ホンダ ヴェゼルハイブリッド 燃費レポート/永田恵一(3/5)

  • 筆者: 永田 恵一
  • カメラマン:永田恵一/オートックワン編集部
ホンダ ヴェゼルハイブリッド 燃費レポート/永田恵一
ホンダ ヴェゼルハイブリッド 実燃費計測へ出発の様子 ホンダ ヴェゼルハイブリッド 高速道路にて実燃費計測/湾岸道路にて ホンダ ヴェゼルハイブリッド 高速道路にて実燃費計測/高滝湖PA ホンダ ヴェゼルハイブリッド 高速道路にて実燃費計測/茂原長南インター ホンダ ヴェゼルハイブリッド 高速道路の燃費は「22.1km/L」 ホンダ ヴェゼルハイブリッド 郊外路にて実燃費計測/ワインディング走行イメージ・フロント ホンダ ヴェゼルハイブリッド 郊外路にて実燃費計測/ワインディング走行イメージ・リア ホンダ ヴェゼルハイブリッド 郊外路にて実燃費計測/袖ヶ浦フォレストレースウェイ ホンダ ヴェゼルハイブリッド 郊外路の実燃費は「21.6km/L」 ホンダ ヴェゼルハイブリッド 市街地にて実燃費計測/市街地走行イメージ・フロント ホンダ ヴェゼルハイブリッド 市街地にて実燃費計測/市街地走行イメージ・リア 画像ギャラリーはこちら

ホンダ ヴェゼルハイブリッド 燃費レポート【郊外路編】

ホンダ ヴェゼルハイブリッド 郊外路にて実燃費計測/ワインディング走行イメージ・フロント

ここで、ヴェゼルハイブリッドのハイブリッドシステムをおさらいしておこう。

まず、停止状態からの発進とその後のハイブリッドの基本動作について順を追っていくと、

(1)停止状態からの発進はモーター

(2)エンジンが加わる走行に移行

走行スピードやバッテリー残量に応じて、純粋なEV走行や、エンジンが作った動力を駆動用とモーターを使った発電用に振り分けるなど。加速時には、モーターによるアシストが加わる。

(3)減速時にはモーターを使った回生制動による発電をしながら減速

というのが大まかな動きなのだが、ヴェゼルハイブリッドのハイブリッドシステムの動きについて、改善を望みたい部分が3点ほど確認できた。

1つめは、発進時における“EV走行のスピード領域が狭い”点について。

ヴェゼルハイブリッドとほぼ同じハイブリッドシステムを搭載している「フィットハイブリッド」は、丁寧にアクセルを開ければ20km/hくらいまでであればモーターのみで加速することが出来た。しかし、ヴェゼルハイブリッドはアクセルを丁寧に開けようが若干ラフに開けようが、モーターのみで加速するのは10km/h程度までであった。

これは、フィットハイブリッドに対して車重が150kg程度増加していることにより、モーターのみの発進から早めにエンジンにバトンタッチした方が、結果的に燃費で有利になるという判断をしているためであろう。

2つめは、1モーターハイブリッドの弱点と言われているアイドリングストップからの素早いスタートやEV走行中に加速を強いられてアクセルを大きく開けた際の“加速の鈍さ”だ。

これは、1モーターハイブリッドだとそれほどモーターの出力が大きくない事や、構造的にエンジン始動とシフトダウンにタイムラグがあるために起きる現象なのだが、ヴェゼルハイブリッドはシフトダウンも素早いDCTを採用しているにも関わらず、この現象がフィットハイブリッド以上に気になった。

フィットハイブリッドをテストした際は、さほど大きな問題には感じなかったのだが、ヴェゼルハイブリッドでは特にEV走行中から加速に移るまでのタイムラグが大きく感じた。

ちなみに、走行モードを「スポーツモード」にしておけば“常にエンジンが掛かった状態”となるので燃費では不利になるものの、前述の2つの問題は解消される。

ホンダ ヴェゼルハイブリッド 回生の様子

そして3つめは、特にフィットハイブリッドと比較しての“回生制動の効率の悪さ”だ。

メーター左側の回生制動による回生の度合いを見ていて感じたことなのだが、それほど大きな減速Gが発生するブレーキをかけていないつもりでも、チャージ側に振り切れてしまうことがよくあった。

ドライバーが減速の際にチャージ側に振り切れないような長く緩いブレーキを心けることも重要だが、クルマ側の問題としてはフィットハイブリッドに対し車重が増加していながら、フィットハイブリッドと同じバッテリーを使っていることが原因ではないかと考える。

ラゲッジスペース下となっているバッテリーの配置スペースやコストなどとの関係でなかなか難しいことなのだろうが、バッテリーの容量を増やせれば回生制動による電力エネルギーの戻りも増え、モーターによるアシストやEV走行の領域が増えるというメリットが生まれることを考えると、バッテリー容量の拡大を望みたいところだ。

と、ネガティブなことばかり述べてしまったが、郊外路はヴェゼルハイブリッドの魅力も味わえる走行シーンであった。

ホンダ ヴェゼルハイブリッド 郊外路にて実燃費計測/ワインディング走行イメージ・リア

そう感じた理由として挙げられるのは“ハンドリングの良さ”だ。

具体的にはSUVとしては少ない、ハッチバックといっても言い過ぎではないくらい抑えられたロール量、そしてロールの起き方もユックリとしており不安感がないこと、ステアリングフィールもシットリとした上質なものであることに加え、ステアリング操作に対してクルマの動きが非常に正確であることが挙げられ、交通量の少ない郊外路を普通に走っているだけでも楽しく感じられる。

DCTの変速スピードは当然かもしれないが、ノーマルモードでも歯切れのいい素早いもので、ヴェゼルハイブリッドにはフィットハイブリッドでは選択が限られたパドルシフトが全グレードに標準装備され、素早い変速をドライバーの任意でも楽しめる点は非常に嬉しい。

ホンダ ヴェゼルハイブリッド 郊外路の実燃費は「21.6km/L」

スポーツモードを選べば、低めのギアを選びながら変速スピードもさらに素早くなり、アクセル操作に対するレスポンスがよりシャープになるのに加え、ノーマルモードでも行われるシフトダウン時のブリッピングが多めになるなど、気分も高揚する。

乗り心地は、小さな入力(路面の小さな凹凸)に対するサスペンションの動きがとてもよく、そういったシーンでは乗り心地も非常にいいところなど、全体的に見れば合格点といえる仕上がりなのだが、ドイツの名門であるザックス社製のダンパーを使っていることを認識していると改善を望みたいところもある。

具体的には良さとは対照的に路面の凹凸が大きいところだとゴツゴツ感や硬さを感じることで、これが改善されればヴェゼルハイブリッドの良さがさらに向上するに違いない。

 郊外路での燃費は「21.6km/L」と、まず大よそのユーザーが満足するであろう値を記録した。

 ホンダヴェゼルハイブリッド 郊外路の実燃費/21.6km/L

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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