日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック by AUTECH 試乗レポート/渡辺 陽一郎(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
常識外れな試乗コースに驚く
いきなりパイロンスラローム!? クルマをジグザグに走らせ、優れた走行安定性を体感させる仕掛けが、試乗会場に広がっていた。
低重心のスポーティカーなら分かるが、テスト車両は2011年11月10日発売の「日産 エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペック」。日産の特装車を手掛けるオーテックジャパンが、内外観の装飾に加え性能も向上させたモデルで、全高が1810mm、車両重量は2070kgに達する重量級のミニバンだ。常識で考えればパイロンスラロームは似合わない。大丈夫か?と思いながら試乗を開始した。
まずは発進加速。エンジンはV型6気筒の3.5リッターだから、ノーマルタイプでも動力性能は十分。これをライダー ハイパフォーマンススペックでは、さらに高性能化している。最高出力は20馬力上乗せされて300馬力(6400回転)。エリシオン プレステージの3.5リッターと並んで、国産ミニバンでは最強だ。最大トルクも1.7kg-mアップして36.8kg-m(4400回転)になる。主に排気系統とコンピューターの変更で出力を向上させ、最高出力と最大トルクの発生回転数は変わらない。従って1500~3500回転付近の実用回転域も力強く、軽くアクセルを踏むだけで2トンを超えるボディを軽々と加速させる。
ならばアクセルを深く踏み込むとどうなるか。キュルルッとホイールスピンを誘発し、ダイナミックに車速を高める。排気音も太く、「いかにもV6エンジン」という印象。取材を行ったのが発売前の10月26日で、限られたコース内での試乗となったが、高速道路の巡航も快適だろう。
安心なのに、楽しい!
フル加速した先には、例のパイロンがある。ハンドルを左右に忙しく回し、ジグザグに走らせる。この時の挙動も、全高が1800mmを超え、車両重量が2トンを上まわるミニバンとは思えない。操舵に対する反応が正確で鈍さを感じさせず、確実に回り込む。
その一方で、後輪の接地性も高い。良く曲がる代償として後輪の横滑りを誘発すると、背の高いミニバンでは運転操作が難しくなるが、エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックは踏ん張りが利く。だからこそ、安心して曲がれる。
表現を変えれば、まずは後輪をしっかりと接地させて安定性を確保し、その上で自然に曲がる性能を追求した。唐突に切れ込むことがないから、ドライバーが抱く安心感も高い。
このチューニングの方向性は、ベース車のエルグランドでも実現されている。ただし、V型6気筒の3.5リッターモデルは、直列4気筒の2.5リッターに対して前輪側の荷重が80kgほど上まわる。ベース車では挙動の乱れがやや拡大しやすい。パイロンスラロームを行えば、ハンドルを切り込んだ時には前輪が外側に滑って大回りになりやすく、戻す時には後輪の横滑りへ移行しやすい。
その点、ライダー ハイパフォーマンススペックでは、V型6気筒エンジンを搭載しながら、80kgの重量増加に伴う不利をカバーする。直列4気筒に近い軽快感と安定性を身に付けた。高出力を得ながら、不利を感じさせない点がメリットだ。
そこにはフェアレディZやスカイラインとは違う楽しさもある。背が高く重いためにボディの傾き方は拡大するが、挙動の変化が穏やかに進み、左右に傾く動きを「操る感覚」に結び付けている。タイムを計測すれば低重心のスポーティカーの方が断然速いが、運転している実感が強いのはエルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックの方だ。
この「ミニバン特有の"走る楽しさ"」は、現行型のマツダ MPVや同 プレマシーあたりで初めて確立された。新しい発見ではないが、全高が1800mmを上まわるフラットフロア構造のハイルーフミニバンで実現するのは難しい。しかし、エルグランド ライダー ハイパフォーマンススペックは、見事にそれを達成しているのだから驚く。
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