ホンダ ヴェゼルハイブリッド 燃費レポート/永田恵一(3/5)
- 筆者: 永田 恵一
- カメラマン:永田恵一/オートックワン編集部
ホンダ ヴェゼルハイブリッド 燃費レポート【郊外路編】
ここで、ヴェゼルハイブリッドのハイブリッドシステムをおさらいしておこう。
まず、停止状態からの発進とその後のハイブリッドの基本動作について順を追っていくと、
(1)停止状態からの発進はモーター
(2)エンジンが加わる走行に移行
走行スピードやバッテリー残量に応じて、純粋なEV走行や、エンジンが作った動力を駆動用とモーターを使った発電用に振り分けるなど。加速時には、モーターによるアシストが加わる。
(3)減速時にはモーターを使った回生制動による発電をしながら減速
というのが大まかな動きなのだが、ヴェゼルハイブリッドのハイブリッドシステムの動きについて、改善を望みたい部分が3点ほど確認できた。
1つめは、発進時における“EV走行のスピード領域が狭い”点について。
ヴェゼルハイブリッドとほぼ同じハイブリッドシステムを搭載している「フィットハイブリッド」は、丁寧にアクセルを開ければ20km/hくらいまでであればモーターのみで加速することが出来た。しかし、ヴェゼルハイブリッドはアクセルを丁寧に開けようが若干ラフに開けようが、モーターのみで加速するのは10km/h程度までであった。
これは、フィットハイブリッドに対して車重が150kg程度増加していることにより、モーターのみの発進から早めにエンジンにバトンタッチした方が、結果的に燃費で有利になるという判断をしているためであろう。
2つめは、1モーターハイブリッドの弱点と言われているアイドリングストップからの素早いスタートやEV走行中に加速を強いられてアクセルを大きく開けた際の“加速の鈍さ”だ。
これは、1モーターハイブリッドだとそれほどモーターの出力が大きくない事や、構造的にエンジン始動とシフトダウンにタイムラグがあるために起きる現象なのだが、ヴェゼルハイブリッドはシフトダウンも素早いDCTを採用しているにも関わらず、この現象がフィットハイブリッド以上に気になった。
フィットハイブリッドをテストした際は、さほど大きな問題には感じなかったのだが、ヴェゼルハイブリッドでは特にEV走行中から加速に移るまでのタイムラグが大きく感じた。
ちなみに、走行モードを「スポーツモード」にしておけば“常にエンジンが掛かった状態”となるので燃費では不利になるものの、前述の2つの問題は解消される。
そして3つめは、特にフィットハイブリッドと比較しての“回生制動の効率の悪さ”だ。
メーター左側の回生制動による回生の度合いを見ていて感じたことなのだが、それほど大きな減速Gが発生するブレーキをかけていないつもりでも、チャージ側に振り切れてしまうことがよくあった。
ドライバーが減速の際にチャージ側に振り切れないような長く緩いブレーキを心けることも重要だが、クルマ側の問題としてはフィットハイブリッドに対し車重が増加していながら、フィットハイブリッドと同じバッテリーを使っていることが原因ではないかと考える。
ラゲッジスペース下となっているバッテリーの配置スペースやコストなどとの関係でなかなか難しいことなのだろうが、バッテリーの容量を増やせれば回生制動による電力エネルギーの戻りも増え、モーターによるアシストやEV走行の領域が増えるというメリットが生まれることを考えると、バッテリー容量の拡大を望みたいところだ。
と、ネガティブなことばかり述べてしまったが、郊外路はヴェゼルハイブリッドの魅力も味わえる走行シーンであった。
そう感じた理由として挙げられるのは“ハンドリングの良さ”だ。
具体的にはSUVとしては少ない、ハッチバックといっても言い過ぎではないくらい抑えられたロール量、そしてロールの起き方もユックリとしており不安感がないこと、ステアリングフィールもシットリとした上質なものであることに加え、ステアリング操作に対してクルマの動きが非常に正確であることが挙げられ、交通量の少ない郊外路を普通に走っているだけでも楽しく感じられる。
DCTの変速スピードは当然かもしれないが、ノーマルモードでも歯切れのいい素早いもので、ヴェゼルハイブリッドにはフィットハイブリッドでは選択が限られたパドルシフトが全グレードに標準装備され、素早い変速をドライバーの任意でも楽しめる点は非常に嬉しい。
スポーツモードを選べば、低めのギアを選びながら変速スピードもさらに素早くなり、アクセル操作に対するレスポンスがよりシャープになるのに加え、ノーマルモードでも行われるシフトダウン時のブリッピングが多めになるなど、気分も高揚する。
乗り心地は、小さな入力(路面の小さな凹凸)に対するサスペンションの動きがとてもよく、そういったシーンでは乗り心地も非常にいいところなど、全体的に見れば合格点といえる仕上がりなのだが、ドイツの名門であるザックス社製のダンパーを使っていることを認識していると改善を望みたいところもある。
具体的には良さとは対照的に路面の凹凸が大きいところだとゴツゴツ感や硬さを感じることで、これが改善されればヴェゼルハイブリッドの良さがさらに向上するに違いない。
郊外路での燃費は「21.6km/L」と、まず大よそのユーザーが満足するであろう値を記録した。
ホンダヴェゼルハイブリッド 郊外路の実燃費/21.6km/L
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。