トヨタ ヴォルツ 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:森山俊一
トヨタとGMのコラボレーションが生んだ、SUVテイストの個性派ワゴンが注目株。
アグレッシブなVラインの精悍なグリルと、マッシブなボディライン。ヴォルツのスタイルは、国産車とも欧州車とも異なる独特のデザインだ。クルマ通なら、これがポンティアックテイストであることが、すぐにわかるかもしれない。そう、ヴォルツはトヨタとGMが共同で企画・デザイン、トヨタが設計・評価を担当したポンティアック・バイブの双子車なのだ。
生産は、84年にGMとの合弁で設立したトヨタ初の北米生産拠点「NUMMI」で行なわれる。つまり、日米の貿易不均衡を緩和するため、キャバリエに代わって日本に輸入するGMブランドの位置付けというわけだ。
コンセプトは、人気のSUV、ミニバンの実用性、クーペのスタイリッシュさを融合した欲張り型コンパクトクラスのスポーツユーティリティワゴン。プラットフォームは現行カローラが母体であり、スプリンターカリブの後継車にあたる。
ワゴンに優るとも劣らない使い勝手の高さは大きな魅力。パッケージングは二重丸だ。
デザインはGMが主導を握ったというが、インテリアはスタイルほどの奇抜さは感じられない。サングラスをしたときの視認性を重視した、メーターのきつい赤色にちょっととまどう程度だ。メッキがふんだに使われたインパネ回りはかっこよく、ブラック/グレーのツートーンのシート地も好印象だった。
室内は、さすがにカローラベースだけあって、十分な居住性と座り心地の良さを確保している。ただ、スパシオと共通の出っ張りが大きいインパネシフトは、サイドウォークスルーがやりずらい。足踏みパーキングブレーキではなく、運転席と助手席の間のサイドブレーキを採用したのはGMの意向と思われる。
自慢は定員乗車時で334L、2人乗車で805Lのラゲッジスペースだ。後席をワンアクションで可倒できるフォールドダウン機構のおかげで使い勝手は非常に高い。濡れたモノや汚れたモノを気軽に積める樹脂製の床面、デッキフロアレールの設定はGMの主張だそうだ。便利な上下左右8カ所のフック、床下の収納は標準で装備されている。また1605mmの全高ながら、バックドアはガラスハッチだけの開閉も可能。北米市場を考慮したアイテムといっていいだろう。
バランスのいい走行フィールだけど、車重に見合った低速トルクが欲しいところだ。
ベーシックモデルのSに搭載されるのは、三ツ星の排出ガス認定を受けているハイメカツインカムの1ZZ-FEだ。燃費とクリーンを重視したこのエンジンは、もともと低速域を苦手な領域としている。しかもヴォルツの車重は1250kgと重め。さらに205/55R16の大径タイヤを装着している。この結果、市街地でも加速感はやや力不足を感じてしまう。その分アクセルを踏むと、頻繁な変速によるわずらわしさが生じてしまう。高回転域までガンガン回せば、元気のよさは味わえるけれども、今度はエンジン音が大きくなり不快感につながるのだ。
いまひとつのエンジンフィールに比べると、乗り味はオールシーズンタイヤを履いているわりには挙動は素直で滑らか。エンジンパワーに対して、足が優れているからだろう。ゆっくりとしたロール感はあるものの、腰砕け感が少ないので扱いやすい印象だった。
1ZZ-FEは物足りないが、2ZZ-GEならヴォルツの魅力をアクティブに堪能できる。
GMブランドは、確かにひと昔前は品質面に難があった。これが国内市場でキャバリエが受け入れられなかった大きな要因だ。けれども、最近はGM傘下に入る国産メーカーからも共同開発車が誕生していて、GMブランドのイメージは、知名度とともにかなり上向きになっている。GMとのコラボレーションは、ヴォルツにとってさほどマイナス要素にはならないだろう。月販目標台数1500台は、アグレッシブなデザインが受け入れられるかどうかにかかっていると思われる。
バリエーションはベーシックなSが2WDと4WDを用意。スポーティなZは2WDのみで4速ATと6速MTが選べる。荷物を積んだり、行動半径を広げたり、スポーツユーティリティワゴンとしてのヴォルツの魅力を満喫するには、やはりZに積む2ZZ-GEは必需品。気軽に乗るならAT、走りも楽しむなら6 速MTがオススメだ。
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