まるで未来のクルマにでも乗ったかのようワクワク感!フォルクスワーゲン 新型eゴルフ/ゴルフGTEに先行試乗!
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:Volkswagen AG
マイナーチェンジした ゴルフのEV版、新型eゴルフとPHVモデルの新型ゴルフGTEをスペイン・マヨルカ島で先行試乗!
とうとうフォルクスワーゲン「eゴルフ」が日本にやってくる!
7代目ゴルフが大規模なマイナーチェンジを行い、通称“7.5”へと進化。これに伴い、そのEV版である「eゴルフ」にも大きく改良の手が入れられた。今回はこの新型eゴルフと、プラグインハイブリッド(PHV)である新型ゴルフGTEに、スペインのリゾートアイランドであるマヨルカ島で試乗した。
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新型eゴルフではチャデモに対応!晴れて日本導入へ
そもそもeゴルフは、7代目ゴルフが登場した当初からラインナップされていた車種。そしてこれが日本でもお披露目されたが、市販にまで至らなかった経緯のひとつに、急速充電への非対応があった。しかし今回のマイチェンで新型eゴルフは、チャデモをはじめとした日本国内の規格に充電装備を対応させ、晴れて導入の目処が立ったというわけである。
性能アップのトピックスは、何と言ってもその航続距離が190kmから300kmへと伸びたことだろう。その主たる理由はリチウムイオンバッテリーにおけるセルの性能向上で、出力は従来の24.2kWhから35.8kWhまでアップした。また、モーターの駆動抵抗低減など細かい部分の積み重ねによって、実に1.5倍以上の伸びしろを得たわけである。
タイムラグなくよく走り、気持ちの良い加速性能
さて今回の試乗路は、マヨルカ島の空港から宿泊地までの約100km。これを日本人ジャーナリストふたりで分け合うように走った。これだけ見るとちょっと物足りない試乗のように感じられるが、宿に着いてからもさらに周辺道路を走ることは許されていたし、不特定多数のジャーナリストが乗るうえで300kmという航続距離のバッファを考えると、妥当な数字なのだろう。
新型eゴルフのユニット出力は100kWh(136ps)。この額面だけ見るとゴルフ1.4TSI ハイライン(140ps)とがっぷりよつだ。しかしその車重はeゴルフが1615kgと、295kgも重たい。だから従来のガソリン車的思考で考えると新型eゴルフは「ただの遅いゴルフ」になってしまうわけだが、実はこれがよく走る。走る上に、とても気持ちが良い。
その要となるのは290Nmという最大トルク(1.4TSIは250Nm)。EVの走行性能でよく言われることだが、これがアクセルオンから直線的に立ち上がり、瞬時にその初速を稼ぎ出してくれる。内燃機関と違ってアクセルを踏めば踏んだだけ、そのトルクが解き放たれるのが、EVならではの特徴。だから今回も信号グランプリで、地元のガソリンエンジン車に負けるということは一度もなかった。
ガソリンエンジンもここ5年ばかりでほとんどの実用車が低中速トルク重視の性能となり、ここで得た初速を多段化したトランスミッションが巡航速度に変換するようになってきた。そもそもその「小排気量ターボ+多段化」というジャンルに先鞭を付けたのがフォルクスワーゲンなのだが、それでもeゴルフの、タイムラグのない加速には及ばない。
回生ブレーキは全部で5段階。「D」レンジは実質回生ゼロで、その次にSTEP1~3までの3段階でブレーキに強弱が付けられる。そして「B」レンジを選ぶと、アクセルを離しただけで減速Gが高まるほどの回生ブレーキが得られるようになっている。
まるで未来のクルマにでも乗ったかのようなワクワク感
そして何より、新型eゴルフは静かである。エンジンノイズがないことはもちろんながら、防音材なども完璧なのだろう、ロードノイズや風切り音までが見事に遮断され、ガソリンエンジン車はもちろんだが並みのEVでは得られないクオリティの静粛性が実現されている。
また乗り心地も面白い。この車重を支えるためにサスペンションはそれなりに固められているはずだが、突き上げは見事に吸収するし、路面のうねりも上手にいなす。
そしてレーンチェンジなどでハンドルをステアすると、じつにしなやかなアシさばきで、軽く向きを変えてしまうのだ。
これにはバッテリーが大きく関係している。最大の重量物が床下に配置されることで路面からの突き上げでも車体の揺れが少なく、またフロントにエンジンを積む乗用車よりも圧倒的にボディバランスがよいから、前後のサスペンションを均等なバランスで伸び縮みさせることができるのである。
そしてそのハンドリングは、ワインディングロードに入ると俄然輝きを増す。コーナーの入り口ではゴルフとは思えないほど軽やかにノーズが入るし、コーナリングでは前後タイヤに荷重が乗って安定感が高い。切り返しなどでは車重の重さを感じるが、ロールスピードはまったりと穏やかで、ほどよいロールが抜群に気持ち良い。
アクセルをフラットアウトにしたときの全開性能は、それほどでもない。しかしEV特有の“キーン!”とうなるモーターサウンドと、GTiでも得られない軽やかな身のこなしを味わってしまうと、まるで未来のクルマにでも乗ったかのように、気持ちがワクワクしてしまうのである。
新型eゴルフ並みの静かさに、次世代の加速が味わえる新型ゴルフGTE
さて翌日は、その復路で新型ゴルフGTEを味わった。ご存知GTEは1.4TSI(150ps)と75kWh(109ps)のモーターを積むハイパワーPHVだ。
ちなみにその動力性能には変更がなく、今回7.5世代となったゴルフのインフォテイメント機能や、GTi譲りのバンパーにeゴルフと同じコの字型LEDデイライトなどをインストールしたに留まる。ちなみに本国仕様にはルートからハイブリッド制御を効率化させるNAVI機能を備えたり、スマホから車両を遠隔操作するアプリとの連動があるようだが、日本仕様ではどうなるかはわからない。
そんな新型GTEで確かめてみたかったのは、端的に新型eゴルフとの違いだ。後続距離が300kmに伸びたとはいえ、常に“電ケツ”の恐怖がつきまとう(計画的に充電できればそんなこともないのだが)EVと、ガソリンがあれば無事に帰れるPHVとで、どのくらい差があるのか。この次点で既にボクは新型eゴルフの未来的な走りにヤラれていたわけだが(笑)、これはかなり面白い具合に期待を裏切られた。
というのもこの新型ゴルフGTE、ハイブリッドモードで走っても、新型eゴルフ並みに静かなのだ。 スタートは当然EV走行。そして街中を走っても、極力エンジンを回さないようにモーターがアシストしてしまうのである。またアクセルを深く踏み込むような場面でエンジン回転が高まっても、これがまったく不快じゃない。むしろ1.4TSIエンジンのフリクション性能の少なさに、感心してしまうほどであった。
回生はブレーキとシフトダウンで行うが、GTEはDSGユニットにモーターが組み込まれているから、ステアリグのパドルで普通にシフトダウンできるのもいい。
そしてひとたび「GTE」モードボタンをプッシュすると、次世代の加速が味わえる。330Nmのモータートルクと、250Nmのエンジントルクが組み合わさった加速感は強烈で、さらにそこからも加速が伸び続けて行く。絶対的な性能はGTiやゴルフRには適わないけれど、間違いなく新型eゴルフよりは速い。そして将来バッテリーが小さくなって車重が軽くなるほどに、GTiとの立場は逆転して行くのだろうな…と感じた。
ハンドリングは新型ゴルフと新型eゴルフの中間。フロントにエンジンを搭載する分、路面のうねりや操舵に対してノーズが敏感に反応することがなく、直進安定性はむしろ高い。新型eゴルフほど一筆書きでノーズをイン側へ向ける切れ味はないが、リアの低い位置にバッテリーと燃料タンクを搭載しているおかげで、コーナーでは前後の重量バランスが素晴らしい。そして乗り心地は、新型eゴルフ同様に突き上げを見事に吸収してくれる。
新型eゴルフと新型ゴルフGTE、どちらが実用的なのか・・・
唯一問題があるとすれば燃費だ。カタログ値では23.8km/Lをマークしているが、実際はその8掛け以下だろう。これは同じPHVであるトヨタ プリウス(37.2km/L)には遠く及ばないし、プリウスに慣れ親しんだ我々にとっては、わざわざ燃費の悪いハイブリッドを買うのも・・・と思うのは無理のないこと。
ただ新型ゴルフGTEには、「ベースがゴルフである」という厳然たる事実がある。
そういう意味でGTEは、「電ケツを心配しないeゴルフ」というよりは、ハイブリッドの乗り味をぜいたくに味わう一台。いわんやエコカーではないのである。
53.1kmのEV航続距離はドイツ人の一日の平均走行距離をゆうにカバーする数字であり、これを伸ばすためにバッテリー性能を上げ、ユーザーにコストを跳ね返すつもりもない。急速充電非対応というのも、「電ケツしたらエンジンがあるじゃないか」というわけだ。
以上を総合して新型eゴルフと新型ゴルフGTE、どちらが実用的なのかを考えたが、これがどうにも答えがでない。工夫次第で新型eゴルフだって十分に実用できるし、新型ゴルフGTEもその燃費を稼ぐことは可能だからだ。日本導入は秋口を予定。今回の試乗で本気で欲しいと思ったボクだけに、そのときにもう一度腰を据えて、トコトン両者を乗り比べてみたいと思う。
[レポート:山田弘樹/Photo:Volkswagen AG]
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