ルノー カングー 試乗レポート(1/2)

  • 筆者: 森口 将之
  • カメラマン:オートックワン編集部
ルノー カングー 試乗レポート
ルノー カングー フロントスタイリング ルノー カングー リアスタイリング ルノー カングー フロントビュー ルノー カングー リアビュー ルノー カングー サイドビュー ルノー カングー フロントスタイル ルノー カングー フロントスタイル ルノー カングー 1.6リッター直列4気筒16バルブエンジン ルノー カングー フロントアップ ルノー カングー ヘッドライト ルノー カングー タイヤ&アルミホイール 画像ギャラリーはこちら

室内が驚くほど広くなった、新型ルノー カングー

ルノー カングー リアスタイリング

「フルゴネット」という言葉を知っているだろうか。フランス語で「小型商用車」を表す言葉で、同じボディを用いた乗用モデルもこう呼ばれてきた。

車格は日本のライトバンに近いが、全高がミニバン並みに高いことが大きな違いだ。近年のヨーロッパの小型商用車は、このカタチが一般的である。

ルノーは昔からこのカテゴリーの主役だった。その地位を決定づけたのが1997年発表のカングーで、全世界で250万台も販売されている。日本でも、他メーカーのフルゴネットが輸入されなかったこともあり、個性的なコンパクトミニバンとして多くのユーザーに支持されてきた。

そのカングーが、なんと12年ぶりにモデルチェンジを実施した。ハイトワゴンのパッケージングや親しみやすいデザインは、新型にも受け継がれた。

ルノー カングー フロントスタイリング
ルノー カングー フロントビュールノー カングー リアビュー

しかしサイズは、かなり大きくなった。4,215×1,830×1,830mmという数字は、旧型より180mm長く、155mm幅広く、20mm高い。とりわけ以前は5ナンバー枠内だった全幅が、一気に1.8mオーバーとなったことに驚かされる。

プラットフォームも格上げされた。旧型は当時のルーテシアと同じだったが、新型はひとクラス上のメガーヌと同じCプラットフォームを使う。2,700mmのホイールベースは旧型より100mm長く、グランセニックの2,735㎜に近い。この大型化には明確な理由がある。

ヨーロッパの商用車では、ユーロパレットと呼ばれる輸送用パレット(1,200×800mm)を積めることが前提だが、旧型はこのパレットが入らず、後発のライバルに対する欠点とされてきた。

ルノー カングー フロントシート
ルノー カングー リアシートルノー カングー サイドブレーキ

そこでラゲッジスペース拡大のためにサイズアップを敢行したのである。

おかげで室内は一気に広くなった。前席ではとくに横方向の余裕が目立つ。フロントシートは着座位置が高く、厚みも増しており、旧型以上にふっかりした掛け心地を味わえるようになった。

リアシートのヒップポイントはさらに高く、身長170cmの自分が座るとひざの前には15cmもの空間が残るし、広がった幅のおかげで3名乗車も苦にならない。

運転席まわりでは、操作系のがっしりした作りが印象的。

それもそのはず、L字型パーキングブレーキレバーは、1日300回もこのレバーを扱う郵便局員の意見を参考にしたそうだ。旧型のフロアからインパネのセンターパネルに移ったシフトレバーの位置も操作しやすかった。

収納スペースの大きさも目立つ。フロント頭上のトレイ、2Lのペットボトルが2本入るセンターコンソールなど、どこをとっても巨大で使いやすい。

ルノー カングー シートアレンジ

旧型ではラゲッジスペース両脇にあったオーバーヘッドコンソールがリアシート頭上に移ったのは、カーテンエアバッグを装備するためだそうだ。

ラゲッジスペースの幅が広がったことは前に書いたとおりだが、使い勝手もアップしている。リアシートの折り畳みはワンタッチになり、助手席もフラットに倒せるので、2.5m級の長尺物も楽に積める。

トノカバーは低い位置にセットして棚にも使え、不要なときはリアシート背後に固定しておける。

3列シートでないことを不満に思う人がいるかもしれないけれど、年に1~2回しか使わないサードシートがないおかげで、ここまで使いやすい空間が手に入るのだから、こっちのほうがいいと思う人も多いのではないだろうか。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

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