメージが世界中に根付いているのだろう。
さて前振りが長くなってしまったが、2017年10月16日にボルボの全販売台数の約3割をも担うミドルサイズSUV、「XC60」のニューモデルが六本木にあるグランドハイアット東京で発表された。
新しいパワートレーンにガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドをラインナップに加えた新型XC60。「安全な自動車」の世界的ベンチマークとも言える、ボルボ 新型XC60発表会の模様をレポートする!
新たな3つの安全機能を搭載し、より安全なクルマへ進化を遂げた新型XC60
『ボルボのグローバルな好調と近年の飛躍の礎(いしずえ)ともなった2008年に発売した初代XC60は、従来ボルボのイメージを覆すスポーティなデザインが新たなユーザー層の獲得に繋がり、世界累計販売100万台という、ヨーロッパで最も売れたプレミアム・ミッドサイズSUVとなりました。現在ではボルボの販売台数の30パーセントを占める極めて重要なモデルです。
新型XC60は、エクステリアもインテリアもドイツ車や日本車にはない北欧スウェーデンらしいクルマに仕上がっていますが、デザイン以外にも新たな技術が採用されています。従来より更に進化した「ステアリングサポート」機能を含む新しい3つの機能がこのXC60で初めて採用され、事故を未然に防ぐことができるクルマとして、革新的な進化を遂げています』と、ボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長の木村隆之氏がコメントした。
スカンジナビアンデザインを軸に、クールでダイナミックなデザインに進化!
『まずこの新型XC60をデザインする時に、自分たち(ボルボ)のルーツとなるスカンジナビアンデザインとは何かを見つめ直しました。正当性、アクティビティ、そしてクリエイティビティ、この3つのキーワードを軸にスカンジナビアンデザインを取り入れた新しいXC60は、車体のワイドさからくるプロポーションを大切にし、路面にしっかりと接地するダイナミックでパワフルな佇まいを実現しています。兄貴分のXC90はエレガントで荘厳なイメージがしますが、このXC60からはスポーティでダイナミック、そしてクールな印象を感じ取っていただけると思います。初代XC60のプロポーションを損なうことなく、印象的なエッジを各部に取り入れることによって、とてもクリーンなスカンジナビアンデザインになったと自負しています』と、ボルボ・カー・グループ デザイン部バイスプレジデントのジョナサン・ディズリー氏はコメントした。
電動化を見据えた「SPA」シャシーの採用で基本性能が大幅に向上した
『ボルボはフォードグループから離れる2009年前後から一連の構造改革を行ってきました。新しいシャシー(SPA)、4気筒2000ccまでの高効率なパワートレーン、「ツインエンジン」に代表される電動化への対応、そして将来の自動運転に対するテクノロジーの改革です。「SPA」シャシーを採用した5代目のモデルとなる新型XC60は、まずは将来の電動化を前提とした、非常に効率の良いコンポーネントのレイアウトが可能となっております。それだけではなく、この「SPA」シャシーを採用したことで前後の重量バランスが改善され、ドライビングプレジャーの向上と快適性をも両立しています。
また、ボルボの理念でもある安全性も当然ながら向上しております。ウルトラハイテンスティールを27%使用し、強度を高めながら極めて軽量なボディにすることができました。また、私たちは「ビジョン2020」という目標を掲げております。これは、2020年までに新しいボルボカーに搭乗しているユーザーの死者・重傷者をゼロにするという壮大なものです。この目標に向かって、私たちは最新の技術を使い、まい進していきます』と、ボルボ・カー・ジャパン マネージャーの畑山真一郎氏はコメントした。
全ては「安全」な自動車社会の為に これからも革新と変革を続けるボルボ!
ここで最後に、ボルボならではの独自チームである「事故調査隊」について説明したい。この「事故調査隊」とは、ボルボ本社があるスウェーデンのヨーテボリから半径100キロのあたりで起きた事故を独自に調査する部隊のことで、そこではボルボの事故調査チームが24時間365日待機しており、事故が起きたときには警察とほぼ同時に現場に向かって事故の調査をしているというものである。
事故が起こった際は実際にどういう状況で、どんなキッカケがあったのだろうというリアルなデータを収集し、クルマにはどういった安全性への要求があるのかというものを確認し、製品開発に反映している。
集めたデータの検証をし、製品化する。そして製品化した物がどうだったかというデータをとる。こういったサークルをボルボは47年間も続けており、集まったデータは4万5千件にも上るそうだ。
電動化、自動運転化が進む自動車社会ではあるが、まだまだクルマは「人の判断」に頼らざるを得ない部分が大きい。しかし、ボルボ・カーを選ぶことで「人のミス」による事故は大幅に減少すると思う。
自動車社会の「安全」を追求するボルボは、これからもさまざまなデータ収集と革新的な技術を開発し続ける。「ボルボの安全神話」はこの先もずっと語り継がれるに違いない。
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